伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

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2024-08-19 23:47:48 | 小説
 天才バレエダンサーにしてバレエ振付師の萬春(よろずはる)の創作と成長と苦悶と成功を、ドイツの名門バレエ学校で同期生となった深津純、子どもの頃からサードプレイスを提供しカルチャー面で影響を与えていた叔父の稔、音の取り方が天才的だが基本からはみ出してしまいバレエダンサーから作曲家になる滝澤七瀬、そして春(HAL)本人の視点で語る小説。
 主要登場人物の属性とテーマからして、バレエ版「蜜蜂と遠雷」という印象があります(「蜜蜂と遠雷」は2019年1月19日の記事で紹介しています)。「蜜蜂と遠雷」はコンクールという舞台設定が読者に展開を予期させ期待と緊張感を持たせていたこと、本作では「蜜蜂と遠雷」での明石に当たる人物が設定されていないことをどう評価するかで、読者にとっての「蜜蜂と遠雷」よりいい悪いが決まりそうに思えます。
 バレエ作品の説明が続く場面で、バレエの動きと音楽についての素養がない私には、作品の語りがイメージできず、特にラストのクライマックスでそういう状態になるのはちょっと辛いものがありました。
 左ページ左下にバレエダンサーのパラパラ漫画がついているのは、ご愛敬というのか、バレエの知識面で行き詰まった読者用のサービスなのでしょうか。


恩田陸 筑摩書房 2024年4月4日発行
PR誌「ちくま」連載

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