ガスビルツアーに参加した後は、ちょうど公開中の建物をみて回ることに。
Growtecture Sは老舗の広告代理店宣成社のオフィスビル。
平成14年に遠藤秀平設計により建てられたもの。
ファサードはガラス張りでコンクリート打ちっ放しの壁面はS字状につながっていて
大小様々な大きさの窓枠?がリズミカルに散らばっていてとても面白いデザイン。
1階のギャラリーには建物と同じ設計者による家具もユニーク。
2階へ上がる階段。
見学はここまで。
その後は三井住友銀行大阪本店ビルへ。
1期、大正15年、2期昭和5年に建てられた銀行らしく重厚感のある巨大な建物。
ファサードにはイオニア式オーダーが堂々とそびえたつ。
エントランスにあった鳥?の顔のガーゴイル
照明
今回公開されていた共用応接ロビーの天井のステンドグラス。
かつては営業室として使われていた空間。
天井いっぱいに広がるステンドグラスが圧巻!
ステンドグラスはアメリカ製。
さらに現在の営業フロア(撮禁)も公開されていたのだけど、ここが圧巻すぎる空間で驚いた。
コリント式のオーダーが立ち並ぶヨーロッパの宮殿?のような重厚感と高い天井はガラス天井になっていて
豪華さが半端ない大空間に圧倒されてしまった。
そして大同生命大阪本社ビルへ。
平成5年建築
大正14年にヴォーリズ設計により建てられた旧ビルのイメージを踏襲したものだそう。
最大の特徴ともいえるスーパートラス
強度を保つため、10cm幅の鉄骨1200トンを使用しているとか。
旧ビルの屋上に設置されていた尖塔が移設されている。
ビル内へ入ると1、2階が吹き抜けとなっている天井にステンドグラスが全面に入れられている。
旧営業室の天井を再現したものだそう。
現在資料が展示され、メモリアルルームとなっている部屋は、旧営業室の天井や壁面の意匠が再現されている。
こちらのステンドグラスも復元されたもの
柱の上部のレリーフなどは旧ビルの部材を再使用したもの。
そして山内ビルの前を通って、、
最後にやってきたのはリバーサイドビル。
昭和41年に岸田日出刀設計により建てられた。
中は特にこれと言った特徴がなさそうな平凡なビルに見えたけど、今年登録有形文化財になったばかりだとか。
これでやっとイケフェスで訪れたレポが終了~
思う存分建築を楽しめた2日間だった!
紅葉ネタまだあるのだけど、イケフェスも間に入れていかないと;
2日目、ガスビル見学ツアーの朝一の回は先着順に漏れたのだけど、その後次の回の整理券をゲットすることができ、
無事ツアーに参加できた。
ガスビルは昭和8年、安井武雄設計により建てられた鉄筋コンクリート造、地上8階地下2階のビル。
1、2階の外壁は勿来産黒御影石と稲田産の白御影石が貼られ、モダンな外観は巨大な客船を思わせる
当時、ビルの中にはガス器具陳列場をはじめ講演場、美容室、喫茶室、料理講習室、食堂など
一般人が広く利用できる様々な施設があったのだそう。
本社ビルとしてだけでなく文化センター的な役割を持っていたという。
当時の雰囲気が残されているエレベーターホールは壁にイタリア産のトラバーチン、
床には琉球産のトラバーチンが使用されるなど当時の最高級の建材が使用されている。
エレベーターをくっきりと縁取る黒大理石の存在感
とても高価なものだそう。
エレベーターホールの壁にかかる時計と階数表示板も当時のものでレトロな味わいがある。
ガラスブロックが用いられた明り取りの窓
ガス燈も残されていた。
二階へ。
二階の階段ホールの壁面には丸窓にガスビルをデザインしたアールデコ調のグリルが入れられてた。
8階の食堂へ。
この衝立は当時のものかなあ?
