経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

岸田さん、それダメ!

2022-06-24 07:42:04 | 物価
◇ あなたの発言は矛盾している = 参院選では、物価の問題が論争のマトになっている。この物価騰貴について、岸田さんは「適切な対策を打ったから、日本の物価上昇率は欧米よりずっと低い」と、たびたび発言した。自民党の選挙公約にも「政府の緊急対策で、日本の物価上昇は欧米の4分の1程度に収まっている」と書いてあるから、自民党幹部の一致した考え方でもあるのだろう。だが、この考え方は間違っている。

たしかに直近の消費者物価上昇率をみると、アメリカの8.6%に対して日本は2.5%にとどまっている。しかし、これは政府の対策が効果を挙げたからではない。政府の対策はガソリンに補助金を出したぐらい。これでは物価指数を0.1%も下げられなかったろう。物価の上昇が抑えられた原因は、景気が悪いために高騰した輸入物価を小売り段階に転嫁できないことにある。

日銀の集計によると、5月の企業物価は前年比9.1%の上昇。うち輸入物価は43.3%も上昇した。だが、これを急速に転嫁できないため、消費者物価が2%台の上昇に抑えられていることは明かだ。おかしなことに岸田さんも自民党も、この価格転嫁の問題はよく認識しているようだ。たとえば選挙公約でも「労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分について、中小企業の取引価格の転嫁対策を徹底する」と書いている。

一方で「物価上昇の低さ」を自慢しながら、他方ではその原因である「転嫁の遅れ」をなくそうとする。どう考えても、論理の矛盾としか言いようがない。価格転嫁を促進して消費者物価が欧米並みに上昇すれば、岸田さんも自民党も大いに困ることになることは明かだ。優秀な自民党の幹部諸氏は、そんなことは十分に認識しているに違いない。にもかかわらず「物価は抑えられている」と強調するのは、選挙対策としか考えられない。だが矛盾した論理はダメである。

        ≪23日の日経平均 = 上げ +21.70円≫

        ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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底値を探る展開 : 株式市場

2022-06-23 07:31:43 | 株価
◇ 船頭多くして、見通しは混沌 = FRBの0.75%利上げをきっかけとして、ニューヨーク株式市場は完全な弱気相場に突入している。ダウ平均株価は先週末3万ドルを割り込み、SP500やナスダックの株価指数も年初来安値に落ち込んだ。こうしたなかで、市場の関心は「いつ下げ止まるのか」に集中。いろいろな見方が飛び交っているが、まだ見通しは固まらないようだ。

「株価の調整はほぼ終わった」と、考える市場関係者も少なくない。こうした人たちは、PER(株価収益率)の低下に注目する。たしかにSP500のPERは、一時の40倍から最近は18倍程度まで低下した。つまり‟買われ過ぎ”の状態からは抜け出したというわけである。だがPERは企業の収益が減少すれば、また上がってしまう。こう考える人は「まだ底値は先だ」と主張する。

こうなると、問題はこの先の景気見通しに移行する。FRBは22-23年の成長率を1.7%と予測しているが、実際はもっと悪くなると考えればPERは予想以上に上がるかもしれない。その半面、コロナ禍で溜まった消費支出が出るから、景気はそんなに悪化しないという見方もある。それならPERは、それほど上昇しないだろう。

最も慎重な見方は「現在の株安は、金融バブルの崩壊を表している」という考え方。となると、バブルの大きさをどう評価するかは、人によってもまちまち。ダウ平均で言えば、3万ドルとみる人もいれば、2万ドルと考える人もいる。こうした数多くの思惑が、いま市場で交錯している状態。どの予想が真実に近いのか。あと1週間もすれば、しだいに見えてくるだろう。

        ≪22日の日経平均 = 下げ -96.76円≫

        ≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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日経新聞の世論調査が 教えること

2022-06-22 07:11:30 | 政治
◇ 国民の真意を率直に受け止めるべし = 日経新聞が実施した6月の世論調査によると、岸田内閣の支持率は60%で前回5月調査より6ポイントも低下した。不支持率は32%に上昇している。また政党支持率でも、自民党は45%で前回より6ポイント低下した。ただ2位の日本維新の会に対する支持率は8%で、自民党の圧倒的な優位は変わっていない。

この調査では、2つの重大な問題点が明らかになった。その1つは物価上昇に対する厳しい反応。最近の物価上昇について「許容できない」と答えた人は64%にのぼり、「許容できる」の29%を大きく上回った。国民の関心はこの1か月でコロナから物価に移行しており、内閣や自民党の支持率を引き下げる要因になったと考えられる。

