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キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

宇宙戦艦ヤマト2205新たなる旅立ち後章-STASHA-

2022-02-10 | 映画(あ行)

◼️「宇宙戦艦ヤマト2205新たなる旅立ち後章-STASHA-」(2022年・日本)

監督=安田賢司
声の出演=小野大輔 桑島法子 大塚芳忠 山寺宏一

大作「2202」よりもコンパクトな前後章の構成である「2205新たなる旅立ち」。「2202」は次々に危機に陥り、果てしない戦いが続いて、面白かったけどいろんな要素を盛り込まれていて、正直消化しきれなかったところもあった。それだけにその振り返りであるドキュメンタリー調にまとめた「宇宙戦艦ヤマトという時代」は、気持ちの整理にありがたい内容だった。それを経ての「2205」は、これまでの3作品のストーリーのつながりを綺麗に収めてくれる秀作になっている。

ガミラス星の破壊、イスカンダル星の暴走。後章はデザリアムとの決戦から始まり、冒頭から見せ場の連続。幾重にもストーリーが並走する前作と違って、目の前の敵とのバトル、そしてガミラスの難民とイスカンダル王族救出のみに筋は絞られているから、映画への没入感が全然違う。

3艦隊編成になったことでそれぞれに役割があるのも面白い。森雪艦長の護衛艦がシールドを張ってヤマトをサポートする、RPGの防御役めいたポジションなのがいい。一人で背負いこんでしまう古代にかける言葉も素敵だ。「古代艦長…古代君…古代進ーっ!」って呼び名が変化していくのも、共にある存在としての雪が大きくなっているのを感じる。出番が少ないのが森雪ファンとしてはちと残念。

古代やデスラーにとって信頼できる存在だったキーマンが突然語り部として現れる「惑星ソラリス」めいた演出は、「星巡る方舟」でも近いものがあったな。そして明らかになるイスカンダル王宮の秘密と、ガミラスとの真の関係。これはなかなかの衝撃的な展開。

新たにメンバーに加わった若い世代の活躍も盛り上がる要素の一つ。そこに艦長古代進が理解を示す一方で、クライマックスの作戦では窮地で的確な指示を出し、部下にかける言葉が事態を好転させる。新旧世代のいいところが出ている。

最後に物語は「限りある命の尊さ」というテーマにたどり着く。これまでも「ヤマト」シリーズでは叫ばれてきたことではあるが、イスカンダル王族を交えたことでさらに深くなる。これは「銀河鉄道999」にも通ずる主題だけに、訴訟で著作権を失ったことを知る世代としては、"松本零士のヤマト"を感じてしまった人もいるのではなかろうか。

古代守とスターシャ(井上喜久子さま名演😭)の子供であるサーシャが実体化するラストでは、オリジナルで流れた島倉千代子の歌が流れるんではないかとちょっと期待していた。「ヤマト3」のEDテーマだった堀江美津子の「別離」も泣かせる。そして思わせぶりなラストカット。次は「ヤマトよ永遠に」だ。サーシャの「おじさまっ♡」を誰が演じてくれるのだろう。



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