法務大臣の辞任(更迭)について、岸田首相は「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)による被害者救済に政府を挙げて取り組む中、その重責の一端を担う法相の発言で重要政策の審議などに遅滞が生じること」を考慮したと、11日夕方に記者団に語ったという。
むろん国会審議に遅滞が生じさせないようにすることは重要なことである。だが、この辞任=更迭はこれが真の理由であってはならないはずではないのか。
「死刑のはんこを押す時だけがトップニュースの地味な役職」という言葉が、「講演」で笑いを引き出すネタであったことが、そもそもの発端ではないのか。「死刑」という人の生死にかかわる案件の実施を決断するという責任を笑いのネタにすることが政治家失格なのである。閣僚、政務三役どころか国会議員の資格すらない発言と思想ではないか。
「国会審議に遅滞を生じさせないため」に辞任させ更迭させるのではなく、「大臣たる任にそぐわない」「不適格」であるから辞任させ、更迭したのでなければならないのではないか。任命権者である首相がこの程度の認識では今後もこの手の問題を引き起こす大臣・政務三役は出てくることは必定である。遡上に上っている閣僚・政務三役はまだまだいる。
自民党内での基盤が弱いと言われる岸田首相であるが、辞任=更迭理由ですら当然のことが言えない立場なのか、あるいはもともと首相自身が基本的なことが理解できていないのか、私にはトンとわからないが、道理が通らない政治で右往左往、船頭多くして船が山に上ってしまっては、困る。
国民をとんでもない地点へと惹きづりまわされるのは、困る。私には岸田首相も不適任だと思える。