メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

Alaskan dream 1 『星の物語』星野道夫

2012-03-31 17:12:21 | 
Alaskan dream 1 『星の物語』(TBSブリタニカ)
星野道夫/著 三村淳/構成

アザラシの赤ちゃんかあいいいいい!!!連れて帰りたくなる
雪が周りに付いてると雪見大福みたい!
「可愛い」ものの定義って「丸い」「目が多くて、黒目がち」なのがポイントなのかな?

p.31の子どもを慈しむアザラシの母親の表情や、p.75のホッキョクグマの親子の表情も同じ。
母と子の愛情の絆には、どんな生物も差はないんだな。

さまざまな色や形に変化するオーロラ写真、クマとキツネの2ショットもすごい


p.65
「風こそは、信じ難いほどやわらかい真の化石だ」と誰かが言ったのを覚えている。
私たちをとりまく大気は太古の昔からの無数の生き物たちが吐く息を含んでいるからだ。


p.86
生きものたちは、ただ次の春まで存在し続けるため、ひたむきな生の営みを見せてくれる。
それは自分自身の生物としての生命を振り返らせ、生きていることの不思議さ、脆さを語りかけてくる。


クマも直立して立つのね!驚 p.110~111の立っているクマの連続写真は可笑しいw
写真で見て、これだけ感激するのだから、この場に居合わせたら、どれほどの感動になるだろう!
動物たちの仕草や表情が面白すぎて、見ながらついつい色々ツッコミを入れたり、コメントを言いたくなるw

p.124は、ラストのクマの写真は、目の充血まで分かるほどのどアップ!!!


p.125
自然は時折、物語をもった風景を見せてくれる。
いやそうではなく、きっと、僕たちをとりまく風景は、すべて物語に満ちているのかもしれない。



見渡す限りまっすぐに地平線が見える雪原に棲むホッキョクグマたち。
1年のほとんどが冬みたいな環境で、一緒にいるのは大体母親と子ども2人。
たまにホッキョクギツネや、オオカミに出会うくらい。

そんなシンプルな場所(とてつもなく厳しいけれども)で産まれて、暮らしていたら、
きっとココロもカラダも、芯から限りなく純粋でシンプルにいられるんじゃないのかなって思った。

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Alaskan dream 2 『風の物語』星野道夫

2012-03-31 17:12:20 | 
Alaskan dream 2 『風の物語』(TBSブリタニカ)
星野道夫/著 三村淳/構成

今作は、広大な風景写真と、道夫さんが生涯追い続けたカリブーの群れがメイン。
秋のツンドラに咲く色とりどりな花たちは、冬のまっすぐな雪原と対照的に色の祭典みたい

道夫さんは、登山家ではないけれども、冬のアラスカの山々の写真は、
山好きにとっても、山好きでなくても、溜め息が漏れる美しさがあって、
思わず1枚、1枚を姿勢正しく見入ってしまう。

例えば、白川郷・五箇山の合掌造り集落などは、
同じ厳しい寒さの雪景色でも、人里のほっこり温かいぬくもりを感じるけれど、
ここは前人未到、人を寄せ付けない自然の美しさだ


p.47
“旅をするということは、通り過ぎてゆく土地に眠るたましいを 揺り動かすことなのだ”


p.66
ひと粒の雨が、川の流れとなりやがて大海に注いでゆくように、
私たちもまた、無窮の時の流れの中では、ひと粒の雨のような一生を生きているに過ぎない。


p.74
生命とは一体どこからやって来て、どこへ行ってしまうものなのか。
あらゆる生命は目に見えぬ糸でつながりながら、それはひとつの同じ生命体なのだろうか。
木も人もそこから生まれでる、その時その時のつかの間の表現物に過ぎないのかもしれない。


p.97
あらゆる生命が、ゆっくりと生まれ変わりながら、終わりのない旅をしている。


p.113
めぐりくる季節で、ただ無窮の彼方へ流れゆく時に、私たちはふと立ち止まることができる。
その季節の色に、私たちはたった一回の生命(いのち)を生きていることを教えられるのだ。


カラフルな植物に粉砂糖を振りかけたような霜。これは春を待つ光景だろうか?
道夫さんは、広大な風景写真から、とても繊細な花の写真まで、
自分の眼で見て感動した美しさを、私たちに生々しく伝えてくれる
改めて、プロの写真家としての技、芸術的なセンスにも感嘆した。


p.125
風の感触は、なぜか、移ろいゆく人の一生の不確かさをほのめかす。
思いわずらうな、心のままに進め、と耳もとでささやくかのように・・・。

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Alaskan dream 3 『愛の物語』星野道夫

2012-03-31 17:12:19 | 
Alaskan dream 3 『愛の物語』(TBSブリタニカ)
星野道夫/著 三村淳/構成

今作は、動物の親子ショットが多い。
さまざまな種類の鳥たち、グリズリー、カリブー、、、
どの場面にも、言葉はなくても、親子や兄弟同士の心の対話があり、物語りを感じるステキな写真ばかり


