夜は、引続き「ブラームス」(吉田秀和、河出文庫)を読んでいる。吉田秀和独特の飛躍と断定は、ついていくのは難しいが、このような独特の飛躍と断定は好みである。
楽譜を元に楽典を読むような分析からひょいと飛躍して、言葉が自由に飛翔し始める。この飛翔がある地点まで行くと、再び楽譜の分析に戻る。この行きつ戻りつが魅力である。
「‥dis-fis-aとh-dis-fisの二つの和音しかなく、これが3回交代して、終止となる。この手法も完全に印象派であって、古くて、しかもまったく新しい響きの音楽をつくるところの、正真正銘のブラームスが、ここにいるわけである。ブラームスは保守的だったが、反動的では、全くなかった。彼は、古い音楽を熱愛したが、それは、彼には、新しいものより新しく響いたのだった。」
音楽の構成の解説と、芸術評論が混在しているところに読みごたえを感じている。一昨年入院中に「セザンヌ」を読んだが、やはり同じような論調である。
明日は、久しぶりにブラームスのピアノ協奏曲を聴いてみたい。