当時のガスビル食堂では調理室は最新ガス器具が使用され、
創業当時のメニューであるチーズトースト、ポタージュ、チキン銀串焼アイスクリーム、パン、珈琲のランチが1円で長蛇の列ができたとか。
バーカウンターは創業当時のまま
食器類などにも数多く使われているすずらんの模様
当初、ガスの主な用途だったガス灯のホヤに花姿が似ていることから、
創業当時から大阪ガスの意匠として広く使われてきたのだそう。
そして普段は立ち入ることのできない屋上へ。
屋上庭園などもあって、入社式が行われたこともあったのだとか。
ガスビルの屋上から御堂筋を見下ろす。
北浜レトロを後にし、やってきたのはルポンドシエル、大林組旧本店ビルで大正15年に建てられた。
スクラッチタイルを用いた外壁にレリーフは竜山石が使われ、スパニッシュ様式でまとめられている。
玄関アーチの両脇にはワシの彫刻が。
当時の雰囲気が残されたエントランスホール。
エレベーターの表示板周りには繊細なレリーフが。
こちらの階段も当時のまま。
外壁とエントランスホール、階段以外はオリジナル部分はなさそうだった。
3階には大林組歴史館がある。
新井ビルは大正11年に建てられた旧報徳銀行大阪支店の建物。
1階は石貼り、2階より上はタイル貼りに。
現在は1階、2階には洋菓子の五感が入っていて、3、4階は貸しビルになっている。
1階のショップは元の銀行の営業室、2階の元会議室はカフェに。
3、4階への階段。
以前は吹き抜け部分にエレベーターがあったそう。
戦時中の金属供出で撤去されたという。
3階の貸しビルのフロア―
グランサクタス淀屋橋は大正6年に建てられた旧大阪農工銀行で、その後繊維商社、八木通商本社屋となり、
現在は外壁保存がされ、中は高層マンションに。
違和感があるといえばあるけど、、
八木通商だったころに見にも来たことがあるけど、
玄関周りや窓周りのレリーフがとても細やかで美しい。
外壁だけでも残ってくれてよかった・・
イケフェス2日目の始まりは、ガスビルの見学ツアー目当てに、30分前に行ったのだけど、すでに最初のツアーは満席になってしまい・・
9時半から見学できる場所をということで北浜レトロへやって来た。
大きなビルとビルの間に挟まれて立つ小さな可愛い煉瓦造りの洋館、北浜レトロビルヂングは
明治45年に建てられた事務所ビル。
現在は英国式のティーサロン兼ショップとなっている。
この日はお店の開店前の見学会で、お店の中にはたくさんの人。
入口扉の上の欄間にはアールヌーヴォーの花の意匠が見える。
玄関には可愛いミントグリーンのタイル
天井の照明装飾も
お店の中はイギリスのお菓子や雑貨が所狭しと並べられていてとてもかわいい。
キッチン入口周りの装飾はセセッション風
階段の親柱も
手すりのカーブ
階段の吹き抜け
2階のティールーム
階段、窓枠に至るまで全てミントグリーンのこの色に統一されていて、クラシックなティールームの雰囲気が素敵!
真鍮のスイッチプレート
リバービューの小部屋もあって、こんなお部屋でアフタヌーンティーもいいなあ。
1階にあるトイレも可愛いかった!
カレー会館でランチした後は、オーガニックビルの見学が当たっていたので、ぷにょさんと合流して見学ツアーに参加。
その後は建築仲間の皆と打ち上げの時間までうろうろ。
こちらは竹中工務店大阪本店の御堂ビルのエントランスホール
このロビーやエレベーターホールの壁を覆いつくすタイルはボリュームがあってダイナミックな造形が見られる。
なんとこのタイルの模様は金づち、のみ、はさみ、墨壺、ペンチなど大工道具で型押ししたものなのだとか。
おもしろいなあ。
石のオブジェも。
ここではマイ箸を作るワークショップも開催されていたのだけど、行った時間が遅かったので残念ながらできず、
しかし、カンナをかける体験をさせてもらえた。
長い木材を端から端までカンナをかける。
職人さんが手を添えてくれたのだけど、きれいに木の皮?がめくれて、カンナかけをした木の肌はつるつるで驚いた。
ヒノキの木の皮の匂いもいい匂い!お風呂に入れるために詰めて持って帰った。
メタリックなこのビルは御堂筋ダイビル。
昭和40年にマツダの支社として建てられたもの。
南御堂の外壁タイル
ぷにょさんおすすめの大谷石の蔵を移築してできたカフェ、ドアーズダイニング。
