経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2018-03-05 08:01:24 | 株価
◇ ワシントン発の竜巻2本 = ダウ平均株価は先週772ドルの大幅安を演じた。週の前半はパウエルFRB新議長が議会で証言。アメリカ経済の順調な回復を強調し過ぎたため、市場では「ことしの利上げは3回でなく、4回になる」という見方が急増した。さらに後半はトランプ大統領が、鉄鋼とアルミに輸入関税をかけると発表。世界経済に対する悪影響が心配された。ニューヨーク市場は、ワシントン発の2本の竜巻に相次いで襲われた形になった。

日経平均も先週は711円の値下がりとなった。ニューヨーク株価の大幅安、日本の鉄鋼・アルミの対米輸出に対する影響、米中間で経済摩擦が強まる懸念。加えて円相場が105円台にまで上昇したことが、株安の要因となった。このうち円相場は、FRBによる金融引き締め、トランプ大統領の保護貿易政策の両方から上昇圧力を受けている。

FRBの利上げ加速に対する警戒は、いまに始まったことではない。だから市場も少し時間が経てば、織り込んで行くに違いない。しかし輸入制限の問題は、相手国の対応しだいでは問題が際限なく広がってしまう。市場がそのあたりまで見極めるには、長い時間がかかりそうだ。特に中国が、どんな反応をみせるのだろうか。

今週は7日に、1月の景気動向指数。8日に、10-12月期のGDP改定値、1月の国際収支と2月の景気ウォッチャー調査。9日に、1月の家計調査と毎月勤労統計。アメリカでは5日に、2月のISM非製造業景況指数。7日に、1月の貿易統計。9日に、2月の雇用統計。また中国が8日に、2月の貿易統計。9日に、2月の消費者物価と生産者物価を発表する。

      ≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ


新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】

2018-03-04 07:17:24 | SF
第3章  経 済 が な い 世 界 

≪22≫ キラキラの歴史博物館長 = 玄関前で出迎えてくれた館長は、陽の光に照らされて輝く銀色のローブを着た女性だった。すらりとした体形で、顔立ちはすこぶる整っている。全く同じ背格好の女性ロボットと腕を組んだまま、微笑みながらお辞儀をしてくれた。こちらも慌ててお辞儀をする。

「よくいらっしゃいました。私が館長のショッピーです。このロボットはラフマ。生まれたときから一緒で、一心同体の関係です。どうぞ、よろしく」

歴史博物館は郊外の森のなかに、忽然と聳え立つ大きな建物だった。ルーブル博物館のような近代的な建築物ではなく、むしろ大英博物館に近い感じ。建物の周りは広大な広場になっていて、大勢の人が散策したり、なかにはシーツを広げて弁当を食べている家族もいる。こんなに大勢の子どもを見たのも初めてだ。

やや薄暗い館内に入っても、ショッピー館長のローブは光ったまま。落ち着いた感じの応接室に通された。ぼくのマーヤはなにやら緊張しているようだ。

「ガーシュさんから伺いましたが、貴方はこの国でおカネが使われないことに興味をお持ちなんですね。もちろん、昔はおカネが流通していました。しかし、だんだん流通量が減って、全く使われなくなったのは、いまから100年ほど前のことです。
この博物館には政治や社会、科学や芸術など、いろいろな資料館があります。経済資料館もありますから、あとでご案内しましょう」

――すると、いまの人たちはおカネを使ったことがないわけですね。でも、それでうまく行くんでしょうか。ちょっと信じられないんですが。

「地球人の貴方からみれば、無理もないことかもしれませんね。でも人々の生活に必要な物資は食料でも機械でも医療品でも、みんなロボットが作っています。その原料もロボットたちが生産しています。ロボットに給料は要りません。ですから人々は、おカネを払わずに何でも手に入れることができるのです。ただロボットが働くためには、電力が必要ですね。けれど、この電力も太陽光発電ですべて賄えます。

したがって、おカネの要らない社会が実現した最大の要因は、ロボットの能力を人間並みにまで進化させたことだったと言えるでしょう。あとで科学資料館をご覧になれば判りますが、この国のロボットも最初のうちはコンピューターを人間の形に組み込んだだけのものでした。それが人間と同じ能力を持つようになったのは、人間の脳内構造をDNAごとロボットに移植する技術が開発されたからなのです。それが約100年前。そして、おカネが姿を消しました」

                           (続きは来週日曜日)    


トランプ大統領の 自己矛盾

2018-03-03 08:02:06 | アメリカ
◇ 北朝鮮と銃規制の微妙な関係 = アメリカでは銃の乱射事件が頻発している。公共施設や学校で、なんの罪もない子どもたちまでが犠牲になっている。なんとも悲惨な出来事だ。しかしトランプ大統領が「学校の教師にも銃を持たせればいい」と語ったというニュースには、唖然とするしかなかった。日本人には、どうしても理解できないアメリカの銃社会である。

