蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

カノープス

2025-03-15 | 日々雑感、散策、旅行

 星のお話です。

 昨日(3/14)は満月でした。春で「ワームムーン」だそうです。 そして、この日
南北アメリカや太平洋では皆既月食が起こりました。15:26~16:31が皆既食だそうです
から、丁度大相撲の十両の取り組みから幕内力士、横綱の土俵入りが済んだころで、
もちろんお月さまはまだ姿を現していませんね。 アメリカからライブ中継された、
youtube動画がありましたので、文末に拝借しました。

        ワームムーン 自宅でパチリとしました。(19時ころ)
            
          (皆既月食が終わって、姿を現しました。)

 掲題の1等星「カノープス」は、天文ファンの間では圧倒的な人気を集めている恒星
で、全天に21ある1等星の中で、シリウスに次いで2番目に明るい1等星(0.7等)、
(ちなみに3番目に明るいのは、ケンタウルス座のα星)で、南の低いところの「りゅう
こつ座」という星座の中にある星なんですね。地平線ぎりぎりの、見えるか見えないか‥
で、昔からいろいろと意味合いが付され、その呼び名も様々によばれているようです。

 2番目に明るい1等星ですが、1番目のシリウスは地球から約8.6光年、3番目は、約
4.3光年と近い(天文的に)ですが、このカノープスはなんと地球から310光年も遠い
ところにあるのだそうです。そんな遠いところにあるのに、2番目に明るい‥という
のは、それだけ光度が強いということで、太陽の1万倍以上あるのではないかとあり
ます。その質量は太陽の8倍もあり、大きさ(直径)も70倍もあると想定されています。

      カノープスの位置 (国立天文台より)
     
      (下線は、上から福島の地平線、続いて東京、京都、福岡とあり、
        最下段は那覇の地平線の位置を示しています。)

 このカノープス、手元に届いた会報の連載記事「宇宙の言の葉を尋ねて第14回
『カノープス』―寿老人―」(渡部潤一氏、国立天文台上席教授)に取り上げられて
いました。この星の大きさや輝き、
地球からの距離などは上述しましたが、何といって
もこの星の魅力のポイントは、「見えるか見えないか」にあるようで、これは北半球
に限ったことなんですが、この星の位置は、北緯37度18分よりも北では原理的には
南中時であっても地平線よりも下になるので見ることが出来ないのです。 ただ、
実際には大気の屈折による浮き上がりがあるためもう少し北、福島県あたりでも条件
が良ければ見えることがある・・とあります。山の上に上ったりすればさらに北でも
観ることは可能だそうですが、この星が見えるのは真冬なので注意が必要とあります。

 地平線ぎりぎりのところで、大気差(浮き上がって見える)はせいぜい満月1個分
くらいだそうですから観測位置はかなり限定されてくるでしょう。そして、シリウスに
次いで2番目に明るい星も、地平線に近いと夕焼けなどと同じように、赤っぽく見え、
さらに光度もぐっと落ちてしまうことからなお更見つけにくくなるのですね。
 カノープスマップというものがあるそうです。

       カノープスマップ(部分)
       (アストロアーツより)

 この記事の著者は、カノープス大ファンの一人だそうで、この星を見続けたいとの
思いから、南側に開けた土地を見つけて、そこに自宅を建てたそうです。

 話は飛びますが、昔、会社の先輩にアマチュア無線の大家がおられ、自宅を建てる
時小高い丘の上の電波の送受信状態の良い場所を選んで、大きなアンテナを回しても
敷地内となる広さの土地を選定した方がいました。趣味が高じてここまでくると凄い
ことですね。

                

 カノープスという名前は、ギリシャ神話に出てくるトロヤ戦争の軍艦の水先案内人
の名前がその由来だそうですが、めったに見られない赤い星ということから、昔から
中国では南極老人星として国家の安泰をもたらす吉瑞として大事にされて来たそうです。
日本でも平安時代にすでに中国に倣って「老人星祭」が行われていたそうです。

 また、お正月の縁起ものである宝船に乗った七福神の一神、寿老人と神格化されて
もいるとあります。

              

 千葉県房総半島では、その突端の地名「布良」から「めら(布良)星」と呼ばれ、
暴風雨の前兆とされたり、奈良や大和地方では「源助星」「源五郎星」などと呼び、
瀬戸内地方では「横着星」とか見える方向の地名を冠して「讃岐の横着星」とか
「伊予の横着星」、小豆島では「無精星」、淡路島では「道楽星」‥などと呼ばれて
いたそうです。

 中でもユニークなのは、長野県の木崎湖や四国の佐多岬に伝わる「龍頭伝説」が
ある。真冬の深夜に南の地平線に龍燈が現れ湖を渡って行くというのです。 後に、
信濃毎日新聞のカメラマンが長年木崎湖に通って、カノープスの輝きが木崎湖上に
現れる様子をカメラに収めたとあります。

               

 カノープスが見えるのは冬の寒い季節ですが、会報記事にその南中時刻が示されて
いました。

 1月1日では、午後11時30分頃で、15日置きに南中時刻は1時間ずつ早まり、2/1は、
午後9時半頃、3月15日(今日)は午後6時半ごろだそうです。シリウスを真下に進んで
地平線ぎりぎりあたり・・。

 私の自宅からでは、ビルなどがありまた街灯りもあるので観測は無理のようですが、
世界の混乱や国内での国会でのやり取りにうんざりしている今時、何ともロマン溢れ
るお話しですから、挑戦して見られてはいかがでしょうか。

 

 

 

【ライブ】皆既月食2025 北米・南米より生中継/月食の仕組みの専門家解説/Total lunar eclipse/2025年3月14日(金)15:00〜 山岸愛梨・江川清音・泉水朋寛(星空案内人)

 

 

 

 


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