この日は散策途中だったので入らずだったけど、雰囲気よさそう。
この大谷石の質感、、いいなあ
ショップの方は中の内装にも大谷石がディスプレイ棚やベンチなど、あちこちに使われていて
おしゃれな雰囲気を醸し出していた。
一日目の最後には建築講座のメンバーでお疲れさま会を。
この日の収穫を報告し合いながら飲んで食べた。
そしてイケフェス第1日目が終了。。
西長堀から丼池繊維会館までウォーキング。
11時半からのガイドツアーに参加しようとがんばってやってきた。
このビルのリノベーションの様子が記録されたスライドを見せて頂いた後、館内を見学。
改装前は鋼製サイディングが貼られていたという外壁がはがされ、建築当初のタイル貼りの外観に。
丼池繊維会館は戦前は家具屋、戦後は繊維問屋街として栄えたという丼池筋に大正11年、愛国貯金銀行として建てられた建物で、
銀行として使用された後は地域サロンや福利厚生施設として利用されてきた。
2016年3月に、リノベーションが完成。
2階の屋内廊下は幅が広くゆったりと。
造り付けのキャビネットの扉は元塩野義製薬研究所の実験器具収納用の天袋の建具が再利用されたもので
坂倉建築研究所によるオリジナルデザインのものだそう。
モルタル仕上げの壁面や木製のサッシなどと調和している。
2階の1室には有田焼のショップが入っていた。
こちらもセカンドサイクルということで、
天満橋のレトロビル、リバーセンターのガラスブロックがアクセントに入れられて
階段室は木造の手すりなど建築当初のままのレトロな雰囲気が残されていた。
窓枠はすべて断熱性能が高い木製サッシが入れられている。
重さは一つ100キロもあるとか。
3階は6か所ある丸い天井の折り上げ部分などを生かすためにワンフロアの大きな部屋に
1階にショップがある有田焼のプロダクトデザイナーの方が入居されてるそう。
ゆったりした素敵なオフィスだけど、入口はガラス張りで落ち着かなさそう;
そして屋上へ。
トタン張りの元倉庫はトタンをそのまま、小屋感を残してリノベーションされた。
小屋の中はモダンな造りのキッチン
使いやすそうなアイランドキッチンはお料理教室なんかによさそう
木製トラスの梁も。
当初は小屋はなかったため屋上への重厚な鉄扉がそのまま残されている。
煙突の跡。
内装は、本来断熱材として壁の中に使われるものがむき出しに使われていた。
当初からあるオリジナル部分を大切に、新たなデザインともうまく組み合わせられリノベーションされた丼池繊維会館だった。
丼池繊維会館を見学した後は、偶然ここで会えた東京からやって来られたSさんと、
この会館と同じ業者、「みんなの不動産」がリノベーションしたという丼池OSKビルにあるというカレー会館へランチに行くことに。
丼池繊維会館の並びにある丼池OSKビル
玄関にはこんなかわいい階数表示板が。
階段の手すりや白黒の内装もレトロモダンでいい感じ。
自転車置き場もなんかカッコいい・・
そしてここが大阪カレー会館。
ここは厨房付きレンタルスペースになっていて、平日はカレー屋として営業してる店舗を土日に貸しスペースとして利用することができる。
土曜のこの日は「マガリヤ ナガシマ」というカレー屋さんが営業していて、
こちらの三種盛りカレーを頼んだ。
ココナッツチキンカレーとキーマカレー、トマト風味のカレーと三種類味わえるのがうれしい。
アーモンドやパクチー、卵のピクルスなどのトッピングも豊富で、カレーもとてもおいしかった。
西長堀アパートまで行ったので、去年のイケフェスのパンフに載ってた大阪木材仲買会館も見ていくことに。
ただ、ここは今年は見学はしてないようで、、外観のみ。
木材仲買会館というだけあって、木材がふんだんに使われた建物で、国内初の耐火木材オフィスビルだそう。
これだけ木の質感が感じられるビルなのに耐火性も兼ね備えているとは、
どんな構造になっているのかなあと興味深い、、
調べたら一般見学も受付けているようなので又今度、内部も見学に行きたいなあ。、
両端の庇は反り返り、鋭角にとがっていて見た目のインパクト大
建物の前には大きな桜の木があって、桜の季節にはきれいな花を咲かせるそう。
桜と建物のコラボも見てみたいなあ。
軽やかな非常階段?!
