メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

ベッリーニ歌劇『清教徒(全3幕)』@リセウ大歌劇場(2001)

2015-05-28 13:25:19 | 演劇・オペラ
ベッリーニ歌劇『清教徒(全3幕)』@リセウ大歌劇場(2001)

台本:カルロ・ペーポリ
演出:アンドレイ・セルバン
指揮:フリードリッヒ・ハイダー(今回エルヴィーラ役のエディタの夫で、エディタは1946年生、彼は1960年生だから14歳の歳の差婚/驚

出演:
グァルティエーロ・ヴァルトン卿:城主、清教徒(バス): コンスタンティン・ゴルニー
エルヴィーラ:ヴァルトンの娘:(ソプラノ):エディタ・グルベローヴァ
アルトゥーロ・タルボ:エルヴィーラの婚約者、スチュアート王家支持派の騎士(テノール):ホセ・ブロス
リッカルド:隊長、アルトゥーロの恋敵(バリトン):カルロス・アルバレス
ブルーノ:士官、リッカルドの親友(テノール):ビセンス・エステベ・マドリッド
ジョルジオ:城主の弟、エルヴィーラの伯父、退役隊長(バス):シモン・オルフィラ
エンリケッタ王妃:チャールズⅠ世の未亡人:ラクエル・ピエロッティ

とても有名なオペラというのは知ってたけど、タイトルの堅苦しさから、
なんだか宗教絡みの政治的な話かと思って避けてきたけど、中身はロマンス
人々から長く愛されるのは、やっぱり肩の凝らないエンターテイメントだね。


【ライナー抜粋メモ~岸純信(オペラ研究家)】
34歳で早世したベッリーニの完成作は10に留まるが、その抒情的な旋律は無類の美しさを湛えるもので、端正なその響きに魅せられる人は多い。
ロンドンを離れたベッリーニは、1833年、パリに到着。
当時のパリは、林立する歌劇場群の隆盛で欧州全土から注目を集めていた。

新作『清教徒』の初演1835年は、文字通りの大成功。
ロッシーニが知人に出した手紙にも「作曲家も歌手もステージに二度呼び出された。パリでは本当に珍しいと言わねばなるまい。
真にそれに値する時だけ、そのようなことが行われるのだ」と綴っている。

ベッリーニがこの僅か8ヶ月後に病で急逝したので、本作が彼の「白鳥の歌」となってしまった。
ワーグナーは「清らかなメロディと飾り気のない崇高さ、それに歌の美しさ」と後年記した。
この分かり易い一行こそ、ベッリーニの個性を端的に伝えるものであろう。

歴史
18C末の革命で我先にと国外へ脱出したフランスの貴族層には、海を越えてイングランドに逃れた人々が多かった。
彼らは後に英国文学を母国に持ち帰る。その後、大ブリテン島の巨星が、欧州全土を照らす。
スコットランド生まれのサー・ウォルター・スコットだ。
「歴史小説の魔術師」と謳われた彼は、故郷の幻想的な自然描写と、ロマンチックな物語作りを得意とした。

『清教徒』の原作『円頂派と騎士たち』は、スコットの影響下のパリで評判を得た一作。
「円頂派」とは、清教徒革命時の「議会派」を指すフランス語で、長髪の王党派に対して、
議会派は剃髪していたという史実による(ザビエル的な?w

ベッリーニがこの芝居に惹かれた理由は、ヒロインが狂乱状態に陥るシーンに魅せられたからだという。
乱れる心象風景を表現するというシチュエーションは、プリマドンナにとっては、喉の技巧をこれでもかと発揮できる貴重な場だった。

ベッリーニは、意外にもフランス語は不得手で、パリの社交の席に積極的に加わることが難しかったらしい。
フランス語で曲を作るオペラ座やオペラ・コミック座より先に、テアトル・イタリアンでの新作発表を選んだ気持ちも想像しやすい。
イタリア・オペラの旋律美の極致『清教徒』は、ロンドンやパリで音楽の新しい息吹に触れたベッリーニが母国語でオペラを書き得たことが幸いした。

音楽性
『清教徒』は、リコルディ社のヴォーカル・スコアの他、作曲当時の手書きのフルスコアもガーランド社から復刻出版されている。

映像
1994年の大火災を経て、1999年に再開場したこの劇場の、以前にも増して豪華になった内装が目を惹く。

 

イングランドで清教徒たちが王政を倒した革命(1642-1649)時の情勢を反映させ、戦で傷ついた人々を頻繁に登場させ、
衣装は当時のスタイルを尊重し、暗い色彩で統一されている。

