Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ウエストワールド

2022-02-23 | 映画(あ行)

◼️「ウエストワールド/Westworld」(1973年・アメリカ)

監督=マイケル・クライトン
主演=ユル・ブリンナー リチャード・ベンジャミン ジェームズ・ブローリン

70年代に製作されたSF映画にはダークな未来観をもつものが少なくない。「猿の惑星」「2001年宇宙の旅」が共に1968年の製作。「スターウォーズ」が登場する1976年までは、宇宙でドンパチやる痛快なエンターテイメントなんてほぼ存在しなかった。当時、お子ちゃま向け世界名作文学全集でジュール・ベルヌとH・G・ウェルズばっかり読んでた小学生の僕は、ともかくSFと名がつく映画をテレビで放送していたら食らいついていた。その後しばらくトラウマ映画となる作品に出会う。作家マイケル・クライトンが監督・脚本を担当した「ウエストワールド」である。

大人の欲望を満たすテーマパークで起こったロボットの暴走。回路の不具合だったものが制御ができなくなり、パークを訪れた客を襲い始める。友人と西部(ウエストワールド)を訪れた主人公は、黒装束のガンマンに襲われる。過剰なテクノロジーへの警鐘がテーマとも言える作品だ。

初めて観た時はお子ちゃまだったから、とにかくユル・ブリンナーがしつこく追ってくるのが怖くて仕方なかった。これは後の「ターミネーター」に影響を与えているのだろう。また、熱を感知して襲ってくるロボット側の視線が映像化されているのは当時としては斬新なアイディア。後の「プレデター」や「レッドプラネット」にも通ずるところだ。

ロボットが暴走して客が次々に殺されるまで、映画はけっこうな時間をかける。そのくせトラブルの原因は示されないし、他のワールドやコントロールセンターのデロス職員までもが全滅する様子も深く描かれずにあっさりとしたもの。子供心にとにかく不気味な映画だったが、改めて観てもそれは同じ。徹底的に台詞を排した演出で、説明らしいものは一切なし。今どきならばロボットが自我を得る展開もありそうだが、それもない。無情なラストシーンには再びパークの宣伝文句が流れるクールな幕切れ。スッキリしない。でもそれが子供心に響いたのは間違いない。友人に、初めて買った映像ソフトがこれだった人がいる。彼の心にも何か刻まれちゃったんだな、きっと。

他の映画を観ても、登場人物にロボットが紛れていると悪者だと勝手に思うようになっていた。それは大人になっても引きずっているようで、「プロメテウス」「エイリアン:コヴェナント」を観た映画館の帰りに「だからロボットは信用できねえんだよな」と口にしたのは、きっと「ウエストワールド」のせいw。

後にピーター・フォンダ主演で続編「未来世界」が製作される。あまり有名作でもないのだが、こちらはデロスの裏に陰謀が隠されている展開でなかなか面白かった記憶が。



コメント
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