伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

サムライガール1~6

2010-03-03 23:28:42 | 小説
 わがままな気まぐれお嬢さん光郷ヘヴン19歳がロサンジェルスの結婚式場で謎の忍者に襲われて最愛の義兄を目の前で殺害されて逃走してアメリカなどを放浪しながら、義兄の友人の武術家植本ヒロや許嫁だった雪村テディ哲也らと行きつ戻りつの関係を繰り返す青春恋愛小説。
 タイトルにサムライガールとあり、格闘シーンがやたらとあるんですが、その手の小説に普通ある長く苦しい修行がほとんどなく、朝合気道の型を少しやっただけでもうシャワーを浴びてテレビでも見たいと思うレベルの主人公が1か月かそこらでプロの殺し屋と互角以上に戦えるようになるとかいう安直な設定ですから、スポーツ根性ものや成長ものとしての読み方は無理。
 それほど修行をしなくても飲み込みが早く天才とされる主人公ですが、プロの殺し屋が追い続けしょっちゅう襲撃されて命からがら逃げているのに変装ひとつせずに街をうろうろし繁華街のクラブに行っておおっぴらに遊び、酒に溺れて体がいうことを聞かなくなって痛い目にあっても性懲りもなく酔いつぶれるという、注意力も学習能力も致命的に欠けている人物で、こういう人が武道の才能があるはずがない。キャラ設定にあまりにも無理を感じます。
 主人公は、基本的にいつでも男のこと、大部分では植本ヒロのこと、その彼は自分のことをどう思っているのかだけを考え続けていて、襲撃や格闘シーンは変化をつけるためというかストーリーが行き詰まりかけるとそれでつないでるって感じがしてしまいます。そういう点でも武道・修行・格闘ものでは決してなくて、そういう設定を使った恋愛小説という感じです。
 殺し屋に追われ続け、その結果としてまわりの人物が次々と巻き込まれて犠牲になり続けるという展開ですから、普通ならそのことに心を痛めるわけですが、この主人公はそういうことはほとんど感じません。ヒロと仲良しだったカレンはヘヴンと間違えられて誘拐され3日間監禁されますがヘヴンは恋敵としてカレンを怨み続けるだけですし、ヘヴンをルームメイトにしたために家に放火されて全身に火傷を負うシェリルにもほとんど気遣う様子もなく後に敵対するとすべてシェリルが悪者と位置づけます。
 そういうヘヴンの性格の悪さというかジコチュウぶりに加えて、読んでいて居心地が悪いのは、ヘヴンの他人に対する評価がその場の気分でころころ変わり少し前まで敵として憎んでいた者を何の根拠もなく信じて味方だと位置づけ、またすぐにやはり敵だと憎むということが繰り返されることにあります。何を考えているのか理解できない主人公の語りを読むのは、読者として辛いものがあります。
 ヘヴンの愛憎の基準として度々出てくるのがヤクザとの関係で、ヤクザと関わっていると思うと途端に敵だという位置づけになるのですが、ヘヴン自身ヤクザの親方の子でその金で裕福に育ち、逃走中にもヤクザの幹部の義理の叔父の下でぜいたくをすることに何ら罪の意識も感じずにいるわけで、そういう人物がなぜ他人にはヤクザと関わっているといって軽蔑し敵と決めつけるのか、理解できません。そういうでたらめさ加減を第6感・直観を大切に、心のままになんて言われても、とても納得できません。私も直感に従って、第1巻でぶん投げた方がよかったと思います。


原題:SAMURAI GIRL
キャリー・アサイ 訳:森バニース
メディアファクトリー
1巻:刀は青くきらめく       2009年1月25日発行(原書は2003年)
2巻:影はどこまでも追ってくる 2009年1月25日発行(原書は2003年)
3巻:真珠の涙           2009年3月24日発行(原書は2003年)
4巻:風が吹く場所を探して   2009年5月24日発行(原書は2003年)
5巻:冷たい炎           2009年7月17日発行(原書は2004年)
6巻:心のままに         2009年10月20日発行(原書は2004年)
コメント (3)
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