デビュー作で文芸誌の新人賞を取ったもののその後2年新作長編が書けずにいて、その間に友人の画家とともに書いた絵本が出版されて、テレビのインタビューを受けた鈴木嘉子というペンネームの新人作家本名園州律に、テレビで見て亡くなった姉如月百合とうり二つだと言って会いに来た九鬼梗子から、姉の物語を書いて欲しいという依頼があり、200万円の報酬で毎週水曜に九鬼家に通って原稿を書くという約束をし、苦悶しながら書き続けるという設定で始まるミステリー小説。
如月百合をめぐる事実から始まり、その周辺の人間関係の探索と真相のありかといったところでお話を進行させ、終盤には設定というかお話の構造が入れ子になっていく、そこを読ませる作品です。
主人公というか、話者・視点も変転を見せ、誰の視線で読んでいくかもある種の混乱・困惑を伴いますが、私は、冒頭では小学校4、5年生くらいだろうかとされる(51ページ)年のわりには大人びた少女沙羅に惹かれてしまいました。
ミステリー作品としてよりも、子どもの頃仲がよかったけれどもふとしたことでこじれて素直になれない家族関係のちょっと切ない物語と読んだ方がいいかもしれません。
青山七恵 幻冬舎文庫 2023年1月15日発行(単行本は2020年)
如月百合をめぐる事実から始まり、その周辺の人間関係の探索と真相のありかといったところでお話を進行させ、終盤には設定というかお話の構造が入れ子になっていく、そこを読ませる作品です。
主人公というか、話者・視点も変転を見せ、誰の視線で読んでいくかもある種の混乱・困惑を伴いますが、私は、冒頭では小学校4、5年生くらいだろうかとされる(51ページ)年のわりには大人びた少女沙羅に惹かれてしまいました。
ミステリー作品としてよりも、子どもの頃仲がよかったけれどもふとしたことでこじれて素直になれない家族関係のちょっと切ない物語と読んだ方がいいかもしれません。
青山七恵 幻冬舎文庫 2023年1月15日発行(単行本は2020年)