経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

バブル症状くっきり : 株式市場 (上)

2021-01-13 07:47:06 | 株価
◇ 悪材料はすべて無視 = 世界的に株価の上昇が止まらなくなった。昨年11月初めと先週末の株価を比べてみると、たとえばダウ平均は4596ドルの値上がり。上昇率は17%に達した。日経平均も5162円の値上がり、上昇率は22%にのぼっている。この間、新型コロナ・ウイルスの世界的拡散は勢いを増し、景気は二番底に落ち込む公算が強まった。しかし株式市場は、全く無視している。

ダウ平均は先週末に、3万1100ドルにまで上昇した。もちろん史上最高値である。ジョージア州の決選投票で民主党が勝利し、ブルー・ウエーブ(大統領と上下両院が民主党)が実現。バイデン新大統領による積極財政政策の展開を期待した買いが、株価を押し上げた。しかしバイデン氏は、その財源として法人税と株式譲渡課税の大幅な引き上げも公約している。

バイデン氏がこの公約を掲げて選挙戦に打って出た昨年夏、ウオール街はこれを嫌って「バイデン勝利なら株価は暴落する」と予想していた。あの当時の警戒感は、どこへ行ってしまったのだろうか。また先週は12月の雇用統計が発表され、雇用者数が減少するという予想外の結果が出た。しかし株式市場は、これも完全に無視してしまった。

さらに驚くべきことは、共和党の右派が暴徒化して議事堂に乱入するという前代未聞の騒動が持ち上がった。議員たちが避難を余儀なくされ、5人の死者が出た。アメリカ史上でも最悪の汚点となったこの事件に対しても、ニューヨーク市場は完全に無視。株価は史上最高値を更新し続けた。このバブルはいつ、何がきっかけとなって破裂するのだろう。

                       (続きは明日)

       ≪12日の日経平均 = 上げ +25.31円≫

       ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

今週のポイント

2021-01-11 07:41:20 | 株価
◇ ダウは最高値を更新中 = 年が明けても、株価の高騰が止まらない。ダウ平均は先週491ドルの値上がり。連日のように史上最高値を更新、終り値は3万1100ドルに接近した。ナスダックやSP500も、高値を更新している。ジョージア州の選挙で民主党が勝ち、ブルー・ウエーブ(大統領・上下両院が民主党)が実現。バイデン積極財政が始まることへの期待が高まった。半面、コロナの拡散には完全に目をつぶっている。

日経平均も先週は695円の値上がり。週の前半は下げたが、木曜と金曜日だけで1000円以上も上昇した。終り値では30年ぶりに2万8000円を回復している。株価をこれだけ押し上げる要因は見当たらず、ほとんどニューヨーク市場の活況に引きずられた形。景気敏感株もハイテク関連株も買われている。ただ東京市場でも、コロナの拡散は無視された。

来週20日、アメリカではバイデン氏が第46代の大統領に就任する。ここからアメリカの政治・外交・経済・社会が、大きく変わるのかどうか。どのように変わるのか。その一方、投資家はとうとうコロナの蔓延も景気の下落も、眼中に入れなくなったようだ。ある意味では、完全なバブル症状だとみてもいい。こうした状態が、いつまで続くのか。何がきっかけで、バブルは破れるのか。判らないことが、束になって現われてきた。

今週は12日に、12月の景気ウオッチャー調査。14日に、11月の機械受注と12月の企業物価。15日に、11月の第3次産業活動指数。アメリカでは13日に、12月の消費者物価。15日に、12月の小売り売上高、工業生産、生産者物価。1月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が11日に、12月の消費者物価と生産者物価。14日に、12月の貿易統計を発表する。

       ≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (43)

2021-01-09 07:33:28 | なし
◇ 加速度的に増える感染者 = まさに怒涛の年末年始だった。大晦日に東京都の感染者が初めて1000人を突破、全国の感染者は4520人に。死亡者も49人を記録した。それが1月7日には東京都の感染者が2447人、全国では7570人に急増。死亡者も64人に増えている。政府もようやく1都3県に緊急事態宣言を出したが、この加速度的なウイルスの感染増加に歯止めをかけられるのか。少々心許ない気がする。

1月7日時点の集計で、世界の感染者数は累計8920万人、死亡者は188万人を超えた。特にアメリカとイギリスの状態が悪い。アメリカの感染者は2130万人、死亡者は36万1312人に達した。死亡者だけをみると、次いでブラジルが19万人台、インドが15万人台。メキシコが13万人台、イギリスとイタリアが7万人台、フランスが6万人台。ロシア・イラン・スペインが5万人台と続いている。

