治療法のない遺伝病で20歳までの命と定められた女子高生のわたし(芳川)と、とんでもない走力と驚異的な回復力を持つ謎の青年榊冬馬の禁断の恋を描いた恋愛ファンタジー小説。
特殊な能力を持つ故に製薬会社組織からつけ狙われ、また一般人の反感を買い、その中で生き延びられるように無抵抗で殴られけがをしてもすぐに回復でき逃げ足が速く進化し、人の涙を吸うことで生きながらえ、涙を誘うために激しい感情と快感を相手の脳に注ぎ込み相手をおかしくしてしまうという「吸涙鬼」という存在の設定がかなりのウェイトを占める作品です。その部分はストーリーの展開の要となり、本来は、ネタバレ的な要素ですけど、タイトルでそれが出てしまっています。
この涙を吸うことで相手が精神的に破綻するということへの吸涙鬼の苦悩から、人との恋愛を禁断の愛と位置づけ、その切なさを描くところが味わいどころの小説です。そう言ってしまうと、昨今はあまたあるヴァンパイア・ラブストーリーの1つということになります。それに「わたし」の正体不明の奇病、屋上庭園の植物などの怪しげで隠微な雰囲気を漂わせたところが、読み味かなというところです。
市川拓司 講談社 2010年7月15日発行
特殊な能力を持つ故に製薬会社組織からつけ狙われ、また一般人の反感を買い、その中で生き延びられるように無抵抗で殴られけがをしてもすぐに回復でき逃げ足が速く進化し、人の涙を吸うことで生きながらえ、涙を誘うために激しい感情と快感を相手の脳に注ぎ込み相手をおかしくしてしまうという「吸涙鬼」という存在の設定がかなりのウェイトを占める作品です。その部分はストーリーの展開の要となり、本来は、ネタバレ的な要素ですけど、タイトルでそれが出てしまっています。
この涙を吸うことで相手が精神的に破綻するということへの吸涙鬼の苦悩から、人との恋愛を禁断の愛と位置づけ、その切なさを描くところが味わいどころの小説です。そう言ってしまうと、昨今はあまたあるヴァンパイア・ラブストーリーの1つということになります。それに「わたし」の正体不明の奇病、屋上庭園の植物などの怪しげで隠微な雰囲気を漂わせたところが、読み味かなというところです。
市川拓司 講談社 2010年7月15日発行
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