東京へハンガリーのアール・ヌーヴォー建築の講演会へ参加した日、
午前中は、特別展「日本のタイル100年美と用のあゆみ」が開催されてる江戸東京たてもの園へ訪れた。
特別展は、常滑で既に観ていたが、たてもの園へまだ訪れたことがなかったのでこれを機会に。
デ・ラランデ邸、元は平屋建ての洋館でドイツ人建築家、ゲオルグ・デ・ラランデの自邸だった建物。明治43年頃三階建てに大規模増築、昭和31年からはカルピスの発明者、三島海雲が住んでいたという。
下見板張りに赤い腰折れ屋根がかわいい。
1階のダイニングだった?部屋は、カフェになっていた。
まだ見学開始したばかりだったので、利用しなかったけど。
窓周りにはねじり柱やレリーフなど、凝った装飾が施されていた。
リビングには煉瓦造りの暖炉に
アイアンの照明カバー
二間続きの居間
アーチ部分に嵌められた飾り格子も美しい。
天使のシーリング装飾が豪華な照明も。
三井八郎右衛門邸は、昭和27年、港区西麻布に建てられた三井総領家の大邸宅。
京都や大磯、用賀、今井町にあった三井家に関連する施設から、部材が集められて建設されているそう。
玄関ホールにあった球状の照明は、和風の玄関におしゃれだなあと思ったら
ルネ・ラリックのもののよう。
1階の和室の広間は、格天井に、
絨毯敷にテーブルセットが備え付けられて、和洋折衷の趣。
2階の仏間前にはこんな豪華な折り上げ格天井があった。
シャンデリアは、このスペースにはなんかアンバランス?と思いきや
こちらは大磯にあった別荘から持ってきたものだとか。
屋敷の中は杉戸絵が、あちこちにあり、主に鳥が描かれているよう。
仏間の前のこの鳥たちもとても繊細に描写されている。
孔雀の杉戸絵も美しい。
2階の寝室は畳敷きにベッド。
七宝焼きの入った襖の引手。
常盤台写真場。
戦前に開発された郊外住宅地、常盤台に昭和12年に建てられた写真館。
照明設備がなかったころの写真館で、2階の写場には、大きく窓が取られている。
入口には、スクラッチタイル風の型押しタイルと石を散りばめた埋め込んだポーチ。
多くの光を取り込む工夫がされた2階の写場。
階段には縦長の窓が二つ。
1階応接室。
食堂。
子供部屋には窓に沿ってカウンターが付けられてた。
子供たちは、並んで勉強してたのかなあ?
浴室には、ヘキサゴンモザイクタイルが貼られてた。
小出邸は堀口捨己により大正14年に建てられた住宅。
ヨーロッパ旅行から帰国直後に設計したものだそうで、当時のオランダで流行していたデザインなどが取り入れられてるそう。
玄関ポーチも面白い形。
直線的なラインが強調されていて、シンプルな造りの応接室。
飾り棚も板が三段並んでるだけのもの。
壁のラインと格天井のラインがつながってる。
隅にあるストーブ置きにはタイルが貼られていて、
この部分は華やかさがあった。
窯変が美しいタイルにうっとり。
玄関。
玄関ホールの照明。
前川國男邸は、昭和17年に建てられた前川國男の自邸で、
戦時下の建築資材入手困難な時期に建てられている。
大谷石の塀のあるエントランス。
吹き抜けの居間は窓が大きく取られていて、明るく開放的。
広いリビングルームは、こんなソファのコーナーなどいくつかのコーナーに分かれていて、どこを切り取ってもいい感じ。
中2階?はギャラリーのように。
こちらはダイニングスペース。
後方にはキッチンがあって、配膳口から配膳できるようになっている。
寝室。
バスルームは、床が黒いモザイクタイル貼りに、壁面は真っ白なモザイクタイル。
お手洗いは黒いモザイクタイル貼りになっていて、とてもモダンな雰囲気だった。
昭和17年にこんなモダンな住宅が建てられていたとは、、驚く。
大正14年に、郊外住宅地、田園調布に建てられた大川邸。
庭先に、半円アーチのあるパーゴラがついていたりとおしゃれ。
床下換気口も細かくデザインされてる。
玄関照明は、キツツキ?!だった~
どの部屋も大きく窓がとられていて明るく、
お揃いの照明が可愛い。
リビング
ダイニング。
キッチンの造り付けの食器棚。
この小窓が配膳口に。
昭和3年に建てられた化粧品店の村上精華堂。
イオニア式柱が何本も立つモダンな造りに。
明治後期に建てられた万世橋交番。
手前の交番のスペースと、奥のプライベートスペースに分かれていて、
プライベートスペースには、寝泊りできるように布団を敷くスペースに畳敷きの間があり、
洗面台など、必要最小限のものがコンパクトにまとめられてる感じがよかった。
銅板貼りの建物もいくつかあって、こちらは花屋さん。
2階には細かい花のレリーフが
水を扱うので、壁面や棚はタイル貼りで、
こんな市松模様のモザイクタイルも敷かれた。
こっちは金物屋さん。
銅板が網代状に貼られてて、凝った外観。
もう一軒あった銅板貼り建築、植村邸。
乾物屋、太和屋本店。
店先には、いい感じにアールを描いたマーブルタイル貼りのたばこのショーケース。
そしてやはり最もタイル度が高かったのは銭湯、
昭和4年に建てられた子宝湯。
立派な唐破風の玄関に、
両脇には、オレンジ色のふっくらモザイクタイルが貼られ
暖簾をくぐると、たたきには亀甲型のタイルが敷き詰められている。
正面には長寿と夫婦円満の縁起物、翁と媼が描かれたタイル絵。
九谷焼のよう。
驚くほど広い脱衣所。
高い天井は、折り上げ格天井に。
浴室、正面には富士山のペンキ絵が描かれ、
洗い場の壁面には、タイル絵がずらりと並ぶ。
さまざまな昔話の一場面が描かれている。
弁慶と牛若丸
カランが並ぶこのタイル台、天辺はブルーの細かいモザイクタイルに、縁や角、地面からの立ち上がりに貼られた役物タイルが美しく収まっていて、萌え萌え。
女湯には猿蟹合戦の場面もあった。
すずめのお宿かなあ。
女湯のカランの台。
こちらはピンクのモザイクタイル。
床には蜀江文のタイルが貼られてる。
タイル尽くしの銭湯、楽しんだ。
入口が分からなくて最後に訪れた大正11年に建てられた西川家別邸。
こちらのお風呂も、タイル貼り。
床にはちょうど子宝湯と同じ蜀江文のタイルが貼られてた。
腰壁には白いタイルと、縁取りにマーブルタイルが貼られてる。
四隅に付けられたコーナーが可愛い。
めちゃめちゃ暑い日だったので、たてもの園の建物巡りの間には、
途中館内の「日本のタイル100年美と用のあゆみ」展を見て、体を冷やして、外へ繰り出した。
当時東洋一のアパートといわれた江戸川同潤会アパートに使用されていた
山茶窯製のタイル。
柱にこんな感じで貼られていたそう。
旧岐阜県庁舎の床モザイクタイル。
他、多数の展示あり。
常滑のイナックスライブミュージアムでの「日本のタイル100年美と用のあゆみ」展展示はこちら→
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皇居のモザイクタイル尽くしの桃華楽堂&慶應義塾大学旧図書館→
☆リスト・ハンガリー文化センターでの講演会&岩の湯→
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