どうしても、もう一度あのトンネルを通るのは嫌だった。
一か八か海岸に下りてみようと思った。ところが、数メートルの砂浜まで下りる方法がない。あたりを見渡すと古いロープが落ちていた。これを階段の手すりに結びつけてそれを伝えば下りられるのではないか。
まず、荷物を下に放り投げて、と思ってよっぽど考えた。本当にここから下りてしまったら逆戻りはできない。この浜はちゃんと道に出られるのだろうか。海で遮れれていたらアウトだ。
最後の決断。
えーい、なるようになれ!荷物を放り投げた。
ロープも切れそうで頼りない。何とかもってくれ。祈るような気持ちでたぐりついた。
あまりにビクビクしながらロープにしがみついたせいか、腕を擦りむいてしまった。
何とか下りられた。
後は浜が続いていることを祈るばかりだ。
何ということはない。静かな砂浜が河口まで続いていて、難なく道に戻れた。
待望の新潟県。
糸魚川の手前のガソリンスタンドで休憩。コーヒーとお茶を出してくれた。宿のことを聞いたら民宿に電話してくれた。しかも、電話で値段の交渉までしてくれて、4500円を4000円にまけてもらった。民宿「彦左衛門」。少し迷惑そうだった。
強い思い出の一日になるだろう。
境鉱泉~糸魚川 25㎞。