昭和52年初版 中尾明/訳 山本卓美/デザイン 樽喜八/イラストレーション
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
フリーマン・フロフツ
1879年 アイルランドのダブリン生
17歳で鉄道技師見習いとなる
40歳頃から推理小説を書きはじめる
あとがきにもあるが、フレンチ警部は
ホームズやポワロのような華やかさはなく
何度も現場を行き来し、同じ人に何度も話を聞き
推理を実際に確かめて捜査を進めるため
地味だがリアル
一人一人関係者を洗い、間違えても諦めない
事件が解決するまでほとんど不眠不休でハードワーク
一人でなんでもやるのでなく
地元や知り合いの刑事、専門家の力を借りる
紙幣の番号を調べるなんて途方もない作業だな!
犯人もなかなか計画的で、最後まで誰が犯人か分からない代わりに
分かっても意外性もない
淡々とした文章で、とにかく船と海に詳しい人なんだなということは分かる
【内容抜粋メモ】


■ヨットの死体
チチスター号はイギリスのニューヘイブンからフランスのディエップへ向かう途中
ニンフ号と書かれた1隻のヨットを見つける
そこには銃で撃たれた男の死体が2体
どちらも船に乗るような服装ではない

その後、ノランという男がモクスンを探していると
ランチに乗ってやって来る
死体を見て、モクスン証券会社の社長モクスンと
副社長ディーピングだと分かり驚く
フランスのパスツールという金融業者に会う予定だった
昨夜ロンドンで大きな夕食会では2人とも元気だった
もう1人の重役レイモンドも一緒に行く予定だったが
待っても来ないため、先に船を出して来た
現場に凶器の銃はなかった
その後の調べで、モクスン証券会社は倒産寸前だと分かる
ノランにも尾行がつけられる
■フレンチ警部
フレンチ警部が倒産の話をすると、全面否定するノラン
会社経営は社長と副社長が行っているため、重役も知らされないことが多い
会計主任のエスデールはパリに出張中
ディーピングの息子に死体検証をしてもらい
父がずっと元気がなかったと話す
モクスンらは気心の知れた者に撃たれたと推理
デッキに血の跡がついていることから犯人が負傷している可能性もある
そして逃亡には船を使った
モクスン証券会社は噂通りに倒産する
金庫から150万ポンドが消えている
モクスンらが持ち逃げしようとしたと思われるため
銀行に連絡して、札の番号を調べさせる
フレンチ警部はまずレイモンドを疑い、捜査する
重役の1人ノールズは風邪で休んでいた
倒産しそうなことをノランが知らないはずはないと答える
■スピード実験
チチスター号の船長はほかにも黒い船を目撃している
フレンチ警部はそれぞれの船の速さを聞いて
アリバイと死亡時刻が一致するかを計算させる
ノランの乗っていたランチは平均10ノット
13ノット出すことはムリと分かり、容疑者から排除する
■2つのスーツケース
高額の札ではすぐ足がつくため、5、10、20ポンド紙幣に
あらかじめ換金されていて、計画的犯罪だと分かる
当日、大きなはしけが使われた
海事専門家の警部に聞くと、現場は最も船の往来が少ない場所だという
事件は大々的に報道され、レイモンドの服装、特徴が指名手配される
黒い船に乗っていたのは、悪党3人組
別々に話を聞くと食い違いがあり、ウソをついている
レイモンドはフランスに渡り、服を買い、髪を染め、ホテルで食事をとった
彼によく似た男がスーツケースを買った
そこに盗んだ現金を詰めたか?
取引先の銀行から問題の番号の札がたくさん見つかる
事件の数か月前から、流通させていた
■ダイヤモンド
150万ポンドで宝石商からダイヤモンドに替えたと分かる
外国で磨いてしまえば証拠が消えてしまう
ダイヤモンドを買ったのは小指が曲がった男エスデールと思われる
■麻薬
レイモンドが船のかまたき人夫として働いていると船長から連絡が入る
レイモンドを逮捕すると、殺人を否定
はしけに乗り、ニンフ号に合流した後、麻薬入りのウィスキーを飲まされ
海岸に寝かされたいたと話す
新聞で事件を知り、疑われるのを恐れて船員になりすました
悪党3人を「事後従犯」の罪で悪魔島に送ると脅して
正直に話せば、罪にしないと約束すると
モクスンから金をもらい、レイモンドを海岸に運んだと明かす
その後、殺人事件と分かり、怖くなって偽証した
レイモンドの疑いは晴れる
■エスデール
エスデールがパリに向かったと見せかけて
イギリスに戻り3人を殺したのか?
船外モーターを買ったことが分かる
死体収容所から連絡があり、死んで相当経つ銃殺死体が
エスデールと分かり、捜査はまた振り出しに戻る
ニンフ号の血の跡は、エスデールを船から落とした時のもの
ノールズが風邪をひいたとウソをついているのか?
ニンフ号に2つのくぼみを見つけたフレンチ警部はついにひらめく
■くぼみのなぞ
くぼみは船外モーターを取り付けた跡
ランチに付ければ13ノット出すことが可能になる
ノランに犯人はノールズと思わせ、モーターの話をして動くのを待つ
予想通り、ノランはモーターを外しに来て
船の影からダイヤモンドを入れた袋を取り出す

