経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

トランプ大統領の 経済政策 (下)

2016-11-11 08:00:15 | 日記
◇ 移民問題と貧富の格差が震源 = トランプ新大統領の政策は、日本にどんな影響を及ぼすのだろうか。まずTPP(環太平洋経済連携協定)が消滅することは確実。日本はアメリカを除く他の10か国をまとめて、新たに協定を作り直す覚悟があるのかを問われる。その場合、中国が参加の意志を表明してくる可能性もあるが、それをどう処理するのか。安倍内閣の外交手腕が試されることになるだろう。

次は駐留米軍の経費負担の増額を迫られる問題。これは政治的な問題だが、日本の負担が増えれば財源を考えなくてはならない。トランプ氏は減税や都市インフラの刷新を公約しているが、その財源については触れていない。日本や韓国などに対する安全保障のコストを引き上げ、それを財源の一部にする構想なのかもしれない。だとすれば、アメリカ側の要求はかなり厳しくなる可能性がある。

トランプ候補が選挙戦の最初に発した政策論は、移民の流入を抑えるために「メキシコとの国境に壁を作る」という暴言だった。ところが、この暴言で世間の耳目を引き付け、そこから移民によって職が奪われているという論旨へ誘導。白人男性の票を獲得したうえに、貧富の差を放置する既存の政治家に対する批判票まで掻き集めた。まことに巧妙な戦法である。

ことし6月に実施されたイギリスの国民投票。これもEU離脱という「まさか」の結果に終わった。この発端も移民の流入問題であり、国民の怒りは貧富の差に向けられた。現状を何とかして変えて欲しいという国民の願いが、EU離脱とトランプ大統領という結果を生み出したわけだ。こうした流れは、日本でも都知事選挙で一端を表したのかもしれない。国政レベルでも、可能性があることに注意しておきたい。

      ≪10日の日経平均 = 上げ +1092.88円≫

      ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ


            

トランプ大統領の 経済政策 (上)

2016-11-10 08:29:48 | 日記
◇ 底知れぬ不確かさが恐怖に = アメリカの大統領選挙は大接戦の末、共和党のドナルド・トランプ候補が勝利した。このため9日の東京市場では円相場が3円も急上昇、日経平均は一時1000円以上も急落した。トランプ氏が大統領になったら、何をやり出すのか判らない。この不確かさが一種の恐怖感となって、市場は動揺した。いったい、トランプ新大統領はどんな政策を断行しようとしているのだろうか。

今回の選挙はクリントン民主党候補との中傷合戦に明け暮れ、政策に関する発言はあまり伝わってこなかった。それでも選挙綱領や演説のなかから、ある程度の政治姿勢は明らかになっている。まずトランプ氏の基本的な姿勢は、アメリカ第一主義。言い換えれば、グローバル化への反対である。ここからTPP(環太平洋経済連携協定)には絶対反対。NAFTA(北米自由貿易協定)も、アメリカに有利な方向で修正しなければ撤回するという強硬な発言が飛び出した。

内政問題では、景気対策によってGDP成長率を平均3.5%に引き上げ、2500万人の新たな雇用を創出。このため10年間で4兆ドルにのぼる減税を実施する。減税は特に富裕層の税率引き下げに重点を置き、法人税も現行の35%から15%に下げる。また老朽化した都市のインフラを更新、生活環境を改善する。

その一方で、オバマ政権が進めてきた銀行や大企業に対する規制強化には反対。消費者保護法の厳格な適用にも反対している。また医療保険の拡大を狙ったオバマケアは中止。さらに政府との連携なしに金融政策を決めるFRB(連邦準備理事会)の独立性にも批判的だ。このためFRBが12月に政策金利を引き上げられるかどうか。早くも影響が出始めている。

                                (続きは明日)

      ≪9日の日経平均 = 下げ -919.84円≫

      ≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ


            

突出する 電気・ガス業の給与

2016-11-09 08:22:24 | 日記
◇ 飲食サービス業の4倍 = 厚生労働省は7日、9月の毎月勤労統計を発表した。それによると、1人当たりの現金給与総額は26万5325円で前年より0.2%増加した。物価を調整した実質賃金は0.9%の増加となっている。まずまずの結果と言えないこともないが、この程度の改善では個人消費が増大するとは考えにくい。したがって景気指標としては、ほとんど意味を持たない内容だった。

