経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

「ごもっとも」に尽きる 労働経済白書

2016-10-06 07:42:33 | 日記
◇ もっと突っ込んだ分析を = ことしの労働経済白書は、特に高齢者の就労問題に重点を置いている。現在の人手不足状態を改善するためには、高齢者の労働力を活用することが重要。そのためには、就労意欲のる高齢者が働ける環境を整備することが不可欠だと強調している。しごく、ごもっともだ。

少子高齢化の進行で、60歳未満の就業者は1997年をピークに減少している。その半面、65歳以上の就業者は05年の937万人から、15年には1264万人に増加した。しかし働きたいのに職がない60歳以上の人は、02年の284万人から現在は313万人に増えている。これらの人たちが就労すれば、人手不足も改善されるし、消費支出も増えて景気回復にも役立つだろう。白書はこう述べているが、ごもっともと言うしかない。

では具体的には、どんな手を打ったらいいのか。白書によると、高齢者は男女ともに8割以上が「現在の仕事を続けたい」と希望している。だから継続雇用に向けた施策の実施が必要だ、と主張する。その一方、高齢者のなかには自分の都合がいい時間に働きたい人もいる。だから非正規雇用の希望も多いので、柔軟な労働時間の設定も必要だと書いている。ごもっともである。

働きたい高齢者が職を見つけられないのは、求人側との間で能力・給与・勤務先をめぐるミス・マッチがあるからだ。具体的にどんな点でミス・マッチが生じているのか。その原因は何か。またミス・マッチをなくすためには、どのような施策が必要なのか。こうした点に関するデータを収集して分析しなければ、白書の意味がない。

      ≪5日の日経平均 = 上げ +83.59円≫

      ≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ


                     

肌寒い 企業の景況感 : 日銀短観

2016-10-05 08:10:46 | 日記
◇ 先行きはすべての面で悪化 = 日銀は3日、9月の企業短期経済観測調査を発表した。それによると、大企業・製造業の景況判断指数はプラス6で前回6月の調査と変わらなかった。大企業・非製造業はプラス18で、前回より1ポイント悪化している。こうした結果を受けて、新聞各紙は「景況感は横ばい」とか「霧は晴れず」などと報じた。だが発表をよく読むと、実態はもう少し「冷え込んできた]感じが強い。

というのも3か月後の先行きに関する調査では、ほとんどの項目が悪化を示しているからだ。まず景況判断をみると、大企業・製造業はプラス6で変わらないが、非製造業は2ポイント悪化する見通し。また中堅企業や中小企業では、製造業も非製造業も2~5ポイントの幅で景況が低下すると予想している。全規模・全産業でも、3か月後の景況感は3ポイント悪化する見込みだ。

16年度の売上げ予想をみると、大企業・製造業は1.7%の減収で前回の予想より1.2ポイント悪化した。大企業・非製造業も1.6%の減収で、前回の予想を0.8ポイント引き下げている。さらに経常利益については、大企業・製造業が14.6%の減益で前回より3.3ポイント悪化。非製造業も4.2%の減益で、前回より0.8ポイント悪くなっている。

企業経営者の先行き景況感が悪ければ、設備投資にも賃上げにも大きな期待は持てない。安倍首相が言うところの「経済の好循環」は、ますます遠のいて行きそうだ。政府は事業規模28兆円の補正予算案を国会に提出、景気の底上げを図ろうとしている。しかし日銀の短観を見る限り、企業は全く無視している感じだ。なぜなのか。政府はその解明に向け努力しているのだろうか。

      ≪4日の日経平均 = 上げ +136.98円≫

      ≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ


                

量的緩和を縮小した? : 日銀

2016-10-04 08:03:20 | 日記
◇ 不透明さを増した新金融政策 = 日銀は先週30日、市場から満期まで5年超10年以下の国債を4100億円買い入れた。通常の買い入れ額は4300億円だったので、200億円減額したことになる。日銀が異次元緩和で大量の国債購入を始めた13年4月以来、買い入れ額を減らしたのは初めてのこと。このうち10年物国債がいくら買われたかは不明だが、同日の長期金利は0.005%上昇して0.085%になっている。

同時に日銀は、10月の国債購入も減らすと発表した。それによると、満期までの期間を1年以下から25年超まで6段階に分け、すべての購入計画を縮小する。たとえば5年超10年以下の国債は、1回当たりの購入額を従来の3000億円~6000億円から2900億円~5300億円に減額した。この計画が実行されれば、他の要因が変わらない限り、短期金利から超長期金利までが上昇圧力を受けることになる。

日銀は9月21日、金融緩和政策の新しいワク組みを決め発表した。そのなかで、下がりすぎた長期金利をゼロ%にまで戻す方針を明らかにしている。金融機関の経営が圧迫されているのを、是正するのが目的だった。今回の買い入れ減額は、この方針に沿った措置。たとえば10年物国債の買い入れを減らせば、その分だけ長期金利を押し上げる効果がある。

ところが国債の買い入れ量を減らすことは、量的緩和政策の縮小を意味する。もし日銀が国債以外の資産を買い増せば、放出する通貨の量は変わらない。だが日銀は、その点について何も説明していない。また国債の買い入れ総量についても、発表しないことになった。その結果、すべてが判りにくくなったと感じる関係者は多い。特に外国人投資家は、量的緩和のなし崩し的な縮小とみているようだ。こうした受け止め方が広がり、円高と株安を促進する心配はないのだろうか。

      ≪3日の日経平均 = 上げ +148.83円≫

      ≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ


          

今週のポイント

2016-10-03 12:30:20 | 日記
◇ 日銀の新政策に警戒感 = 株価の上下運動が継続した。先週は日経平均とダウ平均が、ともに連日2ケタの変動を記録。上げ要因として注目されたのは、OPEC(石油輸出国機構)が大方の予想に反して原油の減産で合意したことだった。この結果、ニューヨーク市場のWTI(テキサス産軽質油)先物相場は48ドル台を回復している。しかし株価や為替相場に対する影響は予想外に小さかった。

下げ要因は、ドイツ銀行の経営不安。住宅ローン証券の不正取引でアメリカ司法省が1兆4000億円の罰金を科したことから、大口の預金者が流出。株価は年初の半分にまで売り込まれた。この影響でアメリカや日本の銀行株も、軒並み売り込まれている。このほかニューヨーク市場では、住宅関連の指標が悪化したことも嫌気された。ダウ平均は先週47ドルの値上がり。

OPECの減産合意にもかかわらず、円相場はほとんど動かなかった。そのうえ東京市場では、日銀の新しい金融緩和策に対する警戒感が出始めている。日銀は長期金利をゼロ%にまで引き上げる目標を掲げたが、そのためには10年物国債の買い入れを減らす必要がある。結果として量的緩和の縮小につながるのではないか。特に外国人投資家の間で、こんな警戒感が強まってきた。日経平均は先週304円の値下がり。今週は原油高の効果が現われるかどうか。

今週は3日に、9月の日銀短観と新車販売台数。4日に、9月の消費動向調査。7日に、8月の毎月勤労統計と景気動向指数。アメリカでは3日に、9月のISM製造業景況指数と新車販売台数。5日に、9月の貿易統計とISM非製造業景況指数。7日に、9月の雇用統計が発表される。

      ≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ


               

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