森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

オニノヤガラ芽生え

2011年06月15日 | 自然観察日記
まるでアスパラガスの芽生えのようですね。妙高イモリ池の遊歩道の一角にニョキニョキと数本出ていました。心無い人が蹴飛ばしたような形跡があって、折れていたものもありとても残念です。成長してその姿を観察できるところなど、めったに無いのですから・・・。そっとしておいてその成長を見守りたいものです。
オニノヤガラ、腐生ランで葉緑素を持たない植物ということになっていて不思議な生態を持っている種です。

オニノヤガラ 緑色の個体の芽生え

2011年06月15日 | 自然観察日記
葉緑素を持たないことになっているのに、緑色をしたオニノヤガラの芽生えです。これはどういうことでしょうか・・・。少し掘って根元を確認すると間違いなく丸い塊があります。これはナラタケの菌糸が巣くっている塊でオニノヤガラはナラタケ菌と共生して栄養を得ていることになっているのです。この緑色の正体は葉緑素でしょうから、若い頃は葉緑体も持っていて多少なりとも自分で光合成をするということなのでしょうか。実際の生物の営みは面白いです。理論どおりに行かないところがいいですね。命の奥深さが感じられます。

アオハダ

2011年06月14日 | 自然観察日記
これも里山の住人の一つで、アオハダの花です。雌雄異株ですからこれは雄花。見附の市民の森で以前真っ赤に色づいた実が沢山付いている樹を見かけましたが、あれ以来鈴なりの赤い実のなるアオハダを見たことがありません。丘陵公園にも沢山あるのですが一つもあの光景になるものがないのです。本当に実の付き方がとても悪いのです。受粉のためのいわゆるポリネーターが少ないのか、日当たりなどの関係なのか・・・。赤く色づいた実で埋まるようなアオハダをまた見てみたいと思いながら、小さな花を観察しています。

ナツハゼ

2011年06月13日 | 自然観察日記
ツツジ科のナツハゼの花を下から見たものです。でもナツハゼを知る人にとってはこの色が解せないかもしれません。時に強い赤色になって咲いていることを見かけることが多いからです。「ナツハゼの花は赤」と思っている方がおられるのですが、時には全く違った顔を見せることがあるのです。遺伝的な要因もあるのでしょうが、この場合はおそらく日当たりで花色が決まるような気がします。

サルトリイバラを食べるルリタテハの幼虫

2011年06月12日 | 自然観察日記
何の幼虫だろうか?調べてみるとルリタテハの幼虫であることが分かりました。食している葉はサルトリイバラです。幼虫の体表から出ている棘がおもしろいですね。綺麗というわけではないのですがとても芸術的です。もちろん威嚇のために持っているのでしょうが、その作りの繊細さが驚きです。葉の裏側について食べていますから、白と黒の配色は鳥などの天敵が上から見る場合はあまり目に付かない配色なのでしょうか。

ウキヤガラ

2011年06月11日 | 自然観察日記
柏崎の夢の森公園に立ち寄ったとき、池のほとりにウキヤガラの群落が出来ていました。地味なほうの水草で単なる一つの風景にしかなっていませんが、ここにはサンカクイやカンガレイが近くに無く湿地の競争相手がいなくて我が物顔です。湿地の植物はそれほど詳しくはありませんが、僅かな条件の違いでそこに生じる群落が違うように見えます。水深の浅い深いとか水流があるかないかとか干上がる場所かどうかなどなど・・・。それにしても湿地の植物の繁殖力の凄さに圧倒されることがよくあります。極端に言えば、昨年までも景観が今年はがらりと変わって別の種に置き換わってしまうというようなことも見かけます。

エゴノキ

2011年06月10日 | 自然観察日記
すっかり公園木や庭木などとして定着してしまいましたから、野山にあるとどこと無く奇異な感じさえします。本当は里山の森の中に生活する種で、こちらの方が本来の姿です。シャボンノキとしても有名でまた虫こぶの様子が面白くて観察会には時々利用させてもらう重要な樹です。おびただしいほどの白い花がついてそれが一斉に散った跡の地面が白い絨毯になってしまいます。落ちた花を観察すると雌しべのあったところがスッポッと抜け落ちてそのほかは全てが癒合した形になっていることが分かります。冬芽にも面白い性質があるんですよ。似た種にハクウンボクがあるのですがこちらも同じような習性があります。

ガマズミ

2011年06月09日 | 自然観察日記
ミヤマガマズミよりワンテンポ遅れての開花です。今年は送れて6月の花になってしまいました。秋には赤い実がきれいですが、ミヤマガマズミよりも少し落ちるような気がします。丘陵公園の里山フィールドミュージアムには圧倒的にミヤマガマズミが多くガマズミは数えるほどしかありません。ミヤマガマズミは毛が無く葉に光沢があることで容易に区別できますが、これがヤブデマリなどの装飾花を持つスイカズラ科の植物と同じであるというのがストンと来ない人がいます。

