■星野道夫の仕事 第1巻 カリブーの旅
星野道夫/著 朝日新聞社
大型本はなかなか持ち歩いて読めないため、時間の余裕のあるうちに借りてしまおう計画w
発行年順に読み進めてきた道夫さんの著書も、数冊を除いてすでに亡くなったあとに出た本に入る/寂
日記やエッセイ集も素晴らしいけど、やはりこうして写真でじかに道夫さんが見た風景をともに見れるのは嬉しい。
これまでの著書になかったショットも多いし。
▼池澤夏樹さんのあとがき抜粋
「画面の中で、見るものはまず小さく写った動物を見つけ、しばらく後、漂い出す視線の赴くままに、風景の全体を見る。また動物にもどる。細部と全景を交互に何度も見ることで、そこに映ったものすべてを認知し、理解し、愛するようになる。」
とは、まさに私もそうして道夫さんの写真を見てきた
「カリブーの身体には尿を再利用する特別のシステムが備わっている。この動物は尿の六割以上を胃に戻して、失われがちな窒素を回収することでたんぱく質の損失を防ぐのだ。これによって彼らは地衣類の栄養を独占し、北極圏を自分たちの領土として生きてゆく。」
道夫さんの論文によると、75人の村民+124頭の犬ぞり用の犬のために、年間2000頭のカリブーが必要だったという。
単純計算で1人当たり1年に26頭か。月に2頭って考えると、それだけで生きていけるんだと逆に驚いてしまうけど。
カリブーの1年の動きをまとめると、5~6月に出産・子育て→7月から移動をはじめ、
繁殖期→冬は森で越す→3~4月頃に再び出産のために移動を始めるというサイクル。
その移動する間に、ヒトのみならず、クマ、オオカミ、カラスなどの命も育んでゆく。
「個体として精一杯の生きる努力をしながら、個体ではなく種をこそ存続させること」
「カリブーにとって死は悲劇ではなく必然、生に含まれるもの、生きていることの一部である。
カリブーたちはそれを知っているから、死を素直に受け取る。
もちろん精一杯の抵抗はするが、あるところを越えると、ふっと受容する。
大事なのは個体ではない。彼らの死にかたもそれを伝えている。
一つの幅広い流れとして未来に向かって進んでゆくのは個体ではなく種である。
個々の動物はこの流れの中で、自らを生かしめ、子どもを生んで育てればいい。それ以上のことは自然が決めてくれる。
生命とはそういう大いなる流れであり、生きる喜びはその流れに身をゆだねるところから産まれる。
自然はアラスカ全体を使って、何十万頭ものカリブーを使って、この原理を表現している。
星野の写真が伝えているのは結局のところ、この自然界のもっとも基礎のところにある原理であり、その具体的な表れの姿なのである」
子どもを生んでいない女性にとっては複雑な心境だけど、自然の大意はそんな感じなんだろうな。
星野道夫/著 朝日新聞社
大型本はなかなか持ち歩いて読めないため、時間の余裕のあるうちに借りてしまおう計画w
発行年順に読み進めてきた道夫さんの著書も、数冊を除いてすでに亡くなったあとに出た本に入る/寂
日記やエッセイ集も素晴らしいけど、やはりこうして写真でじかに道夫さんが見た風景をともに見れるのは嬉しい。
これまでの著書になかったショットも多いし。
▼池澤夏樹さんのあとがき抜粋
「画面の中で、見るものはまず小さく写った動物を見つけ、しばらく後、漂い出す視線の赴くままに、風景の全体を見る。また動物にもどる。細部と全景を交互に何度も見ることで、そこに映ったものすべてを認知し、理解し、愛するようになる。」
とは、まさに私もそうして道夫さんの写真を見てきた
「カリブーの身体には尿を再利用する特別のシステムが備わっている。この動物は尿の六割以上を胃に戻して、失われがちな窒素を回収することでたんぱく質の損失を防ぐのだ。これによって彼らは地衣類の栄養を独占し、北極圏を自分たちの領土として生きてゆく。」
道夫さんの論文によると、75人の村民+124頭の犬ぞり用の犬のために、年間2000頭のカリブーが必要だったという。
単純計算で1人当たり1年に26頭か。月に2頭って考えると、それだけで生きていけるんだと逆に驚いてしまうけど。
カリブーの1年の動きをまとめると、5~6月に出産・子育て→7月から移動をはじめ、
繁殖期→冬は森で越す→3~4月頃に再び出産のために移動を始めるというサイクル。
その移動する間に、ヒトのみならず、クマ、オオカミ、カラスなどの命も育んでゆく。
「個体として精一杯の生きる努力をしながら、個体ではなく種をこそ存続させること」
「カリブーにとって死は悲劇ではなく必然、生に含まれるもの、生きていることの一部である。
カリブーたちはそれを知っているから、死を素直に受け取る。
もちろん精一杯の抵抗はするが、あるところを越えると、ふっと受容する。
大事なのは個体ではない。彼らの死にかたもそれを伝えている。
一つの幅広い流れとして未来に向かって進んでゆくのは個体ではなく種である。
個々の動物はこの流れの中で、自らを生かしめ、子どもを生んで育てればいい。それ以上のことは自然が決めてくれる。
生命とはそういう大いなる流れであり、生きる喜びはその流れに身をゆだねるところから産まれる。
自然はアラスカ全体を使って、何十万頭ものカリブーを使って、この原理を表現している。
星野の写真が伝えているのは結局のところ、この自然界のもっとも基礎のところにある原理であり、その具体的な表れの姿なのである」
子どもを生んでいない女性にとっては複雑な心境だけど、自然の大意はそんな感じなんだろうな。