寮管理人の呟き

偏屈な管理人が感じたことをストレートに表現する場所です。

時間をかけて揚げた畑のサファイア(くわい)

2006年12月31日 | 食材

今日は揚げ物担当。くわいチップスとかき揚げを作った。オツなつまみでビールを飲み、メインディッシュの出来栄えに満足した。「まだ腕は落ちていないぞ」とほくそえんだ。

くわいは揚げると苦みがやわらぐ

かき揚げバリうま~


◆くわいチップスの作り方◆
・大きなくわいの皮をむいて3mmの厚さにスライスする
・水にさらして澱粉質を抜く
・ペーパータオルで水気を吸い取る
・サラダ油で二度揚げする(低温でゆっくりと)
・塩を強めに振って出来上がり

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今や高級品の焼きハゼ

2006年12月30日 | 食材

寿司屋の主人からもらった“焼きハゼ”でだしをひいた。ハゼを前日の晩から水に浸けておき、じっくりと煮出した。塩と薄口醤油、そしてごく少量の日本酒で味を調えた。丸みのある上品なつゆでにゅうめんを作った。昆布なしでこんな味が出るとは。勉強になった。だしがらのハゼは水で戻した日高昆布で巻き、甘辛く煮た。日本酒によく合うアテである。

ハゼ昆布巻き

今年の最大の収穫はこの料理人との出会いだった。私の疑問には事例をあげて納得のいく回答をしてくれた。くどくどと薀蓄を語らずに自信のネタをさり気なく出してくる。それは職人の美学とも言えるだろう。とにかく彼の講義は面白い。毎回安い授業料しか払っていないので、申し訳なく思っている。

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20世紀にもらった熊カレー

2006年12月29日 | 家飯

新婚旅行に行った友達がわざわざ買ってきてくれた缶詰を長い間放置していた。何故食べなかったかというとヒグマの肉が入っていることに別段目新しさを感じなかったからだ。

缶の外側が錆びてきたので、そろそろ片付けたほうが良かろうと思った。賞味期限はとっくの昔に切れているが、10年は平気で保存できる。これが缶詰の長所なのである。

そのまま食べるのでは面白くないので、いつものポークカレーに混ぜ込んだ。すると欧風カレーの雰囲気が若干出た。肝心の肉は加圧加熱処理によってボソボソになって、本来の旨味成分がルーのほうに流出していると感じた。

このカレーを作っているメーカーはトドやミンククジラの肉を使った製品も出している。つまり何でもありなのだ。珍しい食品を口にすることができたのを友に少しは感謝しなくてはならないのだが、そいつの名前がどうしても出てこなかった(笑)。

ヒグマ&ポークカレー 味はイマイチ

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緊張感あふれる忘年会

2006年12月28日 | 外食
一次会は飛び込みでカウンター割烹。これは当たりでびっくりした。地元の料理人が決して作らない品が出たので、花板に修行先を尋ねた。彼は静かに「東京です」と答えた。私は新宿の話をして、彼らと打ち解けることができた。

三次会は小料理屋。私はカウンターで居眠りをしていた。小林亜星似のオヤジが隣で講釈を垂れていた。よくよく話を聞いてみると“くすぼり”であることが分かった。その緊張感で目が覚めた。貫禄のある男は「肝臓の調子も悪いが、もっと酷いのは頭だな」と吐き捨てた。相槌を打つことも、笑うことも許されない現場。私は無表情でご飯とナメコの味噌汁を食った。

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名脇役の大根

2006年12月27日 | 食材

演技の下手な三流役者のことを「大根役者」と言う。確かに大根は生で食べても「あたらない」野菜だが、人気はあるのでちょっと気の毒に思う(笑)。

焼き魚に添える大根おろし、刺身のけんなど地味な役が多い。しかし、なくてはならぬ存在で、時には主役も張る。その数少ない例が煮物、風呂ふき、大根餅だ。

寒い日に息を吹きかけて食べる大根の煮物。2cmの厚さに切って軽く下ゆでした大根をだし昆布と一緒に炊いて、醤油とみりんで薄く味つけしたのは本当に旨い。自己主張の少ない味には色気すら感じる。

