タマネギの天ぷらをご飯にのせて、ウスターソースをかけた。「ワイルドな食い方だな」と苦笑しながらも、「たまにはこれもいいや」と思った。子どもの頃、こうして食べることには何の疑問も感じていなかった。それはごく当たり前の行為であった。
天つゆや塩をつけて食べるのを知ったのはおそらく高校卒業後だろう。その旨さをおぼえて以来ソースを使わなくなった。社会人になってから、ますますソースの使用量は減った。食生活レベルの向上とともにソースの調味料としての地位は著しく下落した。ソース文化圏で育った自分はそのことに少しさみしさを感じる。