ウゴツクバネウツギ

2011年06月08日 | 自然観察日記
ウツギと名の付く花はいくつかありますが、これはタニウツギと同じ科(スイカズラ科)でほぼ同じ時期に花が見られます。ただし、タニウツギが比較的湿った場所が好きなのに対してこのツクバネウツギは尾根筋などの比較的乾き気味の場所で見つかります。あまり大きな木はないようで控えめな花ですからあまり目立たないのですが、これくらいの花数が付くと存在感が合います。


ウゴツクバネウツギ 花

2011年06月08日 | 自然観察日記
ウツギは「空木」。茎の芯が空洞か柔らかな髄で出来ていて細いもので押し出すと簡単に抜けます。そういう性質のものに付けられた名前が「空木」ですね。ですから、同じウツギでも全く別種のものがあるのです。また、キブシなども同じような茎をしているのに「空木」の仲間になっていないのも面白いものです。
花はタニウツギのような5弁が同じでなくて何か動物の顔を連想させる作りになっています。しかし、がく片が同じ大きさでこの部分が「つくばね」なのです。(この絵では見えていません)

ヒメコウゾ

2011年06月07日 | 自然観察日記
和紙の原料になるコウゾはこのヒメコウゾとカジノキの雑種とされますが、このヒメコウゾでも和紙は作れると思います。里山には普通にあるのですが、その花に気づくことは少ないかもしれません。丸い黄色いものが点在するのが雄花、細かな毛を沢山つけた丸いものが雌花です。雌雄同株ですが雄花は枝先に雌花はそれより根元側に付きます。熟し方も差があって、同じ個体なら雄花が先に熟すようです。黄色の花粉が目に付く株の付け根の雌花を探してみるといかにもまだ熟していないといった小さな丸いものが付いています。

エゾハタザオ

2011年06月06日 | 自然観察日記
マイナーな植物です。エゾハタザオといいます。それも花の時期は終って長い実をつけている状態でとても地味ですね。でも、こんなものを見つけて有頂天になってしまうようになってしまいました。いつのまにか・・・。ハタザオは県内ではそんなに見かけません、ましてや私はエゾハタザオは今回が初めてなのです。道路わきの岩がせり出している隙間に斜めになって生育しています。名前から連想する平場ですっくと立っている「旗竿」のようなイメージではないのがまた面白い。こんな出会いもあるのですね。アブラナ科の植物ですから小さな十字の白い花を実の先につけていたはずです。これも深山性の種です。

オククルマムグラ

2011年06月05日 | 自然観察日記
少し深山性の種で里山のヤエムグラに似たものですが、とても優しい感じがします。非常に似た種にクルマムグラガあります。でも、葉が丸みを帯びていますからクルマムグラでは無いですね。オククルマムグラもクルマムグラも全国に分布しているとされますが、実は県内ではクルマムグラはとても少ないのです。両種の違いはなかなか難しいのですが、違いがあることは確かです。なぜ違いが出てくるのか・・・。雪国に生活するようになって基本種をクルマムグラとすれば環境に合わせて少しずつ形質を変えてきているのではないか・・・、それがオククルマムグラと解釈できます。
まだ花の時期には僅かに早くみんなつぼみででしたが、白い十字の可憐な花を沢山つけます。

スミレ

2011年06月04日 | 自然観察日記
誰でも名前だけは知っているスミレ、でも似たものがあって正確に区別できる人は案外少ないのもスミレです。あまり細かな分類は必要が無い場合も多いものです。細かく考えるか荒く把握するかは時と場合で使い分けをすればいいと思います。分布とか生態的なことをやっていると、細かいことまで理解していると都合のいいことが良くあることは確かですね。
それはそうとこのスミレ花弁の内側に毛があることが「スミレ」と区別する決め手で、よく似たノジスミレとの違いになります。それを知って身近なスミレを見てみると共に人里植物とされるのですが、両者が混在していることはほとんどない気がします。確定的なことがいえないのですが、各地で調べてみると面白いですね。

タチツボスミレ白化種

2011年06月03日 | 自然観察日記
タチツボスミレはスミレの中でもっともポピュラーなものの一つですが、その群落の中に一株白花種が混ざっている群落を見つけました。純白です。いろいろな種で白花種があるのですが、タチツボスミレではこれが始めての遭遇です。普通種と並んで咲いているとその価値が際立っています。自然の中で埋もれてしまうのはもったいないので、増殖させてみようかと思います。