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『名もなき毒』宮部みゆき

2006年12月26日 | 書籍
幻冬舎、2006年8月25日第1刷発行、定価(本体1800円+税)

青酸性毒物による連続無差別殺人事件にひょんなことでかかわってしまった杉村三郎。彼はかつての部下(原田という反社会性人格障害の女性)から恨まれ、職場で睡眠薬をもられて倒れる。それからも彼女から執拗ないやがらせを受け、ついに最愛の家族を人質にとられ驚愕する。「暗さ」が全体に漂う重いテーマの小説だ。

財閥企業の総帥である義父(今多嘉親)は杉村に向かってぼやく。
‥究極の権力は人を殺すことだ。他人の命を奪う。それは人として極北の権力の行使だ。しかも、その気になれば誰にでもできる。だから昨今多いじゃないか‥たとえばあれが青酸カリだったなら、君らはみんな死んでいた‥あの局面では原田いずみは、君らにとって、抗いようのない権力者だった。死ななかった、殺さなかったんだから違うという言い訳は通用しない。他人を意のままにしたという点では同じなのだから‥だから私は腹が立つ。そういう形で行使される権力には誰も勝てん。禁忌を犯してふるわれる権力には、対抗する策がないんだ‥

生まれ育った環境は人間を大きく、そして幸せにもするが、その一方で人格を破綻させて悪党を生み出す場合もある。身勝手な性悪女(原田)はやり場のない怒りを幸福な善人にぶつけて傷つけるが、冷え切った心が満たされることはない。虚しさを打ち消すために、また犯行を重ねていく。そこには絶望にも似た悲しみが存在する。

杉村はこう考える。
‥家のなかは清浄だった。清浄であり続けると、私は勝手に思い込んでいた。信じ込んでいた。だがそんなことは不可能なのだ。人が住まう限り、そこには毒が入り込む。なぜなら、我々人間が毒なのだから‥

更に義父は意味深なことを呟く。
‥どこにいたって、怖いものや汚いものには遭遇する。完全に遮断することはできん‥それが生きるということだ‥

今年読んだ本の中で、これが最も強く、胸に突き刺さった。

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橙(だいだい)をしぼる

2006年12月25日 | 食材

市場で熟れた橙を見つけて買った。5個入りが150円。12月の初めから中頃にかけて店先に並べられるのだが、ここ数年買い逃していた。橙は爽やかな酸味を持ちコクがある。私は酢の物が好きなくせに尖がった酸っぱさがダメなのだ。

以前、別府の【ふぐ松】でコースを食べた時に大量のかぼすが出て往生した。舌がもげるかと思ったほどだ。「あの酸味がふぐに合うんだ」という意見を否定する気は毛頭ない。それが個人の好みなのだから。主役のてっさよりもドデカイ肝が印象に残っている(しかし、かわはぎの生肝の方が旨いと思う)。

暮れが押し迫った頃に自家製ポン酢を作るのが恒例の行事になった。橙を入手できたので今回は納得のいく味になるだろう。水炊きやふぐ鍋に使用して好評を得ている。

管理人特製ポン酢
材料A
 橙のしぼり汁 150cc
 米酢 150cc
 濃口醤油 300c
 みりん 50cc

材料B
 鰹節 ひとにぎり

≪作り方≫
 鍋に材料Aを移し弱火で加熱しアクをすくう。微沸騰の手前で火を止める。
 材料Bを加えて(追い鰹)自然に冷ましてから漉す。冷蔵庫で1ヶ月はもつ。

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ビールと日本人 明治・大正・昭和ビール普及史

2006年12月24日 | 書籍

キリンビール編、昭和63年5月2日初版発行、河出書房新社、定価580円

生協の書籍部で購入した時には二回生になっていた。盲牌名人のO野が下宿に来て、本棚にあったこの本を手に取りニヤッとした。そして「妙な音楽ばかり聴いていると思ってたが、本も読むんだな」と失礼なことを言った。彼の父親はキリンビールに勤めていた。

