シカ肉を食べて以来、シカの食害はなくなっている。やはり、彼が犯人だったようだ。そのため、新芽をことごとく食べられていた「モロッコインゲン」に実ができて、やっと収穫もできるようになった。「モロッコインゲン」の原産地はメキシコ・パナマなどの中南米。モロッコではなかった。征服者・コロンブスが西洋に紹介してからシルクロード経由で中国・日本に伝わったようだ。
「タキイ種苗」が昭和50年ごろから商品化したこの「平さやインゲン」の命名をなぜ「モロッコ」にしたのかという疑問だ。その理由は、ナチスが占領していたモロッコを舞台にした映画「カサブランカ」だった。戦後まもなくの1946年に日本に公開され、「自由」を謳歌した時代精神とマッチしたようだ。
そんなロマンあふれる野菜があるのがうれしいが、シカの食害でツルが滅茶苦茶になったダメージを回復するのは難しい。そうは言っても、どんな料理にも適応できる柔軟性あるモロッコインゲンの収穫が楽しみとなったのは確かだ。