もう1つは、日銀の金融緩和政策に対する批判。現在の緩和政策を続けるべきかどうかの質問に「続けるべきではない」が46%に達し、「続けるべきだ」の36%を10ポイントも上回った。日銀の緩和政策で内外金利差が拡大、その結果は円安が進んで物価上昇を加速している。この事実を、多くの国民が理解し始めた証拠と言えるだろう。

政府の物価対策は、ガソリンに対する補助金の支出ぐらい。もっと根本的な対応策、たとえば原発や再生可能エネルギーについての具体的な姿勢が示されていない。また日銀の緩和政策で、得をしている人は誰なのか。たとえばスローペースで金利を1%程度に引き上げた場合、もっと多くの企業や個人の収入が増えるのではないのか。世論調査の結果は、こうした点を政府・与党に問いかけている。

        ≪21日の日経平均 = 上げ +475.09円≫

        ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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奇妙な現象が多発 : 世界の市場

2022-06-21 08:14:58 | 株価
◇ 100年に1度の偶然も出現 = FRBが大幅な利上げに踏み切ったことで、いま世界の株式・為替・商品市場は緊張状態にある。こんなとき市場には不可解な動きが出現しがちだが、はたして先週は奇妙な現象が続出した。まずはニューヨーク株式市場。FRBが0.75%の利上げを発表した15日、ダウ平均株価は6日ぶりに反発して304ドル高となった。市場では「1%の利上げがなかったから」という解説。どうもおかしいなと考えていたら、あくる16日には700ドルを超す値下がりとなった。

次は東京外国為替市場。同じ15日、円の対ドル相場が2-3円上昇した。日米間の金利差が拡大したのに、円高とは不思議だった。市場では「ヨーロッパの利上げで、ドルの対ユーロ相場がやや下がったため」という理由付け。だが円ドル相場には関係がないはずだと首をひねっていたら、あくる日からはやっぱり円安基調に戻っていた。

さらに原油の国際市場。たとえばWTI(テキサス産軽質油)先物相場は、1バレル=120ドル前後だったものが、110ドル近くにまで急落している。中国の経済活動が正常化すると需要が増大、価格は上昇するとみられていたのに、どうしてなのか。市場では「各国の利上げで世界の景気が後退。需要が減る」予想なのだという。だが、それにしても下げ幅が大きすぎる。投機筋が仕掛けたワナではないのか。

最後は100年に1度の偶然。やはりFRBが利上げを発表した15日のこと。日経平均は終り値で「303円70銭の下落」だった。ところが驚いたことに、その日のダウ平均は「303ドル70セントの上昇」で終わっている。上昇と下落の違いはあるが、日米の株価が5桁まで一致することは珍しい。おそらく100年に1度の偶然だろう。

        ≪20日の日経平均 = 下げ -191.78円≫

        ≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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今週のポイント

2022-06-20 07:35:48 | 株価
◇ 利上げ↠景気不安で、株価は大幅安 = ダウ平均は先週1504ドルの値下がり。3週連続の下落で、この間の下げ幅は3300ドルを超えた。終り値は2万9889ドル。3万ドルを割り込んだのは、昨年1月以来のこと。ナスダックとSP500指数も、大きく下げている。ただダウ平均でみると、年初来の下げは717ドルにとどまっている。それだけ最近の株価上昇は急激だったとも言えるわけだ。

日経平均は先週1861円の値下がり。終り値は2万5963円。2万6000円を割ったのは、5月中旬以来。年初来では2829円の下落となっている。先週の動きだけからみると株価は暴落したような感じさえあるが、実際はそれほど大きく下げてはいない。日本株が出遅れていたためでもあるようだ。いずれにしても、今後はニューヨーク次第ということになってくる。

株価が大幅に下落したきっかけは、FRBが政策金利を0.75%も引き上げたこと。これでアメリカの景気に対する先行き不安が一気に強まった。さらにイギリスやスイスが追随して利上げに踏み切ったため、世界経済の先行きにも警戒感が広まっている。こうした感触が持続すれば、今週も株価は下がる。だが市場が下げ過ぎを意識すれば、いったん反発するかもしれない。ここからは底値を模索する動きが始まるだろう。

今週は24日に、5月の消費者物価、企業向けサービス価格。アメリカでは21日に、5月の中古住宅販売。24日に、5月の新築住宅販売。なお25-26日には、ドイツでG7(主要7か国)首脳会議が開かれる。

        ≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
         
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