さて思い出はこのあたりで切り上げて本題に入ろう。明治時代には実に多くのビール会社があった。キリンの前身であるジャパン・ブルワリー・カンパニーが「麒麟ビール」というブランドを製造したのは1888(明治21)年5月。これが国産ドイツ風ビールの誕生とされる。当時は国産イギリス風ビールも売られていたのだが、主流にはなれず急速に衰退する。その理由はぜひ本書を読んで確かめて欲しい。

戦争中、戦後の流れも丁寧に描かれており、資料的価値は非常に高い。自社の製品だけでなく、他社のものも紹介するキリンビールの懐の深さにはおそれいる。現在絶版なのが残念だが、古書購入は容易である。

1987(昭和62)年にアサヒビールが「スーパードライ」を販売して、その後キリンは出荷量ベースで首位から陥落し、冬の時代に突入する。この劇的な変化をしっかりと頭に刻んで読むと、なお一層面白くなるだろう。

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復刻ラガー(キリンビール)

2006年12月23日 | 日記

散歩の途中でコンビニに寄り、これを見つけて懐かしさがこみ上げてきた。

「キリンビール」というブランドが誕生して100周年にあたる1988(昭和63)年にキリンは記念行事の一つとしてクラシックビールセットを販売している。

売国奴新聞(笑)を読んでそのことを知り、近くの酒屋に駆け込み、1セット譲ってもらった。明治、大正、昭和のラガーがケースに各2本入って1800円弱だった。当時のビンを復刻したことで飛びついたビール党も多かったのではないかと思う。

狭い下宿に経済学部の友を招き、メンチカツと明治のラガーをご馳走して喜ばれた。炭酸が少なくて苦みとコクが強いビールで、二十歳前の若造にも揚げ物と相性がいいことがわかった。私の記憶が正しければ、それは春以降のおそらく初夏の晩の出来事だ。

私の暮らした広島市内の日当たりの悪い下宿が取り壊されてもう5年にもなる。当時の建物はどんどん消えていくが、楽しかった記憶はずっと頭に残っているものだ。それでいい、と呟いた。

キリンクラシックビールセット販売促進用のパンフ

クラシックビールセットについてきたオマケ

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冬至の南京

2006年12月22日 | 家飯
今日の晩御飯は精進料理だった。魚介や肉と無縁の日は逆に新鮮に感じる。

・何故か赤飯
・南京の味噌汁(他の具はあげ、椎茸、人参、玉ねぎ、ねぎ)
・納豆
・大根の煮物
・奈良漬

具沢山の味噌汁はだしが濃い

昔の人は冬至に南京(かぼちゃ)を食べて無病息災を祈った。ゆずはないので、バブ(ゆずの香り)を溶かして湯に入った。チリチリと肌を刺激し、気持ちのいいこと。冬至は湯につかって病を治す「湯治」にかけているとは知らなんだ。

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氷の世界 / 井上陽水

2006年12月21日 | 邦楽

かつて大ヒットを記録したアルバム。リアルタイムで聴いたおぼえはない。“帰れない二人”“白い一日”“心もよう”も好きだが、白眉はタイトルにもなった“氷の世界”だ。

氷の世界(井上陽水 作詞作曲)

窓の外ではリンゴ売り、声をからしてリンゴ売り
きっと誰かがふざけてリンゴ売りのまねをしているだけなんだろ

僕のTVは寒さで画期的な色になり
とても醜いあの娘をグッと魅力的な娘にしてすぐ消えた

今年の寒さは記録的なもの、こごえてしまうよ
毎日、吹雪、吹雪、氷の世界

誰か指切りしょうよ、僕と指切りしょうよ
軽い嘘でもいいから、今日は一日はりつめた気持ちでいたい

小指が僕にからんで動きがとれなくなれば
みんな笑ってくれるし、僕もそんなに悪い気はしないはずだよ

流れてゆくのは時間だけなのか、涙だけなのか
毎日、吹雪、吹雪、氷の世界

人を傷つけたいな、誰か傷つけたいな
だけど出来ない理由は、やっぱりただ自分が怖いだけなんだな

そのやさしさを秘かに胸にいだいてる人は
いつかノーベル賞でももらうつもりでガンバってるんじゃないのか

ふるえているのは寒さのせいだろ、怖いんじゃないネ
毎日、吹雪、吹雪、氷の世界

久し振りにこの曲を聴き、“Sympathy For The Devil”に似ている、と思った(笑)。

1973(昭和48)年に私は何を口ずさんでいたのだろう。記憶の糸をたどってみると“神田川”や“心の旅”ではなくて“てんとう虫のサンバ”と“危険なふたり”であった。

