秋の気配がしだいに色濃く感じられるようになった。
ささやかな家庭菜園も、長引く雨とその後の猛暑であまり自慢できる実りを得られなかった。
手間がかからないはずのエンドウやインゲンも、さやが変形したり未成育のものが多かった。
現在はオクラが採れているが、他ではいったん終わったかに見えたミニトマトが今ごろになって赤く色づいてくれ、それが慰めとなっている。
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一方、ミョウガはたくさん収穫出来て、日々酢漬けを取り出して重宝している。
ぼくが食しているのは茗荷の花穂部分で、春には茎部分をミョウガタケとして利用する方法もあるようだ。
茗荷の名前は俗説が面白い。
<釈迦の弟子の中に、周梨槃特という頭の弱い者がいた。彼は自分の名前すら忘れてしまうため、釈迦が「槃特」と書いた旗を作らせ、背中に背負わせてやった。しかし旗を背負ったことさえも忘れてしまい、とうとう死ぬまで名前を覚えることができなかった。周梨槃特の死後、墓から見慣れない草が生えていた。そこで「名」を「荷う」ことから、この草を茗荷と名付けたのである。>
どうやら、ミョウガを食べると物忘れするという言い伝えは、この俗説によるらしい。
◇
さて、その茗荷も8月半ばには収穫を終えた。
上の画像のように、茎が林立して木陰をつくっているうちはいいが、猛暑が続いたせいで花穂の様子が違ってきた。
触ると手ごたえが弱くなり、シャキッとした食感が得られそうもなくなった。
ミョウガの林に潜って、一心不乱に手を伸ばした夏が終わったのだ。
這いつくばって前方を見やった光景は、何にも代えがたい眺めといってもいい。
呆れられるかもしれないが、ぼくにとってはこの夏一番の経験だった。
(おわり)
7月の長雨と8月の猛暑日照りと野菜生産者としては困ったものでした。
ここえ来て雷雨が音ばかりでなく雨をもたらしてくれるので助かります。やっと秋野菜の種が蒔けます!今夏は雨が多かったせいか成長は良かったのですがトマトなどは根腐れ立ち枯れしまいました。自然相手の仕事は楽しいのですがまたガッカリする場面もあります。
(いわどの山荘主人)様は、もう本格的に秋野菜栽培にとりかかったようで、台風が心配とはいえ先行きはうまくいくのではないでしょうか。
当方は、現在のトマトの枝や豆類の枯れた蔓を撤収して、来年用に土を耕すことを考えています。
焦ることなくミニ菜園の整備だけを考えればいいので、気は楽です。
実り多いことを願っております。
茗荷の名前の由来、面白いですね。
釈迦が名前を書いた旗を作らせ、背中に背負わせてやったけど、旗を背負ったことさえも忘れてしまい、死後、墓から生えてきた草を、「名」を「荷う」ことから「茗荷」と名付けたのですね。
たしかに重宝しています。