メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『インセプション』(2010)

2011-04-16 22:11:49 | 映画
『インセプション』(2010)
監督:クリストファー・ノーラン
出演:レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、マリオン・コティヤール ほか

サケ友が沖縄でのワークの前に観ることを課題として出された作品とのことで、
まだ準新作ながら1週間レンタル可能だったから、わたしも借りて観てみた。
2H超えの長編映画をじっくり観るのは久しぶり。
で、本当にブッ飛んだ
気づいたら、TV画面1m以内で、まばたきもしないくらいの真剣さでのめりこんで観ていた。
まだ観ていない方には、これを読まずに、まっさらな先入観のない状態でぜひ観てほしい。


わたしも以前「こんな夢を見た!」って学校で話している夢を見た経験があるが、
今作は夢のまた夢の、そのまた夢の・・・?!
「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」と言ったのはJ.ヴェルヌだったか?
CG技術によって、町が反転して上下にくっついたり、エッシャーのだまし絵のような階段が現れたり、
それもごく自然に映像化されているのは、本当に驚いてしまう。
それでもカーチェイスや、無重力での殴りあい(飛行機落下で撮ったものか?)など、
実際の撮影にも相当苦労したことがうかがえる。

撮影時の苦労や工夫は、映像特典として、監督やスタッフが語り、メイキングシーンが収録されている。
フォーカス・ポイント(映画「インセプション」を創造する、日本の城:夢が崩れる時、無限階段を建てる、貨物列車)


『タイタニック』以来、佳作はあれど、本来の活躍をしていなかったようなデカプが、
今作では体を張った演技で生き生きと飛び回っている。
シリアスな内面演技と同時に、体力限界に近いほどのアクションシーンもあって、ハードな撮影だったに違いない。

渡辺謙がハリウッド俳優と同じスクリーン上でまったくひけをとらない演技で堂々とした存在感を出しているのは、日本人としてとても誇らしく、嬉しい。


ところで。肝心な課題である「潜在意識」「意識の共有」について。
監督はインタビューの中で「人間の無限の潜在能力について描きたかった」みたいなことをゆっている。
ヒトの脳は普段わずか数パーセントしか使われていないらしい。
それをフル活用させることができたら、本当にこの現実世界もとんでもないワンダーランドに変わることだろう
みんなが超人みたいなものだ。

頭で想像することが、すべて現実化可能ならば、プラスでクリエイティブなことを考えることは、なるほど重要になるはずだ。
逆に、深い悲しみがどれほど人のココロを深く傷つけ、深く根を張るかということも考えさせられた。

そういえば、「心の中のベストフィルム」でもある『夢の涯てまでも』(1991)にも同じようなシーンがあったっけ。
失った愛する人の夢を繰り返し見ているうちに、現実に戻れなくなってしまった話。

もし、自分が理想郷を一から創るとしたら・・・???
争いもなく、上下の差もなく、生活苦もなく、自然と動植物と文明が同じように幸福を享受している世界。
この「理想郷のイメージ」は、人それぞれに違うんだろうな。
それでもやっぱり愛と平和を願わない人はいないんじゃないだろうか?


音楽にエディット・ピアフの『水に流して』(Non, je ne regrette rien)が使われていたのも偶然ではないはず


追。
『夢の涯てまでも』を観直して感想を書いたのは、2005.11.3のミクシの日記だった/驚
「心の中のベストフィルム」コーナーを始めたのは2006.9.4だから、まだブログを始める前だったんだ
ここにも改めて載せようかな。

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『のんのんばあとオレ』水木しげる/著

2011-04-16 15:25:29 | マンガ&アニメ
のんのんばあとオレ(講談社コミックス)水木しげる/著
1巻「わんばく大戦争の巻」
2巻「妖怪に好かれた落第王の巻」

サイトには漫画文庫のほうしか載っていないが、わたしが借りたのはハードカバーのほう。
『昭和史』と並行して読んでいるので、さらに少年時代が詳しく分かって面白い。
貧しいながらも生き生きと毎日を子どもらしく遊んでいたこの少年時代が、どれほど幸福な時間だったか、
そしてどれほどその後の人生の糧となったか、読んでいてもとても豊かな時間が体感できた

さまざまな妖怪話を聞かせてくれるのんのんばあ、
文化人で働くことには消極的だが、いつも家族のココロの支えであった父、
名字帯刀が誇りだった母、勉強で忙しい兄、子分のような弟、近所の悪ガキ集団とのケンカの毎日、
初恋の相手?で幼くして病死してしまった松っちゃん、
遠縁で肺病だった千草と十万億土の世界の話、
妖怪が出るので噂の家に引っ越してきたフシギな力を持つ少女・美和が神戸に売られてしまうまでの交流etc・・・


勉強は大の苦手だけれども、ガキ大将として頼られる存在だった茂は、夢想の大好きな少年で、
妖怪話を聞きながら、人間界と異次元世界を行き来しながら、いろんな話を創ってゆく。

中でも、人を驚かす「小豆ばかり」は何度も登場してきて、講釈じみたセリフも語ったりして、
なんだかとっても親しみが湧いてしまった

「長い時が理解を深めるとは限らない。一瞬は永遠であり、永遠は一瞬である」


父のセリフもよかった。
「人を感動させるものは、ありのままの形だけじゃない。こんなことがあってもええんじゃないかなーと思う夢なんだよ」


こんなあったかい家族に囲まれて育ったから、妖怪研究家、漫画家としてだけじゃなく、
大きなココロの持ち主として、みんなを楽しませてくれる人になったんだなあ!

ドラマも気になる。

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