経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

株価を急騰させた トランプ旋風

2016-11-17 08:02:46 | 日記
◇ 財政出動に飢えていた市場 = ニューヨーク市場のダウ平均株価は、7日から7日間の連騰。この間の上げ幅は1035ドルに達した。16日はさすがに小反落したが、終り値は1万8868ドル。あと140ドルで1万9000ドル台に載せる。トランプ新大統領の経済政策に対する期待が、株価を大幅に押し上げた。

株価の大幅な上昇は、金融株とエネルギー株が先導した。IT関連株は初め下げたが、あとになって買い進まれている。この動きは、トランプ氏の選挙戦中の言動に影響されたものだ。というのもトランプ氏は、オバマ政権による銀行への監督強化に反対。またエネルギーについても、再生可能エネルギーではなく石油や石炭を重視すると強調していたからである。

日経平均も10日からは、はっきり上げ歩調に転じた。16日までの上げ幅は1611円に達している。16日の終り値は1万7862円、こちらもあと140円で1万8000円台に到達する。ニューヨークの株高にも影響されたが、円安の効果が大きかった。円の対ドル相場は、大統領選挙直後の101円台から、一気に109円台まで下落した。アメリカの長期金利が上昇したためで、日本の長期金利もあっという間にプラス領域にまで上昇した。

トランプ氏がインフラ支出や減税を、どこまで実施するのかは全く不明。にもかかわらず、市場の状況が一変したのはなぜだろう。それは市場が、財政出動を待ち望んでいたからに違いない。裏返して言うと、金融政策は限界に達して期待できなくなっていると考えられたわけだ。主要先進国は財政の悪化から大々的な財政出動を見送り、景気の浮揚を金融政策に頼ってきた。トランプ氏は久方ぶりに、その呪縛を解き放ったとも言えるのではないか。

      ≪16日の日経平均 = 上げ +194.06円≫

      ≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ


まだ20年前に届かない GDP

2016-11-16 08:07:55 | 日記
◇ 7-9月期は2.2%成長だったが = 内閣府は14日、7-9月期のGDP速報を発表した。それによると、物価の変動を調整した実質成長率は年率換算で2.2%に上昇。4-6月期の0.7%を大きく上回った。これで3四半期連続のプラス成長になったが、景況感に近い名目成長率は0.8%にとどまっている。つまり物価の下落が、実質値を押し上げたわけだ。

内容をみると、個人消費は0.2%しか増加しなかった。企業の設備投資も0.1%の増加にとどまっている。その半面、輸出が8.1%増加。低金利の恩恵を受けた住宅投資が9.6%増加した。したがって成長率を引き上げたのは、ほとんどが外需。政府が意図する内需の拡大による経済の好循環は、全く影を潜めている。

問題は名目成長率が低すぎることだろう。名目成長率が高く、そこから物価上昇を調整した実質成長率が2%強なら、経済は好ましい姿だと言える。しかし今回のように名目成長率が低く、そこから物価の下落を調整した実質成長率が2%強になるのは、あまり歓迎されない。企業の売り上げや利益、個人の所得はすべて名目値だから、名目成長率が低いと景況感は悪くなるからだ。

近年は、こうした状況が続いているようだ。そこで7-9月期の名目GDPの実額を調べてみると、およそ123兆5000億円だった。この金額は10年前の06年7-9月期にほぼ等しい。さらに20年前の1996年7-9月期は125兆2000億円だった。したがって最近の名目GDPは、まだ20年前の水準を回復していないことになる。これでは景況感も、盛り上がらないはずである。

      ≪15日の日経平均 = 下げ -4.47円≫

      ≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ



なぜ 円安になったのだろう?

2016-11-15 07:58:44 | 日記
◇ 専門家も首をひねった = アメリカ大統領選挙ではトランプ氏が勝ったのに、どうして円安になったのだろう。選挙の結果も大番狂わせだったが、為替の読みも大きく外れた。大多数の専門家は、事前に「仮にトランプ勝利なら円高。100円をかなり突破する可能性もある」と予想していた。じっさい9日の東京市場では、トランプ氏の優勢が伝えられると、円は101円台にまで上昇していた。それがトランプ氏の勝利確定で、一挙に106円台に急落した。

選挙戦を通じて、トランプ氏はTPP(環太平洋経済連携協定)に反対するなど、保護貿易的な主張を貫いてきた。保護貿易的になれば、アメリカの貿易量は減少しドルの需要は減る。また同氏は中国をはじめとする海外諸国の通貨安を、一貫して批判してきた。さらにFRBの利上げにも反対だから、12月の利上げは困難かもしれない。こうしたことから、専門家は「トランプ氏なら円高」と予想したわけだ。