リッカルド役のカルロスは、第一幕の最後で舞台を去る直前、
錯乱状態のエルヴィーラを見つめる一瞬の逡巡(決断できないで、ぐずぐずすること)ぶりは見応えがある。

初演当時の難役アルトゥーロを歌ったルビーニは、エスキュディエ兄弟に「胸声から頭声へのチェンジが全く分からない」と言わしめたが、
ルビーニの発声法は、現代のテノールとは異なるものと想像され、
ベッリーニが彼のために書いた「High F音」を現代の発声で出せる歌い手は、マッテウッツィのようなごく一部の例外的な存在になる。

ジョルジョ役のシモンは、収録時はまだ20代半ば(!)だったので、今後の声の成長にも期待したい。
(外国人ってほんと年齢が上に見える・・・メイクのせいもあるだろうけど



あらすじ(ネタバレ注意
 
開演直前まで練習して、演奏のイメージングをしているオケの面々

[第1幕]

白い服を着たエルヴィーラは落ち着きない様子でうろつく

 
長い剣を振り回す戦士たち。ブルーノ「警戒せよ。夜が明けた」

スチュアート王政を倒すための準備をする戦士の中で、一人苦悩するリッカルド。ブルーノがワケを聞くと、
「戦地に行く前、エルヴィーラの父に彼女との結婚を承諾させたが、帰郷すると、彼女の心は騎士タルボにあると分かった」
(銃が1丁落ちて、ブルーノは自然と戻してた

 

皆は結婚式の準備に大わらわ。しかし、エルヴィーラは悲しそう。父代わりの叔父に胸の内を打ち明けると、
兄に彼女が好きなのはアルトゥーロだと伝えたから、今日の式の相手はアルトゥーロなのだと伝える。
一気に喜びで興奮するエルヴィーラ。そこに「アルトゥーロが到着した!」としらせが入る。

 

 
跳ね橋からおりてきたのは、アルトゥーロと、父ヴァルトン卿、そして、黒衣の女性


アルトゥーロはエルヴィーラに愛の歌を捧げ、花嫁衣裳のための白いヴェールを贈る
(ソプラノの細かい音、長くのばす音ものびやかで素晴らしい!

黒衣の女性がヴァルトン卿に「後で議会にかける」と言われたのを聞き、
王党派でまだ忠誠心を引きずるアルトゥーロは「可哀想に。彼女は死刑にされる。なんとか救えないものか」と気にかける。
その様子を見て、「あの顔には憐れみがある」と期待する女性。

 

皆がはけてから黒いヴェールをとると、彼女はなんと幽閉されていた王妃エンリケッタ(フランス王家から英国に嫁いだ)と分かる。
「私は夫チャールズと同じ運命が待っているのです」
「逃げるのです。あなたをお救いします。命を賭けても!」

 

そこに幸せ絶頂のエルヴィーラが来て、「このヴェールを試させて」とエンリケッタにかける。
「あとであなたが私にヴェールをかけてくださる?」と無邪気に頼み去る。
「その姿なら逃げられます」とアルトゥーロ。

 

今度はリッカルドが来て決闘を申し込む。しかし、事情を知って「その女と行くがいい。愚か者め!」
アルトゥーロ「さらばエルヴィーラ!」
リッカルド「裏切り者を追いかけるのだ!」

 

2人が逃げていく様子を見て、ワケも分からず絶望したエルヴィーラは、
「エルヴィーラはもういない」と正気を失う。「私は愛に死ぬでしょう」とウェディングドレスを裂く勢い。
(演技も素晴らしく大拍手が鳴り止まず、一礼して応える



[第2幕]
(最初に上がっていく柵みたいのは何だろう???

 

ジョルジュは愛する姪の様子に苦しみ、皆も「悩み事を分けてください」と頼む。周囲は戦争で傷ついた者ばかり。
「ときどき正気を取り戻すが、祭壇にいるつもりで誓いますと言ったり、時には他人をアルトゥーロと思い込み、
 我に返るという繰り返しだ。そして死を望むのだ」

リッカルド「議会の名においてアルトゥーロを処刑する!」

♪私に希望を返して下さい。さもなくば死を と歌うエルヴィーラの声が聴こえてくる。
叔父やリッカルドを見ても誰か分からないし、戦士をアルトゥーロと間違えて誘惑したり。

 

