経済なんでも研究会

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新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】

2017-10-08 07:55:29 | SF
≪2≫ マーヤ あくる日の朝、ぼくは車いすに乗せられた。きのう見た胸番号「71」の女性看護師が、車を押してくれている。廊下に出ると、風景は日本の大病院とそう変わらない。患者とおぼしき人や女性看護師、それに医師らしい白衣姿の男性も廊下を歩いていた。気が付いたのは、男性の左胸につけられた青いプレート。そこには「48」と書かれていた。

「外へ出てみましょうか」と、女性看護師「71」が言う。車いすは自動で動き出し、ミズ「71」は車いすに全く手を触れずに歩いている。やっぱり、ここは地球じゃない。広大な庭が広がり、コスモスのような花も咲いている。遠くには低い山も見える。日の光が降り注ぎ、気温は20度ぐらいか。とても気持ちのいい朝だった。

思い切って、聞いてみた。
――いったい、ここは、どこなの?
「ダーストンという星です。人口はおよそ1000万人。別の星から移住してきた人たちの子孫です。ダーストンはベートンという大きな星の周りを回っている惑星で、1年は168日です」

――どうして、ぼくはこの病院にいるんだろう?
「貴方の宇宙船がこの星の近くで事故を起こしたそうです。あやうく地上に激突しそうになったとき、この国の宇宙救援隊が出動して保護したと聞いています。しかし大気圏に突入したときのショックで、貴方は重傷を負いました。この病院に運ばれ、手術を受けたのですよ」

――貴女はどうして日本語をしゃべれるのですか?
「貴方の救出を決めた科学院の命令で、この病院の医師が貴方の言語中枢から日本語の記憶をコピーし、私の頭にインストールしたからです。ですからダーストンのなかで日本語ができるのは私だけ。ダーストン語と日本語を、瞬間的に同時通訳できる機能も植えつけられました」

――えっ、どういうこと?
「もう、お気づきだと思いますが、私はロボットです。名前はマーヤ。貴方の世話をするために改造されました」

                        (続きは来週日曜日)

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