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伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

後妻業

2016-07-04 00:03:51 | 小説
 脳梗塞で倒れた老人中瀬耕造が酸素マスクを外されたり水を注入されて誤嚥性肺炎になるなど不審な事態が続いた後病院で死亡し、その少し前から内妻として耕造のマンションに通っていた武内小夜子が、耕造の娘2人に公正証書遺言を示して、耕造の遺産は家1軒を除きすべて遺贈を受けたと宣言し、驚く娘たちが妹の同級生だった弁護士守屋に相談し、守屋が依頼した元警察官の探偵本多の調査で、武内小夜子が結婚相談所の経営者柏木亨と組んで資産家の老人を次々と食い物にしてきたことがわかり…という展開のミステリー小説。
 前半で武内小夜子と柏木亨の悪辣さと意地汚さがよく描かれ、悪役がはっきりし、これが追いつめられていく様を楽しむエンターテインメントになっています。柏木が金をケチり人を切り捨てることで結果として本多を利して追いつめられていく様子が、爽快でもあり、金の切れ目が縁の切れ目かという虚しさ/世知辛さも感じます。
 悪役を追いつめる役に弁護士が出てくるのも、同業者としては少し爽快感がありますが、守屋弁護士の発言には、弁護士実務としてはちょっとどうかなぁと思う面が多く、同業者としては、うれしい面と悲しい(恥ずかしいとも)面が相半ばする感じです。


黒川博行 文藝春秋 2014年8月30日発行
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