フレンチ警部が入ると、時限焼夷弾を仕掛けてあると気づく
銃を使えば船ごと爆破され、ダイヤモンドも燃えて消える
銃をつきつけられたフレンチ警部
船の外から部下がノランの手を撃ち抜く

暗闇の中で格闘となり、フレンチ警部は失神する
意識が戻ると、事件は解決している
モクスン、ディーピング、エスデール、ノランの4人が
現金を持って逃げようとして、ノランは3人を撃ち
エスデールを海底に沈めた
小指を曲げたり、ポケットに隠すことでエスデールと思わせ
捜査をかく乱し、後でダイヤモンドを持ち出すつもりが
尾行に気づいて計画が狂った
モーターの話で自分が疑われていることを察知して
フレンチ警部も巻き添えにしようとして失敗
ダイヤモンドは投資した人々への支払いにあてられ
損害を小さく食い止める
フレンチ警部は警視に昇格できるかと期待するが
副総監は次の仕事を命じただけだった
エリスン副総監:
負傷が回復したら、メイドストーン行きの列車に乗ってくれ
アイルズフォード強盗事件を調べて欲しい
■解説 中尾明
ホームズやバン・ダインが生んだファイロ・バンスなどは天才型の名探偵
比べて、フレンチ警部はありきたりの警察官で努力型の名刑事
人間味があり、推理小説ファンに広く愛されている
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フリーマン・フロフツ
1879年 アイルランドのダブリン生
17歳で鉄道技師見習いとなる
40歳頃から推理小説を書きはじめる
あとがきにもあるが、フレンチ警部は
ホームズやポワロのような華やかさはなく
何度も現場を行き来し、同じ人に何度も話を聞き
推理を実際に確かめて捜査を進めるため
地味だがリアル
一人一人関係者を洗い、間違えても諦めない
事件が解決するまでほとんど不眠不休でハードワーク
一人でなんでもやるのでなく
地元や知り合いの刑事、専門家の力を借りる
紙幣の番号を調べるなんて途方もない作業だな!
犯人もなかなか計画的で、最後まで誰が犯人か分からない代わりに
分かっても意外性もない
淡々とした文章で、とにかく船と海に詳しい人なんだなということは分かる
【内容抜粋メモ】


■ヨットの死体
チチスター号はイギリスのニューヘイブンからフランスのディエップへ向かう途中
ニンフ号と書かれた1隻のヨットを見つける
そこには銃で撃たれた男の死体が2体
どちらも船に乗るような服装ではない

