経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (49)

2021-02-20 08:00:02 | なし
◇ 変異ウイルスへの対応が急務 = 新型コロナ・ウイルスのパンデミック(世界的大流行)は、峠を越えたように思われる。日本時間19日午前0時の集計で、世界の感染者は1億0990万人、死亡者は243万人に達した。この1週間で感染者は256万人、死亡者は8万人増えている。しかし、この増加数は前々週の353万人、10万人増と比べれば、明らかに縮小した。ワクチンも世界では2億人が、第1回の接種を完了した。ところが必ずしも安心は出来ない。変異ウイルスが、着実に広まり始めたからである。

アメリカの感染者は累計2783万人、死亡者は49万0718人となった。この1週間で死亡者は1万8954人の増加。例によって死亡者だけをみると、ブラジルが24万人台、メキシコが17万人台。次いでインドが15万人台、イギリスが11万人台。さらにイタリアが9万人台、フランスとロシアが8万人台、ドイツとスペインが6万人台と続いている。ただ注目すべきは、これら各国の死亡者増加数がそろって前週を下回ったことだ。

日本でも、コロナの勢いは確実に弱まっている。感染者の累計は42万2750人、死亡者は7312人となった。この1週間で感染者は1万0114人、死亡者は495人の増加。感染者の増加数は3週間前の2万8448人、死亡者は2週間前の675人に比べれば、はっきりと縮小している。そして欧米諸国に比べると2か月遅れで、ようやく日本でもワクチンの接種が始まった。

しかし、その一方で変異ウイルスの流行が始まってしまった。WHO(世界保健機関)の集計によると、7日時点で変異ウイルスは世界110か国で発見された。日本でも全国で90件以上が見付かっている。変異ウイルスは何種類もあるためウイルスごとの感染力、致死率、あるいはワクチンに対する抵抗力など、まだ不明な点ばかり。まごまごしていると、またウイルスにやられてしまう。

       ≪19日の日経平均 = 下げ -218.17円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】     

敵は“物価上昇”にあり : 株式市場 (下)

2021-02-19 08:05:31 | 株価
◇ FRBが「引き締め」を口にするだけでも = いまアメリカの議会では、激しい論争が巻き起こっている。総額1兆9000億ドルに及ぶバイデン大統領の追加コロナ対策が、過大かどうかの議論である。民主党は雇用の回復が遅れているから、思い切った対策が必要だと主張。共和党はインフレになると反対する。だが下院を制する民主党が押し切り、月内には法案が成立しそうだ。この見込みが強まったことから、株価には上昇の弾みがついた。

アメリカの物価は、まだそれほど上昇していない。昨年12月とことし1月の消費者物価は、ともに前年比1.4%の上昇だった。ただ昨年春から夏にかけては、コロナの影響で1%以下の上昇にとどまっていた。だから最近、上昇幅を広げていることは確か。さらに4月以降は昨年の上昇率が小さかったため、前年比が大きく出やすい。

ワクチンの接種でコロナが収まると、溜っていた消費意欲が噴出し物価には上昇圧力がかかる。さらに最近1バレル=60ドルを超えてきた原油価格の上昇も、物価を引き上げる大きな要因に。こうして物価上昇の条件が重なってくると、人々の間に「物価先高観」が広まって行く。そこでFRBが「先行き引き締めもありうる」とでも言えば、それだけで株式バブルは崩壊するだろう。

実際に物価が高騰しインフレ状態にならなくとも、多くの人が「物価は上がり続ける。だからFRBは金融緩和を終了するのでは」と考えるだけで、株価は急落するに違いない。日本の場合は大幅な需要不足に陥っているから、物価が上昇する可能性は小さい。しかしニューヨーク市場でバブルが破れれば、東京市場の株価が揺れ動かないわけにはいかない。

       ≪18日の日経平均 = 下げ -56.10円≫

       ≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

敵は“物価上昇”にあり : 株式市場 (上)

2021-02-18 07:59:08 | 株価
◇ 新型バブルの致命的な弱点 = ダウ平均は3万1000ドルを超えて、史上最高値を更新中。日経平均も3万円の大台に乗せて、なお上昇力を失わない。多くの投資家は「バブルの再来だ」と感じ始めている。だから株価はいったん大幅な反落に見舞われるかもしれない。しかし株価が下がれば、安値拾いの投資家がどっと現われ、株価はすぐに回復するに違いない。つまり、このバブルはなかなか破れない“新型”なのである。

バブルの皮が厚く丈夫になったのは、異常なカネ余りのせいだ。原油や金などの商品市場では規模が小さすぎて資金を消化し切れないから、あり余るカネはどうしても株式市場に流れ込む。だからバブルは破れにくくなった。しかし耐久力を増したこの新型バブルにも、弱点はある。1つは金利の上昇、もう1つは物価の上昇だ。

