Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

高島野十郎の絵(その2)

2010年08月18日 22時52分22秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等
満月

 私の所有する求龍堂の画集では、「月」と題する月を中心とする似た構図の絵が5点あるが、「満月」と題する絵はこの1点のみである。3点は「月」と題して満月のみを描いている。1点は満月を中心に雲と高木4本の梢の先が見えているものがあるが題は「月」である。この雲と高木の描かれた絵も透明な空気を通した美しい満月である。しかし満月と同時に絵の下方に描かれた紫色の美しい雲にも焦点があるようで、その間の白い雲が少々うるさく感じた。ただしこれは一瞬の感じなので、実際に見たり、気分が変わればこの絵の法が心に残ったかもしれない。
 今回カタログをめくっていて、私は「満月」と題したこの絵が心に残った。最初は梢の葉がくっきりとしすぎてわずらわしくも思ったが、黒い影として描かれていて、あくまでも満月の光に焦点が絞られていることがわかり、それほどわずらわしくないと感ずるようになった。
 同時に他の月の絵よりも満月の光の広がり具合が特段に私の好みであると感じた。減光の具合、光が闇に拡散する同心円の彩色の具合がとても落ち着いているように感じた。その減光の具合を梢の黒がうまく引き立てているのではないかと思った次第である。
 贔屓の引き倒してきな素人の勝手な好みをだらだらと書いただけかもしれないが、私的なブログであるので容赦願おう。
 なお、カタログで判断する限り月の絵5点の内、サインがあるのはこの絵を含めて2点のみ。月の光の邪魔にならないように、右下の片隅に目立たない色で微かに書かれている。

 是非とももう一度高島野十郎の絵を直接鑑賞する機会が欲しいと思う。三鷹市美術ギャラリー(~29日)ないし銀座美術館(23日~9月11日)いづれかに足を運ぶことができればうれしいのだが…。