その後、ノランという男がモクスンを探していると
ランチに乗ってやって来る
死体を見て、モクスン証券会社の社長モクスンと
副社長ディーピングだと分かり驚く
フランスのパスツールという金融業者に会う予定だった
昨夜ロンドンで大きな夕食会では2人とも元気だった
もう1人の重役レイモンドも一緒に行く予定だったが
待っても来ないため、先に船を出して来た
現場に凶器の銃はなかった
その後の調べで、モクスン証券会社は倒産寸前だと分かる
ノランにも尾行がつけられる
■フレンチ警部
フレンチ警部が倒産の話をすると、全面否定するノラン
会社経営は社長と副社長が行っているため、重役も知らされないことが多い
会計主任のエスデールはパリに出張中
ディーピングの息子に死体検証をしてもらい
父がずっと元気がなかったと話す
モクスンらは気心の知れた者に撃たれたと推理
デッキに血の跡がついていることから犯人が負傷している可能性もある
そして逃亡には船を使った
モクスン証券会社は噂通りに倒産する
金庫から150万ポンドが消えている
モクスンらが持ち逃げしようとしたと思われるため
銀行に連絡して、札の番号を調べさせる
フレンチ警部はまずレイモンドを疑い、捜査する
重役の1人ノールズは風邪で休んでいた
倒産しそうなことをノランが知らないはずはないと答える
■スピード実験
チチスター号の船長はほかにも黒い船を目撃している
フレンチ警部はそれぞれの船の速さを聞いて
アリバイと死亡時刻が一致するかを計算させる
ノランの乗っていたランチは平均10ノット
13ノット出すことはムリと分かり、容疑者から排除する
■2つのスーツケース
高額の札ではすぐ足がつくため、5、10、20ポンド紙幣に
あらかじめ換金されていて、計画的犯罪だと分かる
当日、大きなはしけが使われた
海事専門家の警部に聞くと、現場は最も船の往来が少ない場所だという
事件は大々的に報道され、レイモンドの服装、特徴が指名手配される
黒い船に乗っていたのは、悪党3人組
別々に話を聞くと食い違いがあり、ウソをついている
レイモンドはフランスに渡り、服を買い、髪を染め、ホテルで食事をとった
彼によく似た男がスーツケースを買った
そこに盗んだ現金を詰めたか?
取引先の銀行から問題の番号の札がたくさん見つかる
事件の数か月前から、流通させていた
■ダイヤモンド
150万ポンドで宝石商からダイヤモンドに替えたと分かる
外国で磨いてしまえば証拠が消えてしまう
ダイヤモンドを買ったのは小指が曲がった男エスデールと思われる
■麻薬
レイモンドが船のかまたき人夫として働いていると船長から連絡が入る
レイモンドを逮捕すると、殺人を否定
はしけに乗り、ニンフ号に合流した後、麻薬入りのウィスキーを飲まされ
海岸に寝かされたいたと話す
新聞で事件を知り、疑われるのを恐れて船員になりすました
悪党3人を「事後従犯」の罪で悪魔島に送ると脅して
正直に話せば、罪にしないと約束すると
モクスンから金をもらい、レイモンドを海岸に運んだと明かす
その後、殺人事件と分かり、怖くなって偽証した
レイモンドの疑いは晴れる
■エスデール
エスデールがパリに向かったと見せかけて
イギリスに戻り3人を殺したのか?
船外モーターを買ったことが分かる
死体収容所から連絡があり、死んで相当経つ銃殺死体が
エスデールと分かり、捜査はまた振り出しに戻る
ニンフ号の血の跡は、エスデールを船から落とした時のもの
ノールズが風邪をひいたとウソをついているのか?
ニンフ号に2つのくぼみを見つけたフレンチ警部はついにひらめく
■くぼみのなぞ
くぼみは船外モーターを取り付けた跡
ランチに付ければ13ノット出すことが可能になる
ノランに犯人はノールズと思わせ、モーターの話をして動くのを待つ
予想通り、ノランはモーターを外しに来て
船の影からダイヤモンドを入れた袋を取り出す

フレンチ警部が入ると、時限焼夷弾を仕掛けてあると気づく
銃を使えば船ごと爆破され、ダイヤモンドも燃えて消える
銃をつきつけられたフレンチ警部
船の外から部下がノランの手を撃ち抜く

暗闇の中で格闘となり、フレンチ警部は失神する
意識が戻ると、事件は解決している
モクスン、ディーピング、エスデール、ノランの4人が
現金を持って逃げようとして、ノランは3人を撃ち
エスデールを海底に沈めた
小指を曲げたり、ポケットに隠すことでエスデールと思わせ
捜査をかく乱し、後でダイヤモンドを持ち出すつもりが
尾行に気づいて計画が狂った
モーターの話で自分が疑われていることを察知して
フレンチ警部も巻き添えにしようとして失敗
ダイヤモンドは投資した人々への支払いにあてられ
損害を小さく食い止める
フレンチ警部は警視に昇格できるかと期待するが
副総監は次の仕事を命じただけだった
エリスン副総監:
負傷が回復したら、メイドストーン行きの列車に乗ってくれ
アイルズフォード強盗事件を調べて欲しい
■解説 中尾明
ホームズやバン・ダインが生んだファイロ・バンスなどは天才型の名探偵
比べて、フレンチ警部はありきたりの警察官で努力型の名刑事
人間味があり、推理小説ファンに広く愛されている