友だち思いの私は、部屋から店の鍵をとってきて、店に入り車の鍵を調達しました。
駐車場で四人が車に乗り込み、三茶へと向かいました。
何という不運だったのでしょうか。
ちょうどその直前、三菱商事か何か大企業の社長宅へ送られた小包爆弾が爆発するという事件が起こったのです。
過激派学生運動グループの犯行と思われていたのでしょう。
そんなことは知る由もなく、
「あれー、今日はやけに警察多くねえ」
「何かあったのかな」
「気をつけていくべ」
その時です。
間もなく三茶の交差点にさしかかろうとしたその時、目の前に立っていた警官が赤色灯を横に振ったのです。
「左に入れってかな」
いやいや、それは一斉検問の止まれの合図でした。
勘違いした私は、左の路地に車を向けました。
すると、目の前の警察官の動きが急に慌ただしくなりました。
止まれの合図を無視して「逃げた」と思われたようです。
車は白のバン、中には学生風の四人が乗っている、制止を無視した。
もう、警察官は「本命」「獲った」とざわめいたことだったでしょう。
路地の前からと後からと、自転車やらパトカーやらがわんさか集まって、どの顔も色めきだっています。
何だ何だ、何が起こった。
というところで、続きは次回に。