千里阪急ホテル見学ツアーの続き・・
中庭に面したガーデンラウンジは、サンルームのように明るい光が差し込む。
藤のテーブルセットや照明カバーもこのガーデンラウンジの雰囲気にぴったり合っていて、
窓ガラスには、千里のこの地域で見られる様々な野鳥の姿がさりげなく彫り込まれている。
そして第三期1984年に増築された西館宿泊棟へ。
吹き抜けの階段ホール。
階段の両サイドには手すりが巡らされ、その手すりは、手にしっくりと馴染むように、ホテルの中でも最も苦心して造られたものだそう。
手すりを握ってみると、なるほど手にぴったりとフィットし、なんともいえない心地よさがあった。
こちらの蝋燭が何段も並ぶような照明も二期に造られた東館ホワイエにある照明のデザインを模したもの。
1階ロビーを階段ホールからアーチ越しに見下ろす。
エレベーターの扉には、東館のホワイエにあった丸窓に描かれていた絵がそのまま取り入れられている。
こちらの階段踊り場にもステンドグラス作家、作野丹平によるステンドグラスが入れられている。
この手すりもまた握り心地が抜群・・
階段上のステンドグラスに寄ってみると、
森や水の流れなどをイメージしたかのような、グリーンのグラデーションが美しい。
大小さまざまな形のガラス片が散りばめられ、抽象的な図柄を描く。
こちらのロビーには、三か所に天井装飾があり、
それぞれ違った絵がフレスコ画で描かれている。
こちらのフレスコ画には人が手を上げて踊っているかのような絵が描かれていた。
手仕事の跡が見られる柱の装飾。
そして最後に、アイビーチャペルへ案内して頂いた。
チャペルへのアプローチ前の床は、煉瓦色のタイルに赤いタイルをワンポイントに入れたちょっと華やかなデザイン。
いい具合にカーブを描いた石畳の先にあるのがアイビーチャペル。
森の中にある教会の雰囲気。1991年に建てられたというチャペル。
その数年後に、当時この教会にあこがれて、自分の結婚式をここ挙げたのだった。
25年ぶりに見れてちょっと感激・・懐かしい!
チャペルの入口扉の両脇のステンドグラスは作家、三浦啓子による、ロクレールといわれる手法で造られたものだそう。
2.5cmの厚みのある板状のガラスをハンマーで割って造られるという。
シェルカットと言われるのはハンマーで割ることにより貝殻のような渦を巻くような跡がつくことによる。
横から見ると、大胆にハンマーでカットされたガラスの表面は波打ち、さまざまな長さや奥行のガラスで構成されているのが分かる。
ステンドグラスにこのような手法があることは知らなかった。
近寄って見ても、ガラスの断面が美しく、遠目で見ても、その断面の動きが
全体に深みや奥行を与え、とても美しい。
なんとそのロクレールのステンドグラスを扱っておられる工房が箕面にあるというので、今度又見に行ってみよう。
扉の引手にはハート型のモチーフ
エントランスの床面には大理石が半円状にデザインされている。
祭壇の頭上には、天窓があり、十字架を象ったステンドグラスがはめ込まれている。
チャペルの壁面に使われている石は、赤みがかかった天然の御影石。
地元産にこだわり関西でとれるものを使用したという。
そしてこちらにもステンドグラス。
片側は窓が広く取られ、自然光や庭の緑が目に入る。
パイプオルガンも。
後方の2階への階段も天然石貼りになっていて、鋳物の手すりや、
鋳物の照明器具など、手作り感があるものが使われている。
こんなレリーフガラスの照明も。
一通りの見学が終わった後は、部屋へ戻り、ケーキタイム。
ホテルの方のお話によると、
2026年にはホテルは営業終了するということは決まっていて、その後のことはまだ何も決まってはいないとのこと。
この日見学してあらためて、このホテルの自然との一体感や、ゆったりとしたつくり、建物の細部にわたり手仕事のあたたかさを感じることができ、ホテルとしての営業が終わってしまうのは本当に残念で仕方がないなと思ってしまった。
今回はとりあえず、今の建物の姿を写真で記録することができてよかった。
まだ営業終了までは、期間があるので、再びこの空間を味わいに来たいなと思う。