経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

「ヒラリー買い、トランプ売り」 ・・・されど (下)

2016-10-19 07:34:15 | 日記
◇ 経済政策についての論争なし = クリントン、トランプの両候補は、ともに選挙戦の初めに経済政策の構想を発表している。クリントン氏は「成長と公平の経済」を掲げ、減税とインフラ投資で経済を活性化。女性の社会進出を応援し、低所得層の所得を増やして中産階級を増加させると主張した。また企業は雇用と利益を海外に流出させていると述べ、企業の海外進出を牽制。TPP(環太平洋経済連携協定)は再交渉の必要があると強調している。

一方、トランプ氏は10年間で4兆4000億ドルの減税を実施。規制緩和との効果で、年平均4%の経済成長を目指し、2500万人の新たな雇用を創造する。法人税を現行の35%から15%に軽減すると述べている。その財源については、軍事費と社会保障費を除く予算を毎年1%ずつ削減することで生み出すという構想だ。

ところが、その後の選挙戦は互いのスキャンダル探しに終始してしまった。このため経済政策に関する論争は全くなし。アメリカのメディアは「史上最悪の選挙戦だ」と嘆く始末。したがって両候補の経済哲学や具体的な政策論については、現在までのところ不明のままである。

クリントン氏の構想は、どちらかというと反企業の色彩が濃い。トランプ氏は企業寄りだが、財源に問題があることは明らかだ。したがって投資家の多くは「クリントン買い、トランプ売り」と決めたものの、クリントン大統領の場合でも万々歳というわけにはいかない。市場ではいま「lesser of two evils」という言葉が流行っている。「2つの悪のうちの弱い方」だから、日本流に言えば「まだマシな方」と言う意味だろう。そこにウォール街の深刻な悩みが凝縮している。

      ≪18日の日経平均 = 上げ +63.49円≫

      ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ       

            

「ヒラリー買い、トランプ売り」 ・・・されど (上)

2016-10-18 07:44:29 | 日記
◇ 市場が消し切れない悪夢 = ウォール街の大勢は、もう「クリントンなら買い、トランプなら売り」で固まっている。2回のテレビ討論会を終えて、世論調査はクリントン氏が優勢に。たとえばCNNテレビの調査では、支持率がトランプ氏の34%に対してクリントン氏は57%に上昇した。だが投資家たちは、まだ疑心暗鬼に包まれたままである。

歴史的な流れからすれば、ウォール街には共和党の支持者が多い。共和党は企業の味方だと考えられてきたからである。しかし今回はトランプ氏が大統領になると何をしでかすか判らないという不安が強く、早々に「トランプは売り」が大勢を占めた。だが、そのトランプ氏が当選する可能性は、いまだに捨てきれない。その理由は3つある。

まずトランプ氏がしばしば強調しているように、ネットによる支持率はトランプ氏が圧倒的にりードしていること。たとえばタイム誌のネット投票ではトランプ支持が90%に近い。これは強力な支持者が何度も投票しているためと思われるが、それにしても気持ちが悪い。次にテレビ討論会の影響は、必ずしも実際の投票には反映されない可能性があること。

たとえば前回12年の大統領選挙では、テレビ討論会のあと共和党のロムニー候補が優勢となっていた。それが本番では民主党のオバマ候補が勝利している。最後は有権者の感情。アメリカが陥っている現在の閉そく感に、どれだけの不満を抱えているかが掴めていない。もし爆発すると、トランプ票が伸びる可能性を否定できない。脳裏をよぎるのは、EU離脱を決めたイギリスの国民投票である。しかもウォール街の悩みは、それだけにとどまらない。

                                 (続きは明日)

      ≪17日の日経平均 = 上げ +43.75円≫

      ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ

               

今週のポイント

2016-10-17 07:55:56 | 日記
◇ 目前に迫った大統領選挙 = ロシアのプーチン大統領が「OPEC(石油輸出国機構)の生産調整計画に参加する用意がある」と表明した。先週初めに伝えられたこのビッグ・ニュースに、本来ならばニューヨーク市場の株価は大きく反応するはずだった。ところがダウ平均は先週102ドルの値下がり。プーチン発言の効果を打ち消してしまったのは、11月8日に迫った大統領選挙の結果に対する疑心暗鬼である。

ウォール街の大勢は、すでにクリントン氏なら買い、トランプ氏なら売りで固まっている。世論調査では「クリントン優勢」が伝えられているから、市場は安心していいはずだ。しかしEU離脱を決めたイギリスの国民投票が脳裏をよぎり、投資家はどうにも安心できない。そこで株価も為替相場も不安定な動きとなった。

