伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

競技かるた 永世クイーンが教える必勝ポイント

2020-01-05 16:34:28 | 趣味の本・暇つぶし本
 競技かるたの永世クイーンである監修者が、札の並べ方、15分間の暗記時間の使い方、前の歌の下の句から次の歌に移る時間の集中と最初の音/半音の聞き取り、ゲーム運び、送り札の選択戦略などを解説し、過去の対戦を振り返り実戦でのポイントを論じた本。DVD付きで、タイトルは「DVDでわかる百人一首 競技かるた 永世クイーンが教える必勝ポイント」という(あしびきの山鳥の尾のしだり尾の)長々しいものです。DVDでは、前の歌の下の句から次の歌に移る間合いの体勢と速さが体感できます。
 上級者は100枚すべてについて定位置を決めているから、競技時に自分の手元に来る25枚を定位置に配置するので迷いなく置けて、その結果その都度左右・上中下段の枚数が変わってくるのですね。15分間の暗記時間で完全に覚えてしまうので、裏返しにしたままでも試合ができる(18ページ)とか、決まり「字」の前に半音で捉えて例えば「た」で始まる6首のうち2字目が「か」(高砂の~)、「き」(瀧の音は~)、「ご」(田子の浦に~)の3首は「K音」なのでこれを片方の陣地にまとめると速く取りに行ける(28ページ)とか、さらには1秒間の音の波形がない空気の中で次の歌の最初の音の波形を脳で捉える(22ページ)、詠み手の息の吸い方や唇に当たる摩擦音を聞き分ける(52ページ)、詠み手が詠む構えをした瞬間の子音にならない軽い息を感じて札がわかるときもある(25ページ)とか、その道のプロ、上級者には、常人にはわからない極めた者だけが達する境地があるのだと言えます。しかし、終盤の送り札は札の流れを読み、詠まれそうにない札を渡す、「出る札を自陣に残せるように全身全霊を傾けて挑みましょう」(29ページ)となると、もう実力/修練でどうにかなるものではないように思えるのですが。


監修:渡辺令恵 メイツ出版 2019年10月30日発行
コメント
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