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最終日のメインは新潟砂丘の西大畑・旭町界隈を散策する予定だった。
まずやって来たのは旧齋藤家別邸。
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旧齋藤家住宅は豪商、四代目斎藤喜十郎が大正7年に建てた別荘。
齋藤家は明治から昭和初期にかけて、新潟の三大財閥のひとつに数えられた名家で
幕末の頃家業の清酒問屋から、明治時代に入ると
海運業、銀行業、化学工業など事業を発展させ、地域経済の近代化に大きく貢献したという。
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1300坪という広大な敷地の半分以上を占めるのがこの日本庭園。
ボランティアガイドさんによる日本庭園の見方などのレクチャーを受けながら邸宅を見学した。
庭は傾斜のある砂丘の地形を利用し、その高低差を利用して滝や小川が造られていて
ダイナミックな奥行きが感じられる。
庭園に生える松は防砂林として約150年前に植えられたものだそうで、それらがうまく庭園に取り入れられている。
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この庭は「庭屋一如」という考え方に従って造られたものだという。
庭園と建物を一体のものと考えて、室内から庭園への眺望を楽しむというもの。
庭に面したガラス戸を全て開け放つことで、庭との一体感も生まれる。
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そして畳の上に座った時の目線が最も美しくなるように工夫されている。
更に部屋の前方から眺めた庭と後方から眺めた庭とでは、
目に飛び込んでくる景色がまた違ってくるのだ。
この日は雨模様だったのだけど、日本庭園は雨の方がしっとりと落ち着いた趣が感じられるなあ。
ただ庭園内を歩くことができず残念だったけど。
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こちらはプライベート及び迎賓用として使ったと言われている西の間。
窓からは竹林を望め、大広間の松、茶室の梅と共に吉祥を表しているのだそう。
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中央の欄間にも竹の彫刻がほどこされている。
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西の間の床の間
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南向きの窓からは紅葉が見られ、灯籠と井戸が見える。
井戸は竹と木を使って造られており、屋根は小さく、少し傾いている。
水平にせずにあえて傾けてあるのがわびさびの表現だそう。
そして畳に座った時の目線で見える窓の外の風景が完全に計算し尽くされているのだ。
日本人にとっては不自然には感じないのだけど、
ガイドさんがいうには外国人にとっては水平でなく傾いていることが感覚的に受け入れられないのだとか。
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二間続きの西の間のこちらの窓からは
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竹林が見られ、大広間から見る庭園とは又うって変わって静けさを感じる。
この隣のお茶室などは窓から梅の木が見えるようになっているのだけど、
枝が間引かれ、一つ二つの梅の花だけが眺められるという心憎い演出がされているという。
必要でないものを究極までそぎ落とした美しさ、まさに茶道の精神が表されているんだなあ。
どの部屋も部屋の窓から見た庭を意識して造られていて、建物が建った後に、
施主と庭師との綿密な打ち合わせの元、出来上がったものだとのこと。
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そして2階の大広間へ。
こちらも窓が取り払われ、2方向から庭の景色が目に入るようになっている。
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2階からの庭の眺めはまた1階とは違う風情が感じられる。
上から俯瞰することで、滝に落ちる水音も又違って聞こえる。
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窓周りに巡らされた欄干の細工も凝っている。
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欄間の細工も
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そして後方から眺めると庭の景色、滝の音も又違ったものが味わえる。
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1階の正式な床の間とは変わって2階大広間の床の間は少し崩した構えで造られている。
二畳敷きの床に床柱は桑、違い棚に花梨と珍木があしらわれ、
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違い棚は細かい透かし彫りに。
これは横から回り込んで見ないとはっきりわからないという設定。
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書院欄間は鳳凰などがあしらわれているのだが、
ちょっと見ただけでは、よくわからないので、
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欄間をよく見ようと裏へ回った時に、目に入る地袋。
扉が緩やかにカーブを描いていて、松籟閣でも見た高度な職人技のいる細工に目が止まる。
なんとこれは、これ見よがしにアピールするのでなくあえて隠してあるのだとか・・そ、そこまでするか・・
高度な隠しアピールには唖然としてしまった。
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大広間の欄間は菊の透かし彫りが入れられているのだが
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桐の一枚板に彫り込むという高度な技もうかがえる。
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3点ある板戸絵も写実的でとても美しい
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建物の採光にも工夫がされていて、建物を南側に配置することで、
庭園の眺望を順光にし、自然光のやわらかい光を取り入れる間取りになっているのだとか。
こちらは2階手洗いにある猪の目窓。
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お手洗いの天井は二色使いの矢羽柄になっていた。
ボランティアガイドさんの詳しい解説により、
おもてなしの心で極限まで造り込んだ数寄屋建築の数々の技巧や庭園と一体となった建物を思う存分楽しむことができた。