一時は104円台にまで下落した円の対ドル相場は、先週やや反発した。このため日経平均は、先週4円の値下がりとなっている。原油相場が大きく上昇でもしない限り、こうした株価と円相場の不安定な動きは今週も続くだろう。ここ2週間ほどは、大統領選挙をめぐる情報に注目するしかない。

今週は19日に、8月の全産業活動指数と9月の訪日外国人客数。アメリカでは17日に、9月の工業生産。18日に、9月の消費者物価と10月のNAHB住宅市場指数。19日に、9月の住宅着工戸数。20日に、9月の中古住宅販売とカンファレンス・ボード景気先行指数。また中国が19日に、7-9月期のGDP速報、9月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。なおアメリカでは19日に大統領候補による3回目のテレビ討論が行われる。

      ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ

サタデー自習室 -- 健康寿命の すゝめ ⑦

2016-10-15 08:03:49 | 日記
◇ 地域差の根源は未解明 = 平均寿命や健康寿命、したがってまた不健康期間には、歴然とした地域差が存在する。その原因がガンや血管障害、糖尿病など重大な疾患の発症率と死亡率に関係していることは明らかだ。しかし、こうした重大疾患の発症率や死亡率に、なぜ地域差があるのか。この根本的な理由については、まだ十分に解明されていないのが現実である。

たとえばガンの場合。国立がん研究センターの推計によると、12年中に新たにガンと診断された患者は86万5000人だった。その地域差をみると、男性では秋田県、和歌山県、石川県の順。女性は東京都、福岡県、石川県の順に、発症率が高い。またガンの種類別にみると、女性の乳ガンは東京都が突出して高い。肝臓ガンは福岡県、佐賀県、和歌山県、大分県など、西日本に偏っている。

こうしたガンの発症傾向は、食習慣や飲酒・喫煙などと関係していると考えられている。ところが、このガンの発症率は必ずしも死亡率と相関していない。死亡率は青森県、佐賀県、大阪府などで高くなっている。その原因は健康診断の受診率や医療体制などと関係しているのではないかと推定されるが、本当のところは判明していない。

65歳人口に占める要介護者の割合にも、大きな地域差が見受けられる。厚生労働省がまとめた要介護認定率をみると、最も高いのは大阪府で22.4%。次いで和歌山県、京都府の順。低いのは山梨県の14.2%、次いで茨城県、長野県、静岡県の順となっている。家族構成などが関係すると考えられるが、この点もまだ解明されていない。もっと詳しい調査と研究が必要になっている。

                               (続きは来週サタデー)

      ≪14日の日経平均 = 上げ +82.13円≫

      【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】  


              

「再交渉しない」 は詭弁 : TPP

2016-10-14 08:01:03 | 日記
◇ 国会が本格討議を開始 = 自民・公明の与党は、きょう14日から衆院特別委員会でTPP(環太平洋経済連携協定)の本格審議を始める方針。TPPについてはすでに党首討論などでも取り上げられたが、安倍首相は「交渉では最善の結果が得られた。だから再交渉はしない」と答弁。アメリカの次期大統領候補が2人ともTPPに反対している現状を無視する姿勢を貫いている。だが現在の状況からみて「再交渉しない」で済む可能性はゼロに近い。

周知のように、アメリカの大統領候補は2人ともTPPに反対している。共和党のトランプ氏は「TPPは恐ろしい取り引きだ」と公言。民主党のクリントン氏も「再交渉の必要がある」と断言している。2人とも選挙戦を通じて何度も発言しているから、重大な公約とみなされており、大統領になってから態度を変えることはありえない。

仮にクリントン氏が大統領になって日本に再交渉を要求してきた場合、安倍首相は「ノー」と突っぱねることができるのだろうか。トランプ氏の場合は、アメリカがTPPから脱退してしまう危険性が大きい。そのとき日本が他の10か国をまとめてアメリカ抜きのTPPを構築するとしても、再交渉どころか協定を作り直す必要がある。

オバマ大統領が来年1月の任期切れまでに、議会を説得する可能性はどうだろう。議員のなかには反対論も多いし、賛成する議員も次期大統領と対決する形をとるだろうか。この可能性もないに等しい。結局、現状から判断すると、日本がTPPについて「再交渉しない」道はゼロということになる。安倍首相の答弁は、全く実現不可能と言うしかない。

      ≪13日の日経平均 = 下げ -65.76円≫

      ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ


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