■『四又の百合』(未知谷)
宮沢賢治/著 たなかよしかず/版画
「正へん知(しょうへんち)はあしたの朝の七時ごろヒームキャの河をおわたりになってこの町にいらっしゃるさうだ」
まるで魔法の呪文のように繰り返されるこの言葉。
ハームキャの城下町の人々は、一斉に身の回りをキレイに掃き清め、迎える準備をする。
王さまですら「子どものようにいそいそして」臣下に大掛かりな準備を命じ、自ら河岸まで迎えに行くと決心する。
一睡もできずに翌朝になり、季節の百合をひと茎探してくるよう大蔵大臣に言う。
裸足の村の子どもの持つ立派な百合を売ってくれと頼むほのぼのとしたやりとりが、全然横柄じゃなくて気持ちがいい
見事な百合に王さまも満足すると、河向こうが輝きはじめる・・・
たったこれだけの短い話の中にハッと息を飲むような、ひたすら純粋な感動があふれている。
ああ、やっぱり賢治は素晴らしいストーリーテラーだ!
それにヒケをとらない、たなかさんの木版画1点1点が、とてもシンプルでムダがなく、
白黒でここまで温かみが出せるものかと魅了された。
ラストの1点のみ、目にも鮮やかに輝く色がまぶしい。
いまのところ未知谷の本にハズレなしv
「川の向ふの青い林のこっちにかすかな黄金いろがぽっと虹のやうにのぼるのが見えました。
みんなは地にひれふしました。王もまた砂にひざまづきました。
二億年ばかり前どこかであったことのやうな気がします。」
宮沢賢治/著 たなかよしかず/版画
「正へん知(しょうへんち)はあしたの朝の七時ごろヒームキャの河をおわたりになってこの町にいらっしゃるさうだ」
まるで魔法の呪文のように繰り返されるこの言葉。
ハームキャの城下町の人々は、一斉に身の回りをキレイに掃き清め、迎える準備をする。
王さまですら「子どものようにいそいそして」臣下に大掛かりな準備を命じ、自ら河岸まで迎えに行くと決心する。
一睡もできずに翌朝になり、季節の百合をひと茎探してくるよう大蔵大臣に言う。
裸足の村の子どもの持つ立派な百合を売ってくれと頼むほのぼのとしたやりとりが、全然横柄じゃなくて気持ちがいい
見事な百合に王さまも満足すると、河向こうが輝きはじめる・・・
たったこれだけの短い話の中にハッと息を飲むような、ひたすら純粋な感動があふれている。
ああ、やっぱり賢治は素晴らしいストーリーテラーだ!
それにヒケをとらない、たなかさんの木版画1点1点が、とてもシンプルでムダがなく、
白黒でここまで温かみが出せるものかと魅了された。
ラストの1点のみ、目にも鮮やかに輝く色がまぶしい。
いまのところ未知谷の本にハズレなしv
「川の向ふの青い林のこっちにかすかな黄金いろがぽっと虹のやうにのぼるのが見えました。
みんなは地にひれふしました。王もまた砂にひざまづきました。
二億年ばかり前どこかであったことのやうな気がします。」