ジャケット内側(陽水さん、若いよ)

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菊子の濃厚な甘みにうっとり

2006年12月20日 | 食材

タラの白子は“菊子”とも言う。私にはそれが脳味噌に見える時がある。グロテスクなのが難だが、フグの白子と人気を二分する。

薄っすらとピンク色を帯びた白子は鮮度の良さの証だ。ヒダの間にアニサキス(寄生虫)が入り込んでいることがあるので霜降り処理は欠かせない。表面に火が通ると真っ白に変わる。“菊”という例えはこの変化をうまく言い表している。

濃厚な甘みが舌を優しく包み込む時、私の口元は緩む。そして冬を強く意識する。

タラの白子ポン酢

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安価な食材(鶏むね肉)

2006年12月19日 | 家飯
鶏のむね肉はもも肉の半値から三分の一の値段である。特売の日には若い奥さんが何パックも買っていく。それを見て「始末屋」とは思わない。安い肉を美味しく調理する「知恵と愛情」に親しみを感じる。

むね肉は脂肪が少ないので工夫が必要となる。手間をかけて家族を悦ばせる女性がいる一方で子どもにパックの惣菜を餌の如く与える親もたくさんいる。どちらが幸せだろうか。幼児性の強い大人が増えている要因は食を疎かにした結果だと思っている。

私の家ではむね肉の甘酢煮がおかずによく出る。酢鶏の日本版といった感じである。ふんわりしたむね肉を甘酸っぱく煮てトロミをつけたものはご飯に合う。

むね肉の甘酢煮

≪作り方≫
◆むね肉を食べやすい大きさに切り、塩とコショウを振り、日本酒をかける
◆数時間放置した肉に片栗粉をまぶす
◆フライパンに油を入れて加熱し、肉の表面を軽く焼く(中は生でかまわない)
◆行平鍋に調味液を移して沸騰させ、焼いた肉を加えて火を通し、刻みネギを入れる
◆水溶き片栗粉を加えてトロミをつけて完成

材料(4人分)
≪肉の下処理≫
 鶏むね肉 500g
 食塩  適宜
 コショウ 適宜
 日本酒 大さじ2
 片栗粉 適宜
 サラダ油 適宜

≪調味液≫
 昆布だし 300cc
 薄口醤油 大さじ1
 濃口醤油 大さじ1
 米酢 大さじ1
 砂糖  大さじ1
 みりん  大さじ1
 タカノツメ 適宜
 白ネギ 適宜
 水溶き片栗粉 適宜

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水菜と油あげの煮物

2006年12月18日 | 家飯

ある地方の有名な始末料理(笑)。昔は見るのも厭だったが、受け入れられる年齢になった。翌日の快便間違いなし。あげと水菜の軸を八方だしで煮て、時間差で葉っぱを加えてさっと火を通す。肉のかわりにあげ。地味の極みとも言える。こんなものや湯豆腐を料理屋で食べていると笑われる、女房の質まで分かってしまうのだ。

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具だくさんのシチュー

2006年12月17日 | 家飯

北海道シチューの作り方にはルー半個(5皿分)につき水700ccとある。これでは味が濃すぎる。なぜなら鶏もも肉とたっぷりの野菜から旨味成分が出るからだ。キューブの×××コンソメなんて入れないほうがいい。

私は水を800ccに変更している。炒めた肉と野菜を煮てアクをとり、野菜が軟らかくなったらルーを溶かす。仕上げに牛乳200ccを加える。とろみが足りないので水溶き片栗粉を入れて粘度を出す。

すっきりした旨味のシチューに作り変えれば野菜が主役になる。家族の生き生きした表情を見ながら食べるのは格別だ。ささやかな幸せであり、また本当の意味の贅沢だと思う。

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