ここ数日寒さが続く。重たい腰を持ち上げて作業を開始しようとする。おもむろにいつものように空を見上げる。すると、山のかなたから刷毛で描いたような雲がやってきた。これはいつもの雲とは違うぞとあわててカメラを準備する。
十分くらい経過しただろうか、見事な繊維状の雲が流れていく。こうした雲は一年に一回見られるかどうかのレアな雲だ。よその地域でときどき目撃することもあったが地元で見られるのはまれだ。山のすぐ近くから湧いてくるように見えるが、実際は5000m~15000mもの上空を流れる上層雲のようだ。普通の雲は水滴だが、この雲は氷が多く、強い風が吹くことで離ればなれの繊維状の流線の雲になるという。
日本上空を通過するジェット気流で空高く流れる「空の女王」・巻雲(ケンウン)のお出ました。この巻雲には5つ以上のパターンがあるというが、もちろん詳細はわからない。そのうちの、毛状雲(モウジョウウン)というのがこれのようだ。先端から終端までまっすぐ伸びているのが特徴だ。天気予報では明日・明後日は雨模様だから、いっきに雨にしようというのが天の意思なのだろう。
日本大学の田中総長が逮捕された。三年前、アメリカンフットボール部の暴力問題で報道陣の前に釈明すらしない田中学長にいくたびも怒りをもったが、やっぱりうやむやになりそうだったと思っていた。日本の民主主義の脆弱さ、同調圧力の伝統などを痛感してやまなかった。フジテレビの「バイキング」だけは活躍していたが日本のマスコミのジャーナリスト精神の劣化・沈黙にうんざりしていた。そんなとき、きょう彼の自宅の1億円の現金発見などから脱税容疑で逮捕された。巨悪を暴く検察の健全な心意気がうれしい。
天の意思はまっすぐな「毛状雲」を選んだ。検察の取り組みと同じ意思が重なった。しかし、国会で何回も巨悪への解明が論議されてはきたが権力の闇を崩すには至っていない。今回の選挙結果でもすでにそれらの巨悪への憤りは風化してしまっている。そして、お笑い芸人にジャックされたマスメディアが「怒り」という感性を麻痺され、覇気を失っていく。