大阪木材仲買会館へ行く途中で見かけたえんじ色の大判タイルが印象的なマンション。
深みのあるえんじ色がきれいだなあ。
こんなタイルも。
この後は本町の繊維問屋街にある丼池繊維会館までウォーキング。
イケフェス、一日目の最初に訪れたのは西長堀アパート。
昭和33年に関西初の公団高層住宅として、当時最先端の設備を備えて建設されたマンモスアパートが
58年ぶりにリノベーションされ、今回、三つのタイプの住宅を見せてもらうことができた。
再生のコンセプトは「温故知新」ということで、従来のデザインをそのまま引き継いだものと、
時代に合わせて新たに付加されたものとがうまく合わさり、いろいろと工夫が凝らされていた。
当初からの全長100mあるという外壁に、縦長のスリット窓は、当時慣れない高層住宅の高さへの不安や冬季の寒さを考慮し
当時の設計担当者が検討を重ね生まれたものだという。
今見ても斬新でおしゃれなデザインだなあ。
新たに改修されたエントランスホール。
20世紀の前衛美術を代表する画家、吉原治良によるエントランスホールの壁画は当初からのもの。
募集当初の様子をできる限り再現したという住宅
リビングキッチンを配した住宅は当時ではとても斬新だったそう。
畳敷きの居間に押入れ、障子
収納スペースには着物用の引き出しなども。
そしてこちらは「ヴィンテージ・シンプル」といわれるお部屋のキッチン。
ヴィンテージな部品を残した内装ということで、キッチンの吊戸棚などは当初からのものだそう。
当時は洗濯機置き場がなかったことから、流しのすぐ横に壁を設けて
洗濯機のスペースが確保されている。
更にコの字型に回り込んで収納棚と、コンパクトにレイアウトされている。
こちらの洗面キャビネットの棚なども既存のものが利用され、新たに扉に鏡が取り付けられている。
その下の洗面台もちょっとレトロな形がかわいい。
こちらは「stay+(ステイタス)」といわれるお部屋で、2口コンロのシステムキッチンとその横に洗濯機置き場がつくられている。
リビングの壁面には有孔ボードが貼られ、収納やディスプレイのバリエーションがもてるよう工夫され、
更に小天井の設置により、収納力もアップされている。
シャワールームは浴槽はないものの、大き目シャワーヘッドが完備
この扉やドアノブは既存のものでレトロ。
他にも黒板ボードの壁面の部屋などもあるそうで、レトロと今風がほどよくミックスされていた。
廊下の階数表示板。
4なんて、下の方がちぎれかかってたけど大事に使われてた。
西長堀アパート、当時、最先端だった内装が今はそれがほどよくレトロ感を醸していて、それがまた新しい感じでよかった。
今年のイケフェスも二日間、がっつり楽しんできた。
今年は二つ事前予約したうちのひとつが当たり、「オーガニックビル」を見学することができた。
壁面からニョキっと出たポットに緑が植わってる、見るからにユニークなこのビルは
イタリア人アーティスト、ガエターノ・ペッシェ氏によりデザインされた、「オーガニックビル」
大自然の恵みを活かし、緑と建築と人との共存をテーマに造られたという
昆布の小倉屋山本本社ビル。
昆布屋さんのビルだったとは意外・・
壁面に植えられている樹木は全部で132本。
日々の水やりは屋上高架水槽により自動給水が行われ、
年に2回、肥料などの手入れは屋上から壁面を伝って行われてるという。
それ以外は人の手は入らないので、アロエやアイビー、オリーブ、ソテツ、リュウゼツランなど
手入れが楽で丈夫な樹木が植えられているそう。
その年間の維持費は300万~400万とか。
言われるまでちょっと気付かなかったけど、
なんとこのビルの窓の大きさ、形は全て違っているのだ。
しかも窓の縦、横のラインは水平ではなく・・バラバラ
全体的には竹をイメージしたという壁面。
ビルのネームプレートも英字なのに縦書きという個性的なもの
エントランスへ。
建築当初は回転扉になっていたという入口。
現在は自動扉に。
昆布の小倉屋山本というだけに、エントランスホールは海底をイメージしたものだそうで、
あちこちに海のモチーフやこのビルにちなんだモチーフが散りばめられていて楽しい。
この赤と緑の帯状の模様が入った床は揺らめく海藻をイメージしたもの。
銅製のオブジェ、これはもちろん昆布。
この奇妙な形の椅子は、なんとヒトデがモチーフ。
エレベーターの表示ボタンは貝殻をデザインしたもので、
こちらのボタンはオーガニックビル自体をデザインしたもの。
照明もゆらゆらと・・
ちょっとわかりにくいけど、床と接する壁面にはずらっと「ORGANICBUIL」の英文字が入れられてるのだ。
テナント案内表示板もカラフルで斬新
駐車場への通用扉はドアノブが「車」という遊び心。
そして屋上へ。
エレベーターの天井はオーガニックビルのシルエットが。
屋上から植栽を見下ろす。
屋上からは階段室を通って下へ。
階段室踊り場の窓の形がなんと各階違うのだ。
現在、空いているお部屋も見せて頂けた。
中から見ると、窓の形が全部違うというのも、窓のラインが水平でないというのもよくわかる。
全て形が違う窓は割れてしまったら全て特注になるので、メンテナンスが大変!
窓だけでなく、廊下、部屋の造りもギザギザ?!
部屋の形がいびつなので、家具をレイアウトしにくく不便な点も。
こんなところにもビルのシルエット。
ビルの立体駐車場の入口もカラフル。
駐車場入り口の番号表示
番号の下にも「ORGANIC BUIL」
駐車場からビル内へのドアノブもビルの形で可愛い!
オーガニックビル、外観のユニークさだけでなく、あちこちにユーモアあふれるディティールが満載で楽しめた!
最後に小倉屋山本の本店で昆布と昆布茶も頂いて、至れり尽くせりの見学ツアーだった。