生物をシステムとして捉えてそれが環境の変動に対応して機能を維持していく仕組みを論じた本。
生物だけでなくシステム一般の話も書かれています。
すべての事柄に対して強いシステムは実現できないので、特定の環境に対して最適化すると想定外の環境では非常に困難なことになるという指摘は、なるほどなぁと思います。例えばF1レースカーは豪雨の中で低速走行するとハイドロプレーニング現象を起こしやすく制御できないとか、材料をアメリカ産ショートプレートに特化した吉野家はそのリスクをとったから圧倒的に競争力があるがアメリカでのBSEによる牛肉の輸入禁止が弱点だったとか。
生活習慣病の糖尿病は飢餓状態で低血糖によって神経細胞と免疫系がやられることを防ぐために人類が獲得したインスリン抵抗性等の機能が運動不足で過栄養という人類史上希有な現在の生活習慣の下では脆弱性となって病気を引き起こしている(109~113頁)とか、癌がマクロファージなどの自然免疫系をハイジャックして進行している(だからAIDS患者の乳癌や前立腺癌の発症率は相対的に低い)(210~212頁)とかの仮説は興味深く読みました。
システムを強化するための冗長性(故障に備えて同じもの/予備を多数用意しておく)、多様性(設計ミスに備えて他種類のものを備えておく)、モジュール化(1つの故障が全体に波及しないようにある程度で1単位としておく)等の戦略の話もおもしろいのですが、それよりも最適化とは何か、「最適化」が望ましいのかといったことを考えさせられました。
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北野宏明、竹内薫 ダイヤモンド社 2007年11月15日発行
生物だけでなくシステム一般の話も書かれています。
すべての事柄に対して強いシステムは実現できないので、特定の環境に対して最適化すると想定外の環境では非常に困難なことになるという指摘は、なるほどなぁと思います。例えばF1レースカーは豪雨の中で低速走行するとハイドロプレーニング現象を起こしやすく制御できないとか、材料をアメリカ産ショートプレートに特化した吉野家はそのリスクをとったから圧倒的に競争力があるがアメリカでのBSEによる牛肉の輸入禁止が弱点だったとか。
生活習慣病の糖尿病は飢餓状態で低血糖によって神経細胞と免疫系がやられることを防ぐために人類が獲得したインスリン抵抗性等の機能が運動不足で過栄養という人類史上希有な現在の生活習慣の下では脆弱性となって病気を引き起こしている(109~113頁)とか、癌がマクロファージなどの自然免疫系をハイジャックして進行している(だからAIDS患者の乳癌や前立腺癌の発症率は相対的に低い)(210~212頁)とかの仮説は興味深く読みました。
システムを強化するための冗長性(故障に備えて同じもの/予備を多数用意しておく)、多様性(設計ミスに備えて他種類のものを備えておく)、モジュール化(1つの故障が全体に波及しないようにある程度で1単位としておく)等の戦略の話もおもしろいのですが、それよりも最適化とは何か、「最適化」が望ましいのかといったことを考えさせられました。
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北野宏明、竹内薫 ダイヤモンド社 2007年11月15日発行