今回申し込んでいた名古屋陶磁器会館の見学ツアーへ。
こちらの建物もずっと以前に外観だけ見にきたことがあり、今回内部見学もできるとのことで
楽しみにしていた。陶磁器会館というだけあって、タイルも見れるのではないかと期待。
名古屋陶磁器会館は昭和7年に旧名古屋陶磁器貿易商工同業組合事務所として建設された。
設計は鷹栖一英(師匠が名古屋近代建築の父、鈴木禎次)で生涯唯一の作品だったとか。
外壁は常滑産のスクラッチタイルに覆われていて、ドイツ表現主義の意匠が見られるという。
入口のテラコッタ装飾
当初は窓周りに鉄のグリルが何カ所かはまっていたそうだが、戦時中の金属供出で取り去られ、
その鉄柵の跡がぽつぽつと残っている。
2階のアーチ窓の周りにもグリルの跡が。
玄関ホールの扉上部には幾何学模様のステンドグラス
玄関ホールのアールデコ調の照明
受付窓口周りは大理石に囲まれている。
そして、玄関ホールに敷かれているタイルは「ダイヤ」と呼ばれる伊奈製陶のタイル。
現存例はかなり珍しいそう。
たしかに、初めて見る形・・
更に廊下に敷かれたタイルも同じく伊奈製陶のもので、
「モンキー」と呼ばれる。
猿の顔の形に似てるからなのかなあ。
こちらも幻のタイルだそう。
廊下の突き当りは旧事務室で、現在陶磁器の展示室となっている。
展示物は戦前から戦後にかけて名古屋で上絵付加工された陶磁器製品。
当時、海外輸出向けに加工された陶磁器はとても華やかで色鮮やかなものばかり。
イッチンで描かれた絵の盛り上がりが半端ないポット。
獣の頭のついた注ぎ口など、外国人受けするデザインだったんだろうか~
人の顔が細かく何段にも描かれたティーセットも。
かなり不気味な雰囲気だけど、魔除けの意味合いがあったそう。
この復刻版のカップ&ソーサーも売店で売ってた。
旧委員会室は現在事務室兼ショップになってる。
復刻版の底に透かし模様の入った薄手のカップ&ソーサーがたくさん並んでた。
そして1階奥の部屋は
旧応接室で、現在は設計事務所のオフィスとして使われている。
こちらの設計事務所には劇的ビフォーアフターにも登場した匠がおられるのだとか。
石膏で造形されたという天井装飾が美しい。
既存の暖炉に加えて家具調度品もこの部屋の雰囲気を損ねぬよう、選び抜かれたものが使われているそう。
廊下にあった照明
二階へ上がる階段の腰壁にはミントグリーン色のタイルがびっしり!
素敵だなあ。ツートンカラーで貼り方も凝っている。
大きなアーチ窓が入れられた階段室はとても明るい。
夕日が差し込むと更に美しい光景が見られるのだとか。
2階へ上がるとドアの上に「POTTERY CLUB」とのサインが入る。
当初は貿易公団鉱工品窯業部の事務所が置かれていたそうだけど、
その後は、「POTTERY CLUB」と名付けられ、社交場として使用されてきたそう。
廊下の突き当りには大ホール。
ヴォールトアーチの天井に円形のアイアンの照明
当初は廊下の部分もホールの一部だったそうだけど、間仕切りをつけたため半分ほどの広さになったそう。
建築当初からのものではないそうだけど、
大きな車輪のようなデザインの照明。花のような透かし彫りが可愛いなあ
ホールの片隅にはカウンターがあり、ちょっとしたパーティ時などにも便利そう。
屋上も改装され、入口扉には旧名古屋証券取引所ビルの正面玄関に使用されていた扉が移築保存されていて、
テナントが入り活用されている。(写真を撮り忘れ;)
会館では上絵付教室やさまざまなイベントなども開かれているようで、近くだったら絵付け、行きたかったなあと。
陶磁器の会館ならではなさまざまな建物の活用が素晴らしいなあと感じた。
ツアーはこの後、日本陶磁器センターへ。