Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

高島野十郎の絵(その5)

2010年08月26日 19時43分45秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等
雨-法隆寺塔

 この絵も「やぁお久しぶり」という感じで対面した。ただし私は画集によってもっと雨が白く細く描かれていると思っていた。実際には思ったよりは雨が白くかすんでいた。
 私は梅雨の頃の雨と思い込んでいる。春雨より降込んでいるようだし、時雨のような短時間の雨でもない。手前の松の緑の浅い色と、空の重たい感じから梅雨と思っている。
 そして晴れの時の「法隆寺塔」という絵は、もう少し季節的には後、雲の様子から晩夏ではないかと思っている。
 二つの絵を比べると面白い。塔と回廊と手前の灯篭と後景の建物は寸部の狂いもなく同じだ。背景の待つと手前の樹の梢もほとんど同じだ。
 しかし雨の絵では左側の母子が消え、そしてその人物と塔を挟んで反対側、同じくらいの大きさの石灯籠も消えている。人物は別としてどうして石灯籠まで消えてしまったのか。
 多分雨に煙る景色のため、塔自体への吸引力が弱まるとのではないか、絵が散漫になるのを避けるために、削除したのではないかと私は思っている。