本日聴いているCDはマックス・ローチほかの演奏による「WE INSIST! FREEDOM NOW SUITE」という1960年録音のもの。
解説にわかりやすくブラック・パワー運動の歴史が記されている。1963年以降の激しくアメリカを揺さぶった運動である。ただし解説の記事中、キング牧師の有名な“I Have a Dream”のスピーチが行われたワシントン大行進(1963年)の3日前にこの録音が行われた、というのは違うようだ。録音は1960年8月で大行進の3年前である。
1860年のリンカーンの奴隷解放宣言から100周年にも関わらず黒人差別が解消しないアメリカの現状に対して向けられたプロテストソングでもある。
「ジャズとはそもそもプロテストソングである」、と1960年代半ばに中学生になった私は教わったものである。しかし他人事のようにそのことばは私の頭上を通り過ぎていた。1970年以降の学生時代に再びそのように教わったものの、そのころにはこの種のジャズはジャズ喫茶でもあまり聴かなくなっていたと思う。ジャズ喫茶にはずいぶん誘われ、自分からも行ったけれども、静かで孤独な曲ばかりを追いかけていたと思う。
そもそもメッセージ性の強い音楽のプロパガンダ臭が嫌で敬遠してしまっていた。
それがジャズに限って私は惹かれるようになったのが30代末、1980年代末になってからである。もっとも学生時代と同じで静かで孤独なものを中心に聴いていた。
しかし次第に、自分の十代半ばの頃、世界がざわついていた時代の息吹に身を浸すことが多くなったと思う。そのころに購入したCDである。
時代に対して奥手だったのか、音楽に対して奥手だったのか、自分ではわからないが、最近はいつも自問自答を繰り返している。
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