だが結果は大違いだった。トランプ氏が大々的な景気対策を実行すれば、アメリカの国債増発は免れない。すると長期金利は上昇するだろう。こうした思惑が働き、アメリカの長期金利は直ちに2.1%台に跳ね上がった。すると投機筋は一斉に新興国から資金を引き揚げ、ドルは急騰した。さらにトランプ政権は、企業が海外から資金を国内に移す際の税率を引き下げるとの見方が強まり、ドル高を後押しした。

この結果、ブラジルなどの南米諸国、インドネシアなどの東南アジア諸国の通貨は急落。株価も大きく下落している。円の対ドル相場も、約3か月半ぶりの水準に下落した。ただし専門家の間では、今後の見方が真っ二つに割れている。トランプ・ショックによる円安の流れは、来年いっぱいは続くという予想。反対に年内のうちに、円相場は再び上昇に向かうという推測。こんどはどちらを予測した専門家が、首をひねるのだろうか。

      ≪14日の日経平均 = 上げ +297.83円≫

      ≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ



今週のポイント

2016-11-14 07:59:45 | 日記
◇ ダウ平均は最高値を更新 = 東京市場はさながらトランポリン相場、上下に大きく弾んだ。9日の営業時間がアメリカ大統領選挙の開票と重なったことから、朝方はクリントン優勢で買われた。しかし間もなくトランプ健闘の展開に株価は急落。日経平均は900円を超す下げとなった。ところが、そのあと開いたニューヨーク市場は大幅な株高。これを受けて日経平均も、10日には1000円を超す値上がりとなっている。

結局、ダウ平均は先週5日間の連騰で959ドル値上がりし、過去最高値を更新している。日経平均は469円の上昇にとどまった。トランプ氏の勝利が確定した直後に開いたニューヨーク市場で、なぜ株価が高騰したのだろう。それはトランプ氏が勝利演説で、いっさい暴言を吐かなかったことへの安心感が大きく作用したと思われる。その結果、同候補の景気対策に対する期待が急速に高まった。

今週も振幅は小さくなるが、トランポリン相場が続きそうだ。トランプ氏の言動にも、大きく左右されるだろう。ただ大統領選挙に驚いているうちに、その陰では2つのマイナス要因が動き出した。1つはOPECの生産が増えてしまったために、原油価格がさらに下がり始めたこと。もう1つは日本の企業業績が悪化に転じたことである。

今週は14日に、7-9月期のGDP速報。16日に、10月の訪日外国人客数。アメリカでは15日に、10月の小売り売上高。16日に、10月の工業生産、生産者物価、11月のNAHB住宅市場指数。17日に、10月の消費者物価と住宅着工戸数。18日に、10月のカンファレンス・ボード景気先行指数。また中国が14日に、10月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額。EUが15日に、7-9月期のGDP改定値を発表する。

      ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ


               

サタデー自習室 -- 健康寿命の すゝめ ⑪

2016-11-12 08:00:45 | 日記
◇ 企業も本気になってきた = 社員が健康なら、生産性は間違いなく上がる。社内の空気が明るくなって、企業のイメージもよくなるに違いない。さらに大きいのは、健康保険の負担が減ることだ。いま健康保険料は企業と社員が折半で負担しているが、保険金の給付が急増して保険料率の引き上げが続いている。企業にとっては法人税よりも重荷だし、社員にとっては賃上げの大部分が保険料の増加で消えてしまう。

主として大企業が参加している健康保険組合の組合員は2900万人。その保険料率は07年度が給与の7.2%だったものが、16年度は9.1%に上昇した。また中小企業が作る全国健康保険協会は3500万人が参加。その経営はもっと厳しく、最近は解散する傘下の組合も増えている。

そこで企業も、ようやく社員の健康管理に本気で取り組み始めた。まず目指すのは、健康診断の徹底。大和証券やロート製薬は、そのための最高責任者を任命している。またローソンは健康診断を受けないと、本人はもちろん上司も賞与を1割削減される制度を導入。100%受診に成功したという。さらにストレス・チェックの義務化や、人間ドックの費用負担を実施した企業も少なくない。

次に目指すのは、運動量の増加。マイクロンメモリ・ジャパンでは4000人の従業員に歩数計を支給、歩いた距離に応じて賞品や金券を出している。社内にジムを作ったり、体操教室を開く企業は数多い。さらにガンや糖尿病など特定の病気を予防することに重点を置いた企業も現れ始めている。こうした企業の動きは、これから勢いを増すことになるだろう。

                               (続きは来週サタデー)

      ≪11日の日経平均 = 上げ +30.37円≫

      【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】   


              

Zenback

<script type="text/javascript">!function(d,i){if(!d.getElementById(i)){var r=Math.ceil((new Date()*1)*Math.random());var j=d.createElement("script");j.id=i;j.async=true;j.src="//w.zenback.jp/v1/?base_uri=http%3A//blog.goo.ne.jp/prince1933&nsid=145264987596674218%3A%3A145266740748618910&rand="+r;d.body.appendChild(j);}}(document,"zenback-widget-js");</script>