経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

日本人を食い物にする カジノ計画

2018-03-10 09:09:57 | カジノ
◇ “美しい日本”を忘れるな = 政府は今国会に提出するカジノ開設を含むIR(統合型リゾート)実施法案の原案をまとめた。そのなかでは、日本人がカジノに入場できる回数を1週間に3回、あるいは4週間に10回以内に規制。また日本人に対しては、2000円の入場料を徴収するなどの措置が導入されている。これはギャンブル依存症の人が増えるのを防止するための方策だという。

統合型リゾートの建設は、25年に予定される大阪万博に向けて、訪日外国人旅行客の誘致策として計画された。しかし外国人客だけではカジノの経営は成り立たない。そこで日本人にも来場してもらいたいが、ギャンブル依存症の人が増えるという理由で反対論も強い。その批判を回避しようと作成したのが、この日本人に関する規制案だ。

だが、こうした規制策で日本人のギャンブル依存症が増えない保証は全くない。この点について政府は「依存症の治療や更生についても責任を持つ」と言っている。冗談じゃない。そんなことにまで責任を持ったら、病院代や更生施設にいくらカネがかかるか分からない。カジノ経営のために日本人を食い物にしておいて、挙句の果てにそんなことにまで税金を使おうとする無神経さにはあきれるほかはない。

外国人客が増えれば、経済的にはプラスになる。だが外国人に“美しい日本”を見て好きになってもらうことも、大事な効果だろう。カジノがあれば、その効果はむしろ減るのではないだろうか。ギャンブルを楽しみたい人は、ラスベガスやマカオに行けばいい。美しい自然や人情に触れたい人だけが、日本を訪れればいいのでは。

       ≪9日の日経平均 = 上げ +101.13円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】   


値上げの春に 考えること (下)

2018-03-09 07:28:24 | 物価
◇ 金利2%なら17兆円の収入増 =  理論的に言えば、物価はふつう需要と供給の関係で決まる。したがって景気がよく需要が強いときには、物価は上がりやすい。また物価は、原料価格や人件費の高騰によっても押し上げられる。家計が影響を受けるのは、この両方がもたらす物価変動だ。これに対して政府・日銀は景気を重視するから、需給によって生じる物価変動に着目する。

政府・日銀が、需給による物価変動を重視すること自体に問題はない。だが、そのために日銀が2%の物価上昇を目標とする金融緩和政策を推進すると、大きな副作用が発生する。そのうちの1つが、銀行に預金しても利子が付かなくなったことだ。いま個人の預金額は約860兆円。仮に2%の利子が付けば、家計は年間17兆円の収入増加になる。ゼロ金利から5年、家計は80兆円以上も“正常な状態なら得るべき所得”を失ったと言えるだろう。

総合指数でみた物価は、年々1-2%ほど上昇する。このため給与所得だけではなく、年金収入も目減りする。さらに利子所得はゼロ。これでは家計は節約するしかない。だから消費は増えず、景気はよくならない。この間、株を買って儲けることができた人はいい。しかし大多数の人々は、日銀のゼロ金利政策に泣かされている。

原材料やエネルギーの価格が上がっても、末端では個人が節約に走る。そうなると、個人を相手とする小売りやサービス業者は仕入れ価格を転嫁できないから、商売が苦しくなる。こんな状態を続けていいものか。日銀は再考すべきだろう。安倍さん、消費税の再引き上げどころではありませんよ。

      ≪8日の日経平均 = 上げ +115.35円≫

      ≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ


値上げの春に 考えること (上)

2018-03-08 08:09:04 | 物価
◇ 庶民の物価と日銀の物価 = やっと春がきたら、値上げラッシュもきてしまった。電気とガスの料金は、3月に続いて4月も上がる。3月から4月にかけては、ビール・冷凍食品・アイスクリーム・パックご飯・トイレットペーパー・・・。それにテーマパークの入場料や宅配便・引っ越し料金も。値上げの理由はいろいろだが、原油など原料価格の上昇と人件費の高騰が大きい。

物価が上がれば、家計は圧迫される。同じ1万円札でも、使い出が目減りしてしまうからだ。だから家計にとっては、物価は上がらない方が望ましい。ところが政府・日銀は、物価を2%まで上昇させようと懸命に努力している。ここで問題なのは、庶民にとっての物価と政府・日銀が言う物価は違うということだ。

総理府は毎月、消費者物価指数を作成して発表している。たとえば1月の統計をみると、まず総合指数は前年比で1.4%の上昇だった。ここから生鮮食品を除いた指数というのがあって、これが前年比0.9%の上昇。さらに生鮮食品とエネルギーを除いた指数だと、前年比は0.4%上昇。そのうえ食品全部とエネルギーを除いた指数では、0.1%の上昇だった。