その様子を見ていたリッカルドに「この人泣いてるわ。誰かを愛したことがあるのね」と同情する。
時々、正気に戻り「この命を絶ってください。さもなくば、あの人を返して!」
(悲しんだり、喜んだりする難しい役だなあ! “ブラボー!”と再び大歓声が鳴り止まず、一度壁から出てきて一礼

 

ジョルジュ「君は恋敵を救うことができる。彼を救うのだ」
リッカルド「NO! 議会の意志です。私は彼を憎んではいない」

ジョルジュ「罪深い嫉妬心を後悔するがいい。君の人生を破滅させるだろう。
      1つの魂を殺した時、もう1つの魂が彼とともに去るだろう」
リッカルド「誰の?」

ジョルジュ「“私はあなたのせいで死んだ”というだろう。2人の亡霊が君を脅かすのだ!」
リッカルド「私の涙で許しを得てみせます。あなたの涙が勝ちました。私も泣いています。
      明け方に敵が来る。その中にもし彼がいたら・・・」

ジョルジュ「祖国! 勝利! 名誉! ラッパを吹き鳴らせ!」

(ここでカーテンコールに出てくるジョルジュとリッカルド


[第3幕]

戦争は続き、死者を引きずって歩く兵士。外は雪

アルトゥーロ「やっと逃げ切った。長いこと異郷を彷徨って、やっと愛する人に会える。私は故国を失った流離い(さすらい)の男」



エルヴィーラが歌う声が聴こえる。

アルトゥーロ「あなたはどこにいるのだ? あなたは昔、私の歌に木霊を返してくれた(詩的な表現だなあ
       誰か来る! まだ私を追っているのか? 彼女にも危険が及ぶかもしれない。そうだ、あの愛の歌をうたおう」
(手にはあの結婚式の時の花の冠を持っている


エルヴィーラが歌に誘われて現れる。アルトゥーロが脱いだ上着を愛おしそうに抱きしめる

「消えてしまった。あの声は夢。空しいこと。アルトゥーロ、どこにいるの?」
「足元に! 許してくれ!」

まだ完全に正気ではないエルヴィーラ。
「3ヶ月も放っておいて・・・」
「3世紀ですわ。嘆きと苦しみに満ちた恐ろしい3世紀でした」

「可哀想に、彼女は事情(相手が王妃だったこと)を知らずにいたのだ!」
事情を話し、浮気ではないことを弁明し、エルヴィーラへの熱い愛がまだ全然変わっていないことを訴える。

 


ようやく納得したのに、そこに戦士らが現れ、リッカルドは処刑の準備をさせる

エルヴィーラ「私はいつでもあなたの側にいたい」
アルトゥーロ「私はあなただけを求めていた。この胸に来てください」
エルヴィーラ「魂が天上に昇る思いです。でもまたお逃げになるの?」

リッカルド「邪悪な男が! 苦悶のうちに死ぬがいい!」
エルヴィーラ「あの方が死に赴く時は、私も一緒に参りましょう」

ようやく正気に戻るエルヴィーラ。
アルトゥーロ「永遠にさらば!」



そこに伝令が届く。「私が軍の勝利だ! 罪人には恩赦が与えられる。イギリスは自由を得たのだ!」
しつこくもアルトゥーロを襲おうとするリッカルドをジョルジュが押さえる。
王家の敗北の知らせに、一同は彼をついに許す。


最後まで二転三転して、どうなるか分からない感じで、ようやく結ばれる2人にひと安心。

 

 

 


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『ブラタモリ #3 金沢』

2015-05-28 13:11:14 | テレビ・動画配信
『ブラタモリ #3 金沢』

有名スポット

【#3 お題「加賀百万石繁栄のわけ」】
 

前田家は、石高が最高だった。その後も300年間続いた繁栄の影にはたくさんの危機もあった。
関ヶ原合戦後、石高を守り抜くことは容易ではなかった。


●幅二間の道

現在の道の7割ほどは江戸時代前半以来の道


●3重に取り囲む堀
 
17C後半の延宝金沢図。わずか1カ月で「惣構」をつくったという伝説が残る

二代目の利長が家康を暗殺する陰謀の主犯だという噂が流れた。
実は、家康が前田家を侵略する罠だったが、この3重の掘が出来て和睦した。

 

 

その名残りが残っている市場へ。店内に入るには、段差があるんだけど、
そこで働いている人は、「どうしてこうなっているのか知らない」って可笑しいw




「ブラタモふるさとコレクション」


路面電車のポイントの切り替えをしている人は、なんと半地下にいた!
小さい窓にわんこが来たっていうニュース映像。
暑い金沢は、真夏に30度を超える日も多く、中の人は汗だく。。。
タ「可哀想だよ」

●辰巳用水
 

寛永8年、民家から出火した火事は、なんと城も全焼させてしまった。
台地が高いため、周囲にある2つの川から水がとれないため、「辰巳用水」が完成した。

高い兼六園のほうから城まで「石管」を通し、高低差で取水した。
その取水口跡がまだある(ペットボトルでの実験、分かりやすかったw

 

開渠の先は巨大ダム! 今回は特別に水を止めて、取水口に潜入!

