伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

私にふさわしいホテル

2025-01-28 00:15:43 | 小説
 文学新人賞を受賞したものの同時受賞したアイドルの陰で出版もできずにいる作家相田大樹こと中島加代子が、大手出版社「文鋭社」の編集者となっている大学のサークルの先輩遠藤道雄を頼り、大作家東十条宗典を蹴落とし張り合い利用しながら、手段を選ばず売れっ子になろうと奮闘する姿を描いた小説。
 映画を先に観て、その原作を読んだのですが、映画ではさすがにエグいと見てか採用されなかった第6話が、評価が分かれそうですが、したたかさと哀しさに溢れ、読みどころかも。
 映画を観たとき、相田大樹改め有森樹李のペンネームで小説ばるす新人賞を受賞した中島が、翌年圧倒的な力量でその新人賞を受賞した新人の名前が有森光来なのを非難したとき、遠藤が「仕方ねえだろ。本名なんだから」と答えたシーン。さすがにこれは映画の主役がのん(本名=旧芸名能年玲奈)だということにあわせた映画オリジナルの設定と台詞と思ったのですが、なんと原作でもそうなってる(111ページ)。のんがまだ能年玲奈を芸名として使っていた2012年にもうこの事態を予期していたのか、柚木麻子恐るべし。
 作中で朝井リョウが登場してキレてわめいたり(113~118ページ)してるのは、作者の友だちなんでしょうか(宮木あや子とか南綾子とかも:106~117ページ)。


柚木麻子 扶桑社 2012年10月30日発行

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