アメリカではニューヨーク州やカリフォルニア州など、多くの地域で外出禁止令が出された。またイギリスでもイングランドとスコットランドの全域で、都市封鎖が断行された。感染力が強い変異ウイルスも、拡散してしまったようだ。この両国では待望のワクチン接種も始まったが、まだその効果は表れていない。

日本の感染者数は累計26万7716人、死亡者数は3898人にのぼった。これまで日本の感染者や死亡者は欧米に比べると極端に少なく、マスクの着用や手洗い回数が多いためだとも言われてきた。しかし同じ島国であるイギリスの場合、昨年4月3日の時点では死亡者が2352人だった。それがいまや7万人に。日本がイギリスのあとを追わないという保証はない。

       ≪8日の日経平均 = 上げ +648.90円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】    

新・緊急事態宣言の 経済的損失

2021-01-08 08:11:33 | なし
◇ 最悪ならオリンピックも中止 = 緊急事態宣言が再び発令された。対象は感染者の増加が止まらない1都3県だけ。営業の時短要請は飲食店を中心に、夜8時まで。学校関係はいっさい規制しない。昨年4-5月のときは全国が対象。デパートなどを含めて終日営業停止、娯楽施設やイベントも開けなかった。それに比べると、今回は規制の内容がきわめて緩やかだ。その経済的な影響はどうだろう。

昨年の緊急事態宣言は、4月7日から5月25日まで49日間にわたって実施された。そのときのデータをもとに、数多くの調査機関が予測を発表している。ちなみに昨年の場合、4-5月の個人消費減少額は21兆9000億円だった。ここから今回は期間を1か月と仮定、昨年との相違点や各種補助金の増額などを考慮して計算している。

それでも結果は、大きくバラついた。消費支出の減退は1か月で、1兆4000億円~4兆8900億円という試算。したがって最大の場合でも、消費の減少は昨年の22%にとどまる。ただ企業の倒産や失業者の増加は免れないから、経済的な損失はその後も尾を引くことになるだろう。1-3月期のGDPはマイナスになるという予測が、圧倒的に多い。

問題は昨年より緩い規制で、感染者の増加をどこまで縮小できるかということ。十分に縮小できなければ、緊急事態は延長せざるをえなくなる。最悪なのは、十分に縮小しないうちに規制が解除されること。春から夏にかけて、第4波がやってきてしまう。そうなると時間的な条件から考えて、オリンピックの開催は不可能になる。

       ≪7日の日経平均 = 上げ +434.19円≫

       ≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

スコットランドが独立?

2021-01-07 07:50:20 | イギリス
◇ イギリスを襲う次なる難題 = イギリスは昨年末、EUとの間で離脱後の関係を定める広範な交渉で合意した。これによって交渉が決裂した場合に想定された経済的・社会的大混乱は、あやうく回避された。ところが一安心するヒマもない。新型コロナの変異ウイルスが急速に拡散、イングランドでは3度目の都市封鎖が断行された。そのうえスコットランドが、大英帝国から離脱する危険性も強まっている。

EUとの間で合意した内容は、すべての輸入関税を相互にゼロとするFTA(自由貿易協定)の締結。航空・鉄道・車両・船舶など交通機関の現状維持、イギリス水域内での漁業権など。このうち最後まで揉めた漁業権については、EUの漁獲量を25%減らし、少なくとも5年半は操業を認めることで決着した。

交渉の妥結は当たり前のことだが、イギリスとEUの双方が譲歩することでもたらされた。漁業権の譲歩もその1つだが、イギリス国内ではそれに対する不満も高まっている。特にスコットランドでは、批判が強い。もともとスコットランドはEU離脱に反対。離脱を決めた16年の国民投票でも、スコットランドだけをとれば62%が残留に賛成していた。

というのもスコットランドは、工業製品やウイスキーなどEUへの輸出依存度が高い。今回も関税はゼロのままだが、域外国となったため複雑な通関手続きが必要になった。メーカーにとっては、余計なコストがかさむわけである。そして5月にはスコットランド議会の選挙が行われる。コロナの影響もあって、それまでに景気が悪化すると独立派の議席が増える。「イギリスはEUから離脱した。われわれはイギリスから離脱する」という空気が一挙に高まりかねない。

       ≪6日の日経平均 = 下げ -102.69円≫

       ≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

Zenback

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