会社で働くに当たって新人が持つ不満や疑問について、法律的な観点から説明した本。
基本的には会社側の業務秩序維持を優先し、学生気分を払拭して社会人として心得よという姿勢での回答が多くなっています。
労働者側の弁護士の視点で見ると、Q1で問題とされているサイトの募集条件(やハローワークの求人票の記載)と入社時に示された労働条件が違う場合については、募集されていた社員・職種区分の有無・異同や入社に至る経緯での説明等によって合意・適用される労働条件が変わってくると思いますが、それについて論じることなく「会社にだまされたのではないか、と心配するよりも、人事担当者に率直に聞いてみることをお勧めします」(20ページ)というのはいかがなものかと思います。またQ3の書きぶりでは、「就業規則の内容は、労働契約書の内容よりも優先されます」(25ページ)とされているだけでは、労働契約書の方が就業規則よりも労働者に有利な場合でもそうなのかと誤解されかねませんし、懲戒解雇とは別に普通解雇があることも説明されていないなど、労働法の本としては不親切に思えます。
基本的に、怪しいところは会社側の目線で書かれていますので、この本の線で行動していれば会社から睨まれにくいという意味では安全かなと思います。それを行動原理として息苦しくない人はそうすればいいかと思いますが、それでは不満があり疑問を生じた人は、労働者側の弁護士によく相談してみるといいと思います。
千葉博 経営書院 2023年2月1日発行
基本的には会社側の業務秩序維持を優先し、学生気分を払拭して社会人として心得よという姿勢での回答が多くなっています。
労働者側の弁護士の視点で見ると、Q1で問題とされているサイトの募集条件(やハローワークの求人票の記載)と入社時に示された労働条件が違う場合については、募集されていた社員・職種区分の有無・異同や入社に至る経緯での説明等によって合意・適用される労働条件が変わってくると思いますが、それについて論じることなく「会社にだまされたのではないか、と心配するよりも、人事担当者に率直に聞いてみることをお勧めします」(20ページ)というのはいかがなものかと思います。またQ3の書きぶりでは、「就業規則の内容は、労働契約書の内容よりも優先されます」(25ページ)とされているだけでは、労働契約書の方が就業規則よりも労働者に有利な場合でもそうなのかと誤解されかねませんし、懲戒解雇とは別に普通解雇があることも説明されていないなど、労働法の本としては不親切に思えます。
基本的に、怪しいところは会社側の目線で書かれていますので、この本の線で行動していれば会社から睨まれにくいという意味では安全かなと思います。それを行動原理として息苦しくない人はそうすればいいかと思いますが、それでは不満があり疑問を生じた人は、労働者側の弁護士によく相談してみるといいと思います。
千葉博 経営書院 2023年2月1日発行