金利が上昇すると、資金は株式市場から債券市場へと動きやすくなる。もし大幅に金利が上昇して大量の資金が移動すれば、株価は下がる。バブルも破れるだろう。いまアメリカではバイデン政権による積極財政政策で国債が増発されるという予想から、長期金利が1.3%にまで上昇。その心配が出始めている。しかし、この心配は、もしFRBが大量の国債を買い入れれば解消するだろう。

物価が上昇すると、FRBはインフレを阻止するために金融政策を引き締めに転換せざるをえない。つまり長らく続いた金融緩和政策は終わり、逆に資金は中央銀行に引き揚げられる。株式バブルを育んできたカネ余りの源泉が、閉じられてしまうことになる。これは株式市場にとっては致命的。新型バブルも破裂することになる。

                     (続きは明日)

       ≪17日の日経平均 = 下げ -175.56円≫

       ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫          

世界最大の株主になった 日本銀行

2021-02-17 07:39:37 | 日銀
◇ 株高でも買い続ける不思議 = 日銀の発表によると、昨年末時点のETF(上場投資信託)保有額は35兆3005億円だった。これは買い入れ価格の累計で、時価に直すと46兆5600億円になる。一方、これまで国内最大の株式保有者だったのはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)。そこが発表した昨年末時点の株式保有額は45兆2700億円だった。つまり日銀が最大の株式保有者となったわけ。他国の中央銀行は株式を購入しておらず、日銀はおそらく世界最大の株主になったとみられる。

日銀は10年から、市場を通じてETFの購入を開始した。リーマン不況による株価の下落を、少しでも食い止めることが目標だった。買い入れ額は年々大きくなり、たとえば18年は6兆5000億円、20年は7兆1000億円にのぼっている。ところが不思議なのは、株価が大幅に上昇していても、ETFを買い続けていることだ。たとえば昨年11月、日経平均は大きく上昇したが、日銀はETFを1630億円も買っている。

この日銀のETF購入については、批判も少なくない。民間が自由に取引する市場に日銀が参入することで、市場の需給調節機能が損なわれる。またETFには、業績がよくない企業も含まれてしまう。このため株価が下落するはずの銘柄が値下がりを免れる・・・などなど。しかし日銀はこれらの批判に、耳を傾けることはなかった。

株価が上がれば経済界の空気が明るくなり、消費も増える。だからリーマン・ショックやコロナ・ショックのときに、日銀が買い出動するなら理解できる。しかし株価がここまで回復した現在、ETFの買い入れは必要なのだろうか。株高でもうけた一部の人が、高級品を買い漁る。そんな風潮を助長するだけではないのか。日銀だけでなく、みんなで考えてみたい問題である。

       ≪16日の日経平均 = 上げ +383.60円≫

       ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

コロナ不況からの脱出は いつ?

2021-02-16 07:36:51 | 景気
◇ 年内の達成は微妙 = 内閣府は15日、昨年10-12月期のGDP速報を発表した。それによると、実質成長率は年率換算で12.7%。7-9月期の22.9%に続いて、2期連続のプラス成長となった。事前の予測を上回ったこともあり、15日の日経平均株価は大幅に上昇して3万円の大台を30年ぶりに回復している。いずれも年率換算で個人消費が9.0%、企業の設備投資が19.4%、輸出が52.3%も伸びて成長率を押し上げた。

言うまでもなく、2期連続で成長率が大幅に伸びたのは、コロナの影響で昨年前半の成長率が激減したことの反動。では前半の急降下と後半の急上昇で、結果はどうなったのか。同時に発表された20年のGDP速報をみると、年間を通じた実質成長率はマイナス4.8%だった。またGDPの実額は542兆円で、コロナ前のピークだった19年7-9月期の559兆円を約3%下回っている。

世界の状況を見ると、20年の成長率はアメリカがマイナス3.5%、ユーロ圏はマイナス6.8%、EUを離脱したイギリスはマイナス9.9%だった。このうちアメリカのGDPは、コロナ前の水準の98%を取り戻している。議会予算局の予測によると、21年の成長率はプラス4.6%で、アメリカはことしの年央にコロナ前のGDP水準を回復するという。一方、ユーロ圏やイギリスは年内の回復は困難だとみられている。

さて、日本はどうなるか。いま主要都市には2回目の緊急事態宣言が発令されており、1-3月期の成長率が再びマイナスに転落することは必至の情勢。民間エコノミストは、平均5.47%のマイナスを予測している。すると7-9月期でのコロナ不況克服はちょっと無理。万事はコロナ次第だが、オリンピックの経済効果も見込めなくなったことまで考慮すると、年内のコロナ前回復は微妙かもしれない。

       ≪15日の日経平均 = 上げ +564.08円≫

       ≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

Zenback

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