ところで経済指標を見ていると、ふだんは見逃している数字に出会って驚くことがある。今回の発見は、業種別の現金給与総額で電気・ガス業の数値が異常に高いことだった。その平均給与総額は45万1924円。次に高額の情報通信業を、5万円以上も上回っている。最も低い飲食サービス業の11万8630円に比べると、4倍も高いことを発見して驚いた。

東京電力はいま福島第1原発の廃炉、除染、補償費がかさみ、ふつうなら経営は債務超過に陥っているはずだ。そうならないのは、経済産業省の指導で、その赤字分を税金と9電力の料金値上げで補てんしているからに他ならない。もちろん福島の現場で働く5000人もの作業員には、危険手当も払っている。しかし全国の電力会社の社員には、直接の関係はない。

飲食サービス業には、バイトやパートなどの非正規雇用が多い。だから平均給与は低いわけだが、それにしても電力・ガス業との差は大きすぎるのではないか。大事故を起こしたのだから、電力会社の給料は安くすべきだと主張するわけではない。だが15年の給与をみても、電力・ガス業は月平均55万円を超えている。飲食サービス業は12万6600円だ。やはり少し異常だと思わざるをえない。

      ≪8日の日経平均 = 下げ -5.83円≫

      ≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ


             

途切れた アベノミックス増益

2016-11-08 08:12:11 | 日記
◇ 4-9月期は減益が確定的 = 第2次安倍内閣が発足してから、まもなく4年になる。この間、企業の業績はずっと増益基調を維持してきた。アベノミックス効果だと評価していいだろう。だが、その増益基調は途切れることが確定的になった。これまでに公表された企業の中間決算から推計すると、4-9月期は4年ぶりの減益を免れないようである。

日経新聞がこれまでに決算を発表した501社を集計したところ、4-9月期の売り上げ高は前年比7%の減少。純利益は25%の減益となった。円高の進行や新興国の経済不調が響いたという。業種別では精密機械が19%の減益、電気機械も14%の減益となっている。10-3月期については、円高の修正で利益は持ち直すという見方が強い。しかし来年3月期の決算は円相場しだい。厳しい見方をする経営者が多いようだ。

SMBC日興証券も、1部上場の607社について集計した。それによると、売り上げ高は6.6%の減少。営業利益は11.9%の減益、純利益は20.9%の減益だった。純利益でみると、一般機械の43.9%、輸送用機械の38.5%、鉄鋼の74.3%などの減益幅が大きい。一方、医薬品は15.0%、建設は13.8%の増益を維持した。

この推計でも、4-9月期が中間決算としては12年以来の減益となることは確実だという。安倍首相は来週16日の会合で、企業経営者に「来春の賃上げをしっかり」と要請する予定。だが業績が下降したために、企業が大幅な賃上げを実施する見込みは小さくなった。日銀の“黒田マジック”も、神通力を失うことになる。

      ≪7日の日経平均 = 上げ +271.85円≫

      ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ


             

今週のポイント

2016-11-07 08:15:27 | 日記
◇ いよいよ大統領選挙 = アメリカ大統領選挙への不安が、世界の市場を覆い尽くした。特にワシントン・ポスト紙とABCテレビが1日に発表した世論調査でトランプ氏の優勢が伝えられると、市場の不安は恐怖の様相にまで発展した。ダウ平均は先週5日間続落、週間では273ドルの値下がり。4か月ぶりに1万8000ドルを割り込んでいる。世界中の市場で、株価や商品市況が下落した。

東京市場にも、不安と恐怖の波は打ち寄せた。円相場が上昇に転じたうえに、9月中間決算が4年ぶりに減益となることが明らかになったため、株式は大きく売り込まれた。日経平均は先週541円の値下がり。こちらも1万7000円を割り込んでいる。トランプ大統領が出現すると、どんな影響があるのか。関係者は一夜漬けの勉強を始めたようだ。

選挙の結果は、日本時間9日深夜には判明するだろう。トランプ氏なら、市場はさらに委縮するに違いない。しかしクリントン氏でも政治基盤が弱くなるとみられ、市場は万々歳というわけにはいかないようだ。特にクリントン氏だと、FRBによる12月の利上げが決定的になるという事情もある。いずれにしても、からっとした秋晴れは望めない。

今週は7日に、9月の毎月勤労統計。8日に、9月の景気動向指数。9日に、9月の国際収支と10月の景気ウォッチャー調査。10日に、9月の機械受注。11日に、10月の企業物価と9月の第3次産業活動指数。アメリカでは11日に、11月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が8日に、10月の貿易統計。9日に10月の消費者物価と生産者物価を発表する。なお8日は、アメリカの大統領選挙。

      ≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ≫ 


             

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