昨日は、平田タイルの平田前会長さんにお誘い頂き、
淡路島の福良にあるダントータイル技術研究所へお連れ頂いた。
福良のダントーへ訪れたのは、今回で3度目になるが、
昨年からダントータイル技術研究所の上席研究員として赴任された、タイル考古学の提唱者、深井明比古先生にもお久しぶりにお会いできるというので楽しみにやってきた。
2008年に
初めてダントーへ訪れた時は、まだ資料室などはなく、会議室?の片隅に、マジョリカタイルや、眠平焼が所狭しと置かれていたが、深井先生により整理され、資料室が新たに誕生していた。
(今のところ一般公開はされていません)
こちらに展示されてるマジョリカタイルのほとんどは、建物などに実際に貼られていたものではなく、ストックとして保存されていたものだそう。
やわらかで透明感のある色彩が美しい
4枚を繋げると図案が浮かび上がるマジョリカタイル。
180度回転させると、デザインがガラッと変わるのがおもしろい。
こちらの蜘蛛の巣タイルも4枚一組で図案が浮かび上がる美しくもシュールなデザイン。
ダントーの所蔵品に交じって、深井先生の私物のタイルも展示に追加されていた。ブルーとグリーンの濃淡が美しいレリーフタイル。
タンザニア、ザンジバルで発掘調査の際、手に入れられたというハーフサイズのマジョリカタイルは、こちらも淡陶社製。花や果物にカラフルな彩色がされている。
京都・船岡温泉でも欄間の上で大輪の花を咲かせてるタイルもあった。
明治時代の乾式タイル。
古いものになると、表面は彩色を施すために白地がきれいな土を使うなど、土が二層に分かれていたとか。
ボーダーの役物タイルも種類豊富に。
極細幅のタイルに、細かな模様が入っているのは、組み合わせて使うとおしゃれでかわいい。
石風の役物タイルも。
珉平焼きの薄造りの鉢。
内側外側共、繊細な龍の線刻が入り、珉平焼らしい鮮やかな黄色が発色。
繊細な絵付けが施された組絵タイルも。
展示物は、まだまだ他にもたくさん。
着物姿の女性が鏡を覗き込むマジョリカタイル尽くしの洗面所が描かれた組絵タイル。
こちらは、販促のために作られたものだとか。
よく見ると、女性の着物や水栓金具、手洗いに映り込んだ着物の影まで
かなり細かなところまで描きこまれたもの。
ダントーでは、復刻マジョリカタイルも手掛けられていて、こちらの研究所のトイレの床面には、その復刻マジョリカタイルが贅沢に使用されている。
すごいインパクトで、入るなり声を上げそうになった。
腰壁には、無地の白いタイルと、役物のレリーフタイルが床を引き立てている。
手洗いの床に敷かれてたタイルの組み合わせもおしゃれだなあ。
男子トイレは、女子トイレと色違いの復刻マジョリカタイルに。
工場長さんにも、工場内を案内して頂き、乾式タイルの製造ラインや、巨大な窯などを拝見させて頂いた。
ダントーでは、建築素材として、又、生活雑貨としても、積極的にタイルの普及活動をされていて、新しいタイルの開発にも力を入れられている。
復刻マジョリカタイルのほかにも、さまざまな新製品も拝見させていただいた(撮影禁止の為写真はないが)
こちらのテーブルは、イベント時に、ワークショップなどでも活用できるようにと、ダントーのさまざまなタイルで装飾されたシンボル的なもの。
天板には、ダントーの復刻マジョリカタイルが貼られている。
本物のマジョリカタイルと比べても、見分けがつかないくらい再現度が高く、
美しい。
現代の?色味にアレンジされたマジョリカタイルやレリーフタイル。
「どんざ」と言われる淡路島の伝統的な刺し子の文様をモチーフとし、生み出されたタイルもある。硬いタイルながら、布のようなやわらかさが感じられるデザイン。
こちらに実物はないが、蛍光灯のガラスの廃材を固めて作られたというガラス質のタイルも興味深かった。
ややグリーン味を帯びた半透明のガラスタイルは、質感がとてもよくて素敵だった。廃材の再利用というのもいいな。
毎年イタリアで開催されるという国際的な見本市「ミラノサローネ」に向けて制作されている最先端の製品も見せて頂けた。(撮影禁止の為写真はないが)
この日は、明治時代のマジョリカタイルから、現代の最先端のタイルまで、じっくりお話をお聞きしながら楽しませていただくことができた。
マジョリカタイルなど貴重な資料のあるダントーの資料室は、現在は一般には公開はされていないそうだが、せっかくの美しいタイルたちなので、タイル文化普及?の為にも誰もがいつでも見れるようなタイルミュージアム、関西圏にも一つあったらいいな。
前後するが、昼食をいただいてから、ダントーの復刻タイルが使用されているという福良の「うずまちテラス」へも案内して頂いた。
マジョリカタイルはトイレにあるとのこと。
エントランスから、美しくアールを描く曲面に貼られたモザイクタイル。
女性トイレの方は、ピンクと赤のグラデーション。
中央の白いモザイクタイル柱から、徐々にピンク味、赤味を増していく壁面。
突きあたりの壁には、赤いモザイクタイルに囲まれたマジョリカタイルの壁が
そびえ立つ。
奥へ進むと、鏡周りには、別種類のマジョリカタイルがびっしりと貼られていた。
なんと贅沢なのだろうか。。
多目的トイレには、グリーン系のモザイクタイルが一面に貼られていた。
午後からは上記の資料室で、お話を伺いながら見学させて頂き、
ダントーに残されていたという昔のタイルづくりの記録フィルムも拝見。
去年自分が訪れたハンガリーとチェコのタイル事情もプリントアウトしてきた写真で皆さんに見てもらうことができた。
この日はおかげさまでタイル三昧の楽しい一日を過ごすことができた。
どうもありがとうございました。