なあむ

やどかり和尚の考えたこと

雲水道中記ー永平寺から最上へー 29

2009年12月15日 13時15分59秒 | 雲水道中記

4月5日。

足がひどく、ガソリンスタンドで水を抜く。

最悪、歩いたが泊まるところがない。

495810fd2ea943e44613l 町の人に宿を訪ねたが、この近くは夏の時期の民宿ばかりで今は泊まれないと言う。

「車で5分ぐらい行けばあるよ」と言われても、今から歩ける距離ではない。

しかたない今日はどこかで野宿かと思った。

ふと右側の山を見ると、中腹に瓦屋根が見えた。お寺のような建物だ。

正直「お寺かー」と思った。お願いに行ってまた断られたらまたがっかりしなければならない。

でも、断られたら野宿すればいい、と覚悟を決めて坂を上っていった。

小さな佇まいのお寺さんで、声をかけると奥様が出てこられた。

拝宿をお願いすると、「今住職は裏山に柴刈りに行って、間もなく戻ってきます。おそらく大丈夫だと思うので少しお待ち下さい」ということで、縁側でお茶をいただきながら待っていた。

奥様の言葉通り、程なく戻ってこられた住職さんに「わたくし、山形県松林寺徒弟、三部義道と申します。永平寺の安居を終えて帰るところです。雨露さえ凌げれば結構です。今晩一晩拝宿願えないでしょうか」とあいさつをした。

住職さんは「あー、一泊でも二泊でもしていけばいい」と言ってくれた。

胸がすーっとして、力が抜けていくようだった。