三島由紀夫が1970年に割腹自殺した。そのときアメリカ人たちは「刀で自分の腹を切るとは、なんて野蛮な国民なのだ」と言って、日本人を批判した。だが「自分の国の大統領をライフルで撃ち殺すのと、どちらが野蛮だろう」と反論すると、たいていのアメリカ人は沈黙した。お互いに感性や哲学が異なっており、理解は難しいと結論付けるしかなかったことを覚えている。

そこで疑問が1つ。トランプ大統領は北朝鮮に対して核を放棄するように迫っているが、理念に矛盾はないのだろうか。北朝鮮は自衛のために核を保有するのだと主張している。この考え方は、アメリカの銃規制反対の論理と似ているように思われてならない。国際問題と国内問題は違うのだろうか。

断わっておくが、北朝鮮の核保有を擁護しているわけではない。北朝鮮は核を放棄すべきだが、それを迫るトランプ大統領の心のなかに銃規制反対の論理がちらつくことはないのだろうか。アメリカ人の考え方は尊重するにしても、この矛盾は気になってしまう。アメリカが銃規制に乗り出せば、矛盾は解消に向かうのだが。

     ≪2日の日経平均 = 下げ -542.83円≫

     【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】  


日経が載せた2つの記事 : 企業業績

2018-03-02 05:38:44 | 利益
◇ 読者は混乱したが = 日本経済新聞の27日付け朝刊(東京版)2面に「12月期企業 円高重荷 業績伸び鈍化」という記事が載った。12月決算企業を集計すると、18年12月期の純利益は前年比4%の増益にとどまる見通し。17年12月期の30%増益から、伸び率が大幅に鈍化するという内容だ。円高で輸出採算が悪化し、内需関連企業も人件費の高騰で利益が圧迫されるためだと解説している。

ところが同じ朝刊の21面を見ると、そこにも企業業績に関する記事が載っていた。こちらの方は「今3月期営業益 3度の上方修正30社超」と、きわめて景気がいい見出し。18年3月期の純利益予想は昨年4-6月期決算時点では14%の増益だったが、4-12月期決算時点では30%の増益に上方修正された。この間3回も上方修正した企業は、30社を超えているという内容だ。

一方は「利益が鈍化」という記事、もう一方は「増益率が上方修正」という記事。もしかすると、読者は混乱したかもしれない。だが、よく読むと2つの記事に矛盾はない。片方はあと1か月後に締め切りがくる3月期決算企業の話。もう片方は10か月後に決算される企業の話だ。2つの記事を合わせて読むと、企業の業績は「これまでは好調だったが、これからは伸びが鈍化しそう」ということが判る。

しかし3月期決算予想の記事では、今後の見通しに触れていない。読者がいま知りたいのは、圧倒的に数が多い3月期決算企業の「今後の見通し」だろう。仮にこの2つの記事が同じ面に掲載されていたなら、読者はかなり奇異な印象を受けていたはず。それを避けるために別のページに載せたのだとすれば、不親切な編集と言わざるをえない。

      ≪1日の日経平均 = 下げ -343.77円≫

      ≪2日の日経平均は? 予想 = 下げ


懲りない 立憲民主党の「原発ゼロ法案」 (下)

2018-03-01 07:55:46 | 原発
◇ 民主党時代からの悪いクセ = 国民感情に配慮して原発に対する依存度は、できるだけ下げたい。しかし必要な電力の供給は確保する必要がある。実は安倍内閣も、この問題では苦慮しているのが現状だ。当初は再生可能エネルギーの普及に期待したが、強制買い取り制度の運用で失敗を重ね、いまだに「エネルギー基本計画」の作成もできない状態にある。野党にとっては絶好の攻撃材料だが、対策が欠如した原発ゼロ法案などを公表すれば、お互いさま。迫力のある攻撃は不可能になってしまうだろう。

高い理想を掲げるが、実現は出来ない。これが民主党時代から引きずっている悪弊である。天下を取ったときも、民主党は沖縄の基地問題や消費税率の見直し、社会保障政策などで、この悪弊を露呈。結局は有権者に見放された。今回の原発ゼロ法案作成は、この失敗をまた繰り返しているように見受けられる。

“原発ゼロ”を掲げれば、他の与党との共闘がしやすくなるという思惑もあったに違いない。しかし理想では同調できても、具体論では一致できない。これまた民主党系の歴史が教えるところだろう。たとえば法案に書き込んだ「30%の電力節約」などは、選挙が近づけばすぐに党が分裂する根拠になる。

国民の大多数は「原発はない方がいい」と考えている。だが「耐乏生活を送っても原発はゼロがいい」と言う人は、そのうちのごく一部だ。多くの人は「生活のレベルを落とさずに、原発をゼロにする方法はないものか」と、政治家に期待をかけている。こうした国民の感情を理解できなければ、立憲民主党が政権をとることはないだろう。

      ≪28日の日経平均 = 下げ -321.62円≫

      ≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ


Zenback

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