生鮮食品の値段は天候に左右されやすい。エネルギーは国際価格によって決まる。だから、これらを除いた物価指数も作成している。そして政府・日銀は、特に生鮮食品とエネルギーを除いた指数をコア指数と呼んで重視する。1月の場合は、0.4%しか上昇していない。しかし家計にとって、生鮮食品とエネルギーは重要な支出項目だ。これらを含めると、1.4%も上昇している。この感覚の差が、いまの日本経済に大きな問題を持ち込んでいるのではないだろうか。

                              (続きは明日) 

      ≪7日の日経平均 = 下げ -165.04円≫

      ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ


トランプ保護貿易の 衝撃度 (下)

2018-03-07 08:13:21 | 貿易
◇ 貿易戦争を誰が止める? = アメリカ政府の鉄鋼・アルミ輸入制限に対して、素早く反応したのはカナダとEU。カナダのフリーランド外相は「対抗措置をとる」と言明。EUのユンケル欧州委員長は、アメリカ製の二輪車など商品の固有名詞を挙げて「報復措置をとる」と声明した。トランプ大統領は今週中に通商拡大法232条の発動に署名する予定だが、その途端にカナダやEUが対抗措置を発表する可能性はきわめて高い。

中国政府はまだ「無謀な政策だ」と批判するにとどまっているが、カナダやEUが対抗措置をとれば同調する公算が大きい。日本政府は「日本の輸出がアメリカの安全保障を脅かすとは思えない」と抗議しただけで、相変わらずの様子見だ。しかしカナダやEUに同調する国が増え、アメリカがまたそれに対抗すれば世界は貿易戦争に突入することになる。

報復的な輸入制限が拡大すれば、世界の貿易量は縮小。経済状態も悪化する。しかも経済的な対立が、政治的な問題に発展しないという保証はない。世界的な現在の安全保障体制にヒビが入る危険性さえ、全く否定できないだろう。喜ぶのは、北朝鮮の専制君主だけということになりかねない。

いまのトランプ大統領には、何を言ってもムダだろう。対応策はEUやカナダなどが、しばらく報復措置を我慢すること。そのうちにアメリカ国内でも、自動車産業やビール業界が原料の値上がりで不満を募らせるかもしれない。さて、誰がEUやカナダを説得するのか。先進国の首脳では古株となった安倍さん、出番ではありませんか。

      ≪6日の日経平均 = 上げ +375.67円≫

      ≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ


トランプ保護貿易の 衝撃度 (上)

2018-03-06 07:10:43 | 貿易
◇ 中間選挙対策の第1弾 = トランプ大統領は1日、鉄鋼には25%、アルミニウムには10%の輸入関税をかけると発表した。すべての国からの輸入に適用、無期限に実施する方針。通商拡大法232条に基づき、安全保障上の見地から輸入を規制すると説明している。この発表を受けてEU、カナダ、中国などは猛反発。輸入制限が実施されれば、報復措置をとる姿勢を明らかにした。最悪の場合は、世界貿易戦争に発展する危険性も否定はできない。

アメリカはこれまでも、中国などからの不当に安い製品には反ダンピング税を課してきた。しかし反ダンピング税は個々の商品に課税するため、効果には限界がある。また第3国経由で輸入されると、課税がむずかしい。そこで今回はすべての鉄鋼・アルミ製品を対象とし、すべての国からの輸入品に適用することになった。

ただ安全保障を理由とする通商拡大法232条の発動は、きわめて異例なことだ。これまでには1982年に、リビアからの原油輸入を禁止した例があるだけ。それだけにEUなどの反発は強く、アメリカ国内からも「やり過ぎではないか」という批判の声が上がっている。ニューヨーク市場の株価も、貿易戦争への発展を懸念して大幅に値下がりした。

トランプ大統領の最大の狙いは、ことし11月に予定される中間選挙対策だろう。その証拠に、この発表は鉄鋼・アルミ業界の代表者をわざわざホワイトハウスに招いて行われた。一昨年の大統領選挙では、鉄鋼やアルミ産業が多い北西部で“アメリカ・ファースト”をぶち上げ、これが勝利に大きく貢献した。今回の発表は、この経験から導き出された選挙対策第1弾だと考えられる。つまり第2弾もありうるわけだ。

                           (続きは明日)

      ≪5日の日経平均 = 下げ -139.55円≫

      ≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ


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