伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

「自分の働き方」に気づく心理学 何のために、こんなに頑張っているんだろう…

2016-07-03 00:07:20 | エッセイ
 ニッポン放送のテレフォン人生相談のパーソナリティを長らく務める著者による仕事と生きがいについての人生論的エッセイ。
 この本の多くの部分で言っていることは、自分の基準を持ち、社会に他人に認められたいという姿勢ではなく、自分が持って生まれた能力や与えられた条件、仕事を受け入れて、努力し、足るを知る人が、生きがいを感じ充実した人生を送ることができるということだと思います。社会的承認の欲求、人に認められたい、ほめられたいという欲求は「退行欲求」なのだそうです(31ページ)。そういう一方で、「『人はどうでもいい』というのはまず何よりも社会への帰属意識がない。つまり劣等感が深刻な人々である。冷たい利己主義者である。冷たい利己主義者が働いていることの意味、生きていることの意味を感じることはできない。」(200ページ)とも言っています。
 タイトルに「心理学」の語を用いていますが、心理学の実験等の引用はありませんし、学問的な記述はなく、著者の人生論雑感みたいなフレーズが、「哲学的」という感じではなく「詩的」に並んでいます。私としては、「人生論的エッセイ」と位置づけるしかないかなと。
 他人の言葉が自説の根拠として、出典の明示もなく思いつき的に引用される部分が多く、文章として鼻につくのが、字数のわりに読むのに時間がかかった原因と思います。


加藤諦三 青春出版社 2016年6月5日発行
コメント
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