 

 

全長4kmに渡るトンネルを掘るため、いくつも横穴を掘っていた。
今でも落石・落盤等ないか点検している。途中、地層が変わる部分も見れてタモさん感激!

 

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チベットの民話による『石のししのものがたり』(福音館書店)

2015-05-28 12:06:24 | 
こどものとも傑作集92 チベットの民話による『石のししのものがたり』(福音館書店)
大塚 勇三/再話 秋野亥左牟/画

「再話」昔話・伝説、世界の名作文学などを、子供向けにわかりやすく書き直したもの。再話文学。

先日読んだ本の秋野亥左牟さんの絵に感動したから何冊か予約して借りてきた。

『神々の母に捧げる詩-続 アメリカ・インディアンの詩』(福音館書店)

華やかな色使い、大胆な構図、実際にその土地に行った者が描いた民族の暮らしぶりが伝わってくる。


あらすじ(ネタバレ注意
父は亡く、母、兄とその妻、弟が住んでいた。
兄は、自分勝手で、家のことをなにからなにまで決めていた。

 

ある日、「お前みたいなマヌケは養っておけないから、どこにでもいってしまえ」と弟に言ったため、弟は家を出て行くことにした。
母は「私もいっしょに出ていくとするよ」と2人はあてもなく歩き始めた。

 

丘の麓に1軒の家を見つけ、誰も住んでいなかったので、そこに住んだ(そんな家あるんだ/驚
弟は丘で焚き木を刈り取って、町で売り、これで暮らしていけると母と喜んだ。



ある日、丘の影に大きな石の獅子があることに気づいた弟は、
「きっとこの山の守り神さまだ。私たちが無事に暮らせるのも、この獅子のお陰に違いない。どうしても、ちゃんとお礼をしなければ」
(山の神さまって考え方が日本人と同じだね

 

弟は町の市場でお祈りのための火を灯す器を買って、
翌日、獅子に丁寧にお祈りを捧げた(五体投地してるところかな?



すると「おまえは誰だね。何が望みかな」と獅子が言った。弟がこれまでのことを話すと、

「よろしい。明日の今ごろ、大きい桶を持ってきてごらん。お前の望みを叶えてやろう」

翌日、桶をもって獅子のところに行くと、

「口の下にもってくるがよい。金を吐き出してやろう。
 しかし、桶が一杯になったら、すぐにそう言うのだ。
 金を1つでも地面にこぼしてはならないぞ」

弟は正直に言って、その金でもっと大きな家を買い、ヤクや羊もたくさい飼い始めた。

 
(すごい立派な家が買えたね。金ってそんなにすごいんだ/驚

その噂を聞いた兄は、妻を連れて、弟の家にやって来て、すっかり話を聞き、
町でなるべく大きな桶を買って、獅子にせっせとお祈りをした。

獅子は少し厳しい声で言った。

「おまえは誰だ。何が望みなのか」

「へい。このあいだ、あなたさまから金をどっさりいただいたものの兄でして。私も金をいただきたいのでございますよ」
(もう言い方からして失敗しちゃったね

獅子は同じように金を落とさないよう言ったが、兄は夢中になって地面に落としてしまった。



獅子は「一番大きい金の塊が喉につかえたから取り出してくれ」

兄が口に手を入れると、獅子はそのまま閉じてしまう。もらった金も石や土に変わってしまった。



心配した妻は、亭主の有様を見て驚き、どうしても手が抜けないので、
毎日食べ物をもって通ったが、働き手がいなくなったため、家は貧乏になり、食べ物もなくなってしまった。

「もううちにはなんにもないのよ。私、この子にお乳を飲ますのがやっとのことだわ」
「ああ、私は腹が空いてたまらない。私もお乳が欲しいよ」



兄は妻のほうに首をのばすと、「はっはっは!」と獅子が笑い、兄の手は抜けた。
兄は弟に、こんなひどい目に遭ったのも、自分が欲張りで、勝手だったせいだと謝る。
弟は、兄たちにも金を分け、みんなで仲良く暮らした。




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