先日、伝説のロックグループ「クイーン」のリーダー・フレディの破天荒な生涯を貫いた映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観る。グループ名とか部分的なメロディはちょびっと知ってはいたけど、クイーンのファンは号泣したそうだ。最初はクイーンのドキュメンタリー映画かと思ったが主人公フレディの凄絶な孤独・苦悩・確執・葛藤をはらみながら生きようとしてきた人間ドラマだった。「ボヘミアン」とは放浪の自由民、「ラプソディ」とは狂詩曲。ボヘミアンラプソディの歌詞はイタリア語も出てきて難解だが、フレディの生い立ちにかかわる苦悩・挫折のストーリーのようだ。
複雑な生い立ちや容姿のコンプレックスを抱えたフレディ役を俳優ラミ・マレックはその個性的な演技と歌唱力とでぐいぐい観客を惹きつけていく。とりわけ、舞台上のパフォーマンスや衣装・半裸はその後のロッカーの目標となっていくほどの影響力がわかる。失恋・同性愛・作品作りの焦燥・グループ内の確執などをはじめHIVの感染で若くして亡くなる(45歳)が、クイーンと共に成長していく姿が後半の「ライブエイド(LIVE AID)」(20世紀最大のアフリカ難民救済チャリティコンサート)に結実していく。
それだけに、絶望の中の希望でもあった「ライブエイド」は音楽と共にクライマックス臨場感へと観客を誘う。ここで多くのファンの感涙を獲得していくところは計算通りの結末だ。フレディの顔がオイラが好きな酒飲みフォークシンガー高田渡(ワタル)の顔と似てきたなーと思えたのが愉快だった。高田渡はもちろん楽天的な反骨主義者だったけどね。