道夫さんがお気に入りのアカリスだっけ?シリーズが可愛い
フサフサのしっぽは、リスらしく背中に巻きついている時と、ダラーンて垂れている時があるけど、
何か意味があるのかな?(わんこの感情表現みたいな役割とかw

ドールシープや、わたしのお気に入りのプーさん似のホッキョクジリスも可愛いすぎ!
前に垂れた両手が好き


この3冊の写真集シリーズも、どれもとても素晴らしかった!
またいつか道夫さんの世界に戻りたくなったら、いつでも開いてみよう。

道夫さんはもう亡くなって久しいけれども、すぐに天に昇ってしまっただろうか? それとも自然に還っただろうか?
わたしはなぜだか、道夫さんは透明な魂になって、しばらくアラスカに留まって、
念願だった「人間のいない状態での動物たちのありのままの姿、自然の移り変わりを、ようやく堪能できる!」と言って、
嬉々として見ているのかもしれないな、なんて想像してみた。




p.114
自然は、ある意味において、弱い者さえも包容してしまう大きさが、きっとあるような気がする。


p.125
この世に生きるすべてのものは、いつか土に帰り、また旅が始まる。


【星野直子さんによるあとがき】

長い間思い描いてきた光景が、風景・動物・光の調子など全ての条件が整って目の前に広がることもあり、
そのような時は自然が自分に撮らせてくれたようなものだと話していました。

生命の不思議さ、強さ、その裏にある脆さを感じ、
すべての生命は限られた時間の中で生かされているということを知ることで、
私達はより良い人生を送れるのだと思います。

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宮沢賢治『おきなぐさ/いちょうの実』

2012-03-31 16:54:26 | 
日本の童話名作選『おきなぐさ/いちょうの実』(偕成社)
宮沢賢治/作 たかしたかこ/絵

そもそも賢治が『花鳥童話集』に入れようとしていた2編とのこと。
生と死の永遠の繰り返しである自然のサイクルを著したこの2編を組み合わせたアイデア自体がすでにとても素晴らしい。

おきなぐさ
おきなぐさを岩手地方では「うずのしゅげ」、ねこやなぎは「べむべろ」と呼ぶのだそう。
本文にもあるけど、方言のほっこりした感じのほうがよっぽどいいよね

ひばりのセリフがいい。
 「ええ、ひどい風ですよ。大きく口をあくと風が僕のからだをまるで麦酒瓶(ビールびん)のようにボウと鳴らして行くくらいですからね。わめくも歌うも容易のこっちゃありませんよ」

ひばりは、そのうち綿帽子となって飛んでいく翁草に問う。
 「どうです。飛んで行くのはいやですか」
 「なんともありません。僕たちの仕事はもう済んだんです」
 「こわかありませんか」
 「いいえ、飛んだってどこへ行ったって野はらはお日さんのひかりでいっぱいですよ
  僕たちばらばらになろうたって、どこかのたまり水の上に落ちようたって、お日さんちゃんと見ていらっしゃるんですよ」

 「ああ、僕まるで息がせいせいする。きっと今度の風だ。ひばりさん、さよなら」

自然の死は、そのまま生につながり、あるがままで、美しい。それは道夫さんもゆっていたっけ。



いちょうの実
イチョウの樹がおっかさんで、実が子ども達。
子ども達の巣立ちの日が近づいてきて、それぞれの夢が大きくて面白い。
兄弟姉妹みんな仲が良くて、それぞれを思い遣っているのもステキ

でも、銀杏てそんなに遠くへ落ちるものだろうか?
太陽は、神さまのような存在に描かれていて、「北風はそんなに親切じゃない」んだってw
カラスは褒められていたけど、実を食べてしまったら、木には育たないのでは?


明治の、ある意味平和な時代背景が、賢治の心をそれほど荒まさず、
小岩井の豊かな自然と一体化した生活と心がそのまま言葉として表れている。
農業を研究していた賢治の植物などに関する造詣の深さもうかがえる。

ケント紙にパステル+色エンピツで描いたという、挿絵のやわらかな線と色の絵も作品と合っていた。

どんな作品も、全集だとサラっと読み過ごしてしまいがちだけど、
こうして、ちゃんとした挿絵も入れて、大型本の1冊の絵本にすると、
文章の一言一句の深みが、絵とともに、じっくり味わえるからイイ。


【気になった単語】

企図:あることをくわだてること。また、その内容。もくろみ。

澄明:水・空気などが澄みきっていること。また、そのさま。

黒繻子:黒色の繻子(繻子織りにした織物。帯地・半襟・洋服地などに用いられる。サテン。)

変光星:
明るさが変わる恒星。連星が互いに他を隠すために変光する食変光星と、恒星自体の膨張収縮による脈動変光星とがある。変光の周期は数時間から数年まであり、また、